“ストリート最強の喧嘩屋”が総合格闘技に挑む キンボ・スライスの素顔

総合格闘技の最高峰UFCとの正式契約を目指して、若手ファイターたちが合宿所生活とガチンコバトルを繰り広げるリアリティ番組『The Ultimate Fighter(ジ・アルティメット・ファイター)』。通称“TUF(タフ)”と呼ばれ、2005年のスタートから2018年まで28シーズンも続いた人気番組だが、シーズン10の「ヘビー級バトル編」(2009年放送)には2016年に亡くなった伝説のファイター、キンボ・スライスが出演していた。

ESPN/YouTube

ストリート最強として名を轟かせ、エリート・エクストリーム・コンバット(EliteXC)からプロデビューを果たしたキンボのTUF登場は多くの人を驚かせた。キンボが出演することになった経緯について、UFC社長ダナ・ホワイトは「キンボはストリート・ファイトの映像をYouTubeに投稿して有名になり、そこから格闘家になった男だが、私はこれまでキンボのことを批判してきた。彼は本物の格闘家じゃない。道端での喧嘩なら1番かもしれないが、総合格闘技じゃ通用しないとね。UFCに出たかったらTUFに出て優勝するしかない。だから彼は私にチャレンジを申し込んできたんだ。キンボには私が間違っていたとぜひ証明してほしいね」と語っている。

一方のキンボは「出演できることは光栄に思うが、オレの実力をダナ・ホワイトに見せつけるために参加した。ストリート・ファイト出身で実力も認められてきたが、いまこそ次のレベルに進むとき。オレこそが最強のファイターだと証明したい」と、静かな闘志を燃やしていた。

同じくシーズン10に出演し、すでに総合格闘家としてキャリアを積んでいたロイ・ネルソンが「重大発表があるっていうから、てっきりオレのことかと思っていたが、まさかのキンボ・スライスだった」と振り返るように、キンボの参加はほかの選手からも驚きとともに迎えられていた。

番組では、全部で16人の選手が2チームに分かれて合宿とトレーニングを行い、UFCとの正式契約を目指す。キンボは元UFC世界ライトヘビー級王者クイントン・“ランペイジ”・ジャクソンがコーチを務めるチーム・ランペイジに1位指名でドラフトされ、チームメイトたちとともに総合格闘技の手ほどきを受けた。

「オレはスポンジのようにいろんなことを学び吸収している。ただファイトをしにきているんじゃない。ここでスキルも学びたいんだ」と真摯に語るキンボの姿が印象的だ。コーチのランペイジも「彼は飲み込みが早く、学ぼうとする意欲が強い。教える価値がある」と高評価している。

同シーズンの参加者のなかで、キンボが一番謙虚で努力家だったと評価する人も多く、荒くれ者と思われていた“最強の喧嘩屋”の意外な一面が話題となった。番組終了後、キンボはUFC、ボクシング、ベラトールに進出。活躍が期待されていただけに、早すぎた死が悔やまれる。

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