“地球外生命体”が初敗北… しかし、世界中がアデサニヤのポテンシャルに惚れている

“地球外生命体”イズラエル・アデサニヤ初敗北…

階級の壁を難なく超えてくれると全世界のUFCファンがアデサニヤの超人っぷりに夢を抱いていたし当日、体重差10kg以上の現代MMAにおいてあり得ない無謀な戦いとも思えたがアデサニヤならやってくれる…とブラホヴィッチには悪いがザ・ラスト・スタイルベンダー(アデサニヤの異名)が今回のUFC259の主役なのは確かだった。

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それほど前回のUFCミドル級タイトルマッチの無敗対決だったパウロ・コスタ戦が鮮烈過ぎてアデサニヤ幻想はビットコイン並みに果てなく高騰していた。

「無理に体重は増やさずこのまま(ミドル級の身体で)戦う」

この発言の時のアデサニヤは自信に満ち溢れまさに不可能を可能にする漫画の主人公の様だった。

昔のMMAは体重差なんて気にしないし、今も日本では無謀なエンタメ寄りのマッチメイクはたまにある。ただボクシングがそうである様に歴史を積み重ねて競技として純度が高くなり成熟してくると体重というのは格闘技において一番重要で階級は細分化される。だからこそ体重の壁に挑み、勝ち取った二階級チャンピオンはあり得ないほどのリスペクトを生むのだ。

しかし、超人アデサニヤの二階級制覇の感動を味わいたかった格闘技ファンの思いを尻目にミドル級現絶対王者でも鬼門とされるライトヘビー級の壁は厚かった…
格闘技関係者が言うには、数ある二階級の挑戦の中でもミドル級からライトヘビー級に挑むのが1番難しいとされ、元UFCミドル級王者であるワイドマンもロックホールドもライトヘビー級に転向した際は無残にKO負けしている。

リミット83kgのミドル級とリミット93kgのライトヘビー級では10kg離れていてフィジカル的にミドル級の選手がライトヘビー級に挑戦する場合、身体を作り込まなければパワーで圧倒されてしまう。しかも計量が終われば選手は回復し体重は増えるので当日は100kgを超える選手が出てくるのがライトヘビー級なのだ。

実際、アデサニヤとブラホヴィッチが並んだ時に体の分厚さが全然違い改めてライトヘビー級のデカさにビックリしたものだ。

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アデサニヤは持ち前の天才的な打撃センスでギリギリまで迫っていたし、スタンドでは終始主導権を握り、階級上のデカいブラホヴィッチに圧力をかけ続けたのは細身のアデサニヤの方だった。
しかし決め手のヒットは作れずアデサニヤの今までの勝ち方を見てきたファンにとっても明確に優勢な場面も無く、テイクダウンを奪われた辺りから(もしかしたら負けるかも…)という懸念はアデサニヤ史上一番あったのは事実でその懸念は現実となり地球外生命体はMMA初黒星を喫した。

うーん、なんというか正直に言ってしまうとアデサニヤの攻撃は軽く感じたなぁ…

ブラホヴィッチの打撃をほぼ無効化していたが自らもダメージを与える事は出来なかった様に感じる。スウェイは流石だったがブラホヴィッチがテイクダウンに成功してからは穴であるグラウンド技術が露呈して更に体重差もあり逃げる事が出来ずに4、5Rでガッツリ下になってしまったのが勝敗に響いた。
よくパワーをスピードが凌駕するなんて表現があるが今回はスピードをパワーが凌駕した形だ。
そしてスピードをパワーが凌駕するとこうも盛り上がりにかけるのかとアデサニヤの初敗北は完敗じゃないからこそ虚しいものがあった。

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(あぁ…普通に負けてしまった)と夢から醒めさせられた。ミドル級の選手が健闘するも最後はライトヘビー級の選手が体重差を活かし勝ちをもぎ取った。これはビッグサプライズではなくごく普通の負け方だ…

積み上げてきたものが大きい分、無敗の選手が負けた時の虚しさは何とも言えないものがあるのが格闘技だ。

ブラホヴィッチには失礼だが超人アデサニヤの負けとして一番盛り上がらない形であった。まだKO負けの方が盛り上がるしストーリーもできる。上の階級の選手はこういう試合だとリスクしか無いのに勝っても「当たり前だ」と言われ何の得もないよな…やっぱマクレガー、コーミエ、ヌネス、セフードの時も下の階級が上の階級をKOするから熱狂が生まれるわけだからね。

ミドル級の超人アデサニヤに勝つ事はすごい事なんだが、王者ヤン・ブラホヴィッチにまだまだUFCファンが感情移入しきれてないのが本当の所だ。
ただブラホヴィッチは周りの雑音を気にせず勝ち続けて評価を上げるしかない。スティーペ・ミオシッチと同じタイプの王者だ。ミオシッチも戴冠したては誰にも望まれてないヘビー級王者感満載だったが勝ち続けて評価を上げてUFC史上最強のヘビー級王者の栄光を勝ち取ったのだ。

それが地味な王者の試練なのだ。頑張れブラホヴィッチ!

そして、イズラエル・アデサニヤはやはりミドル級に戻るべきだな。適正はミドル級だし再びライトヘビーに挑むとしても期間がいる。まずはウィテカーとの再戦辺りが妥当だが、一度上の階級で戦った選手が下の階級に戻した時に急激にコンディションを落としたりあっけなくKO負けする事もあるのでそこは気をつけて欲しい。

やはり全UFCファンが”地球外生命体”の果てしないポテンシャルに惚れてるのだ!こんな所で終わらずにまたグゥの音も出ないパフォーマンスを披露して、しょっぱい初黒星など完全に忘れさせる様な圧巻の再起を披露してくれ!

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「負けた事がある」というのがいつか大きな財産になる。
日本の漫画・アニメを愛す「世界最強のアニオタ」アデサニヤに山王工業の堂本監督からメッセージが届いてるぞ。

負けて無敗の鎖から解き放たれた地球外生命体、今後、弱点であるグラウンドの強化は必須だ。

「ボクは・・・ボクは・・・! 昨日より、半日前より、一分前より、もっと上を目指します!!」
アデサニヤが大好きなNARUTOのロック・リーの言葉だ。MMAの鍛錬に終わりはない!

アデサニヤよ!立ち止まってる暇はない!もっと上を目指してくれ!

御後が宜しいようで。

PS
やっぱり無観客で落ち着いて入場してくるアデサニヤより大観衆の中でカッコ良過ぎるダンスしてNARUTOポーズ決めて入場した後にデスノートに対戦相手を書くアデサニヤが見たいよね!
大観衆の中でノリノリのパフォーマンスできれば今回もきっと勝ててたはずだ!

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文・鬼越トマホーク・坂井良多

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