3Pシュートを一番決めた男 NBA歴代屈指のシューターは、なぜ成功できたのか?

アメリカNBAのレイ・アレン氏は、通算スリーポイントシュート得点数歴代1位の記録を持つ。学生時代から州やビッグイーストの最優秀選手として選出され、大学を3年で中退してプロ入り。2000年のシドニー五輪では米国代表としてチームに貢献、金メダルの栄誉を手にする。2016年秋に引退を発表するまでに、NBAでも2チームでそれぞれ優勝を経験した。

NBA/YouTube

誰にも文句のつけようのない記録で素晴らしいの一言に尽きる。しかしこれらの経歴はあくまで彼の努力の結果であることが、書籍『レイ・アレン自伝 史上最高のシューターになるために』(レイ・アレン、マイケル・アーカッシュ 共著/東邦出版)からはうかがえる。育った家族は5人兄弟で、アレン氏自身も現在の妻との間に4児を育てている父親である。彼が目指したのは、できるだけ長くプロアスリートとして現役でいることだった。

NBAで地方のチームに所属する生活は、練習、ホテル、ときに試合という単調なもの。そして学生とプロの大きな違いは、自分で道を切り開く必要があるということだ。コーチから「おまえにはルーティンがない」と説明を受けたアレン氏は、その重要さに気づく。いち早く練習を始めれば、チームメイトが来る頃には自分のコンディションが整い、周囲を見渡せるようになる。チームで仕事に取りかかるとき、これが効いてくる。一緒に練習したいという仲間には「でも、今日だけってのはナシ。毎日来なきゃダメだ」と伝えていたそうだ。

ジャンプひとつとっても、跳躍力が安定していないとき、それに気づいて対処する方法を知っておく。一般的な自己分析が就職の前段階だとしたら、アスリートにとって自らを知ることは仕事の一部と言えるかもしれない。また、コーチに就任した名将ジョージ・カール氏の下で、アレン氏は「試合の流れを作るのでなく、たぐり寄せることを学んだ」と語っている。

バスケットボールは数十秒の間に逆転もあり得るハイスピードな種目で、いざというときの動きが勝敗を分ける。できるだけ日常と非日常が地続きになるよう、高いレベルのルーティンを続けていけるストイックさが、アレン氏の強みであり才能なのかもしれない。

しかし本人の見解は異なる。彼は「この能力は、毎日努力した結果だと私は言い返す。私は、決して神様にボールを手渡されて育ったわけではない」と訴える。全米が注目し、緊張を強いられる大舞台に挑む選手のメンタルは、ルーティンの小さな積み重ねによって作られているのだ。

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