コロナも大型台風も貧困層が真っ先に苦しむ 生活を破壊されたスラムの若者達をウータン・クラン総帥 RZAが描く

ラッパーとして活動する他、俳優業、映画にも力を入れてきたウータン・クランの総帥RZA。2012年には東洋思想や武道をモチーフにした監督作『アイアン・フィスト』が公開になっているが、そのRZAが再び監督として新劇場作品『Cut Throat City(カット・スロート・シティ)』を世に放つ。

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物語は2005年、アメリカ南部で甚大な被害を出したハリケーン“カトリーナ”が、最も大きな爪痕を残したニューオーリンズを舞台に、巨大台風によって暮らしを破壊されてしまった貧困層の若者たちが題材になっているとのこと。家を失い、なんとか生活を取り戻そうともがくうちに、いつしか引き返せなくなったスラムの若者たちと、地域の人々を描く社会派クライム・ストーリーだ。

「2005年のカトリーナが舞台だが、2020年に生きる我々もよく似た社会状況にいる」と言うRZA。大きな社会問題が起こると、貧困や人種問題はより一層浮き彫りになり、貧困層やマイノリティが真っ先に苦しみにあえぐこととなる。カトリーナとコロナ、根元は違えど、発生後の状況は似たような様相を呈しており、「15年前を描いた本作は奇しくも今現在を映し出している」とRZAは語っている。予告編最後の「“カトリーナ”はずっと俺たちの中にいた。いつも違う名前だったってだけで」というモノローグは鮮烈だ。

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さて、RZAの監督作品となると当然サントラも気になるところ。6トラック収録で、The Reverend Willy Burke、Hue Hefら36 Chambers(RZAとムスタファ・シェイク主宰のレーベル)のアーティストをフィーチャーした内容とのこと、この中からRZAとゴーストフェイス・キラーによる先行シングル「Fighting for Equallity」がリリースされた。「平等のための闘争」と題された、まさに王道的サウンドによるラップとトラックはやはりRZAである。

映画には気鋭の若手のほか、ウェズリー・スナイプス、イーサン・ホーク、テレンス・ハワードなど、今やベテランとなった豪華な顔ぶれも出演する。今年3月に公開予定だったが延期が重なり、アメリカで8月21日公開となった。Black Lives Matterやコロナウィルスといった昨今の情勢を予見的に映し出す『カット・スロート・シティ』は、今最も観るべき映画の1つとなりそうだ。

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