“下からの三角絞めブーム”が来る! 日系ブラジル最強寝技集団が柔術革命を起こす

高田延彦vsヒクソン・グレイシーから始まり、日本MMA界に要所要所で衝撃を与え続ける”ブラジリアン柔術”。ヒクソンがマウントを取りマウントポジションからのパウンドやそこから派生するチョークや腕十字で日本人に与えた衝撃は凄まじく今では「マウントを取る」は絶対的に優位な状態になるという意味で一般人にも広く使われる表現となった。

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ヒクソンの衝撃後に我々に衝撃を与えたブラジルの柔術家はアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラだろう。ヘビー級で体格に決して恵まれていないひょろ長の男が自ら望んで下のポジションになり化け物みたいなヘビー級の猛者達に下から三角絞めをマジックの様に極める姿は痛快で日本全国の格闘家や柔道家や健康優良不良少年達がノゲイラに影響されて世は空前の”下からの三角絞めブーム”となった時代もある。

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ノゲイラに続いて”日本MMA史上最高のグラップラー”青木真也も下からの三角絞めを得意としていたし、海外ではファブリシオ・ヴェウドゥムが皇帝ヒョードルを下から三角絞めで極めたり、UFCでは柔術世界王者デミアン・マイアも下からの三角絞めを駆使して一本勝ちを量産した。

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…しかし、時代は流れパウンドの技術など色々な要素が発達してMMAグラップリングは純粋な柔術とは異なり「いかに上を取れるか」の時代に移り変わっていった。時代に対応できなかったノゲイラは老いと共にUFCで惨敗を繰り返し、青木真也やヴェウドゥムは上を取る寝技を重視する様になりマイアも得意技を三角絞めからバックチョーク一筋に大幅にシフトチェンジした。

MMAは日々急速に進化していて”下からの三角絞めブーム”は完全に終わったのだ。現代MMAで下のポジションになる事は明らかに不利で無闇に引き込む柔術家もいなくなった。

そんな中、時は2021年3月21日名古屋…
浜松の「日系ブラジル最強寝技集団」ボンサイ柔術がRIZIN.27にて終わったはずの”下からの三角絞めブーム”を見事再来してみせた!

まさにRIZIN.27は「ボンサイ柔術の日」でRIZINフェザー級最強寝技師決定戦であるクレベル・コイケvs摩嶋一整も最恐のコーカサスの死神ムサエフとの王座決定戦最終査定マッチであるホベルト・サトシ・ソウザvs徳留一樹も共に決着は下からの三角絞めでボンサイ柔術の勝利であった。

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まずRIZIN.27の裏メインであるクレベルvs摩嶋だが一流のグラップラー同士のMMAは戦前の期待とは裏腹に互いの寝技を警戒し過ぎるあまり中途半端な打撃戦になったりする。青木vsシャオリンなどはその典型だがMMAは何でもありなので寝技をしなければならないというルールはない。
しかし、ファンがこのクレベル・摩嶋に望んでいた事はどっちの寝技が強いのか?で2人ともファンの希望に沿う形での極上の寝技決戦を見せて…いや”魅せて”くれた。

敗れたが摩嶋一整も素晴らしかった!クレベルと寝技対決は分が悪いと皆に言われながらも寡黙で余計な事は口にしないサラリーマンとの兼業格闘家で地方在住の哀愁の”奇跡のグラップラー”は「自分、これしかできませんから…」と高倉健ばりに四つに組みに行きあの柔術鬼神クレベルを1Rは組み伏せて上から肘を浴びせてコントロールしてみせた。

これがいかに凄い事かわかるかね?クロックスでエベレスト登頂するくらい凄い事だ。…少々表現の誇張が過ぎたがこんな事が出来るのは日本で摩嶋一整だけだろう。サラリーマンをフルタイムでやりながら1日90分山口県の一般会員のジム生と練習をしてこの強さだ。”奇跡のグラップラー”としか言えない。

(1R目のコントロールを3Rの間続けられれば…摩嶋勝てるぞ!)

1Rを終えてクレベルに幻想を抱いていた全てのRIZINファンが摩嶋の脅威的なグラップリング力に舌を巻き、そう期待した。
しかし2R、ピンチだと思っていたのは周りだけだったのか?ボンサイ柔術の鬼神はかつてのノゲイラやヴェウドゥムやマイアなど超一流の柔術家を凌ぐほどの電光石火のスピードで下のポジションから三角絞めを一瞬で極めてみせた。

(やはりこの男、ホンモノだ…)

善戦していた摩嶋への喪失感と共に恐ろしいほどの極めの強さと技の正確さに感嘆するしかなかった。圧倒的スタミナと集中力も常人離れしている。やはりクレベルは強く、ボンサイ柔術は凄い。そして柔術の技が美しい。もう攻略し尽くされたと思っていたMMAでの柔術に新たな可能性を感じさせる完全勝利だった。

斎藤裕や朝倉未来をも凌ぐ圧巻のパフォーマンスはRIZINフェザー級トーナメントの大本命に躍り出たと言っても過言では無い。そして敗れたが、摩嶋一整無しでフェザー級トーナメントをやるのはやはりあり得ない。この不遇が似合う不屈の苦労人にもう一度チャンスを与えてほしい!

摩嶋再起の鍵は打撃だろう。打撃を磨く事で寝技で更に極めやすくなる。青木真也も右フックを当てた事で一気にペースを掴み強豪のジェームス・ナカシマを1Rで極めてみせた。摩嶋も寝技への布石の打撃を磨くべきで尊敬する青木真也の元へ練習しに行き教えを乞うてもいいと思う。

そしてクレベルの神速の三角絞めの余韻がまだ残るリングで”ボンサイ柔術の最高傑作”サトシがクレベルの下からの三角絞めを凌ぐほど芸術的な下からの三角絞めを危険過ぎるパウンドを持つ徳留一樹という日本ライト級トップ選手に秒殺で極めてみせた… 圧巻の一言で自分より総合力と経験で上回ると言われた実力者徳留をボンサイ柔術の神髄で一瞬で斬って落とした。
打撃では無く寝技なのだが刀の様に鋭い入り方で更に斬り口は全く無駄がなく洗練されて美しかった。まさに芸術的な下からの三角絞めだった。

Twitterで返信をくれたサトシやクレベルと同じくボンサイ柔術の関根シュレック秀樹選手曰く「入る角度がエグイのと足を腕側ではなく頭側で組む三角です」そして「サトシは別格です」との事。

いやはや…まさに神々しかった。均整の取れた彫刻の様な上半身とスラっと長い足は三角絞めを極めるために生まれてきた体と言っても過言では無い。ヒクソンの品格とノゲイラの陽気さを持つ上からでも下からでも極められる令和の真・柔術マジシャンが誕生したのだ。

ぜひ破壊神ムサエフと真・柔術マジシャンのRIZINライト級王座決定戦が観たい!

徳留一樹もこんなもんじゃなく、気持ちの良い戦いをする素晴らしい選手なのでまだまだRIZINで戦って欲しい!

何年も前は何者でも無く貧しい出稼ぎブラジル人の集まりでしかなかったボンサイ柔術。ハングリーさと家族や仲間を大切にする絆と異国の地での弛まぬ努力がやっと実りRIZINのグラップリングのロイヤルファミリーとして君臨するまでになった。

サトシとクレベル。2021年ボンサイ柔術MMA元年。来るか?「真・下からの三角絞めブーム」
第2章を迎えたRIZINにボンサイ柔術というカナリア色の大和魂が令和のブラジリアン柔術革命を現代MMAに起こす。
ヒクソン→ノゲイラ→ボンサイ柔術。ブラジルの人聞こえますか〜?日本で柔術、とんでもない事になってますよ〜!

御後が宜しいようで。

PS
関根シュレック秀樹選手から「ぜひサトシの三角を浜松に体験しに来てくださいw」と言われましたが鰻奢ってもらえるとしても嫌です(笑)

文・鬼越トマホーク・坂井良多

sakai
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