命を賭けたパパ友同士の殺し合い! 完全に全盛期を迎えた「人間小田原城」に勝てるヤツはいるのか?

禁断の同門対決。UFC258にて行われたUFCウェルター級タイトルマッチ。

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王者は史上最強の塩レスラー”塩神”カマル・ウスマン。ナイジェリア史上初のUFCチャンピオンで超レスリングエリート。
挑戦者は柔術界の第7世代ギルバート・バーンズ。ブラジリアン柔術世界王者にしてイケイケの打撃を駆使してワンパンチで相手をKOする新時代のネオ柔術家。

この2人は実は同門(同じ所属ジム)なのだ。フロリダの名門サンフォードMMAで同じ窯の飯を食う者同士の禁断のUFCチャンピオンシップ。おそらく何度もスパーリングをしてウスマンがレスリングをバーンズに教えてバーンズが柔術のテクをウスマンに教えたこともあるだろう。

そんな絆が深い者同士でも命をかけて戦わなければならないのが格闘技なのだ。聞けばウスマンとバーンズは子供同士が仲が良く友達らしい。
君は自分の親父と友達の親父が血を流して殴り合ったり、落とすつもりで首を絞めあったり、折るつもりで関節を極めあったりしている所を見た事があるのか?

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しかもそれを世界中の人が見ているのだ。そんな異常であり、素晴らしく、哀しくも、美しい、強さに魅せられた侍達の逃れる事ができない宿命と一瞬の生き様が格闘技なのだ。

そんな子供達にとっての世界最強の同じ町内会の親父対決でありレスリングvs柔術の最高峰かつ最先端MMA決戦でもある至高のUFCウェルター級チャンピオンシップ。

堅実、堅牢、鉄壁の堅い試合が持ち味の最強の”塩神”カマル・ウスマンにブラジル人を代表する様な情熱的でエネルギッシュな世界的柔術家バーンズがどう挑み、果たしてウスマンの牙城を崩せるのか?
それとも毎度、希望を絶望に変えるナイジェリアの悪夢がまたも相手を無力化し塩漬けにして現実を見せつけるのか?攻め入る隙が無い”人間小田原城”ウスマンに攻略法などあるのか?

見どころ満載のチョコの聖日バレンタインデーに行われた塩と砂糖の頂上決戦。

…結果。
塩の逆転勝利!!!”塩神”ウスマン強し!

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しかし、バーンズも凄まじかった!1R早々の右クロスでまさかの秒殺勝利を演出してみせ、左のテンカオやイケイケの打撃で鉄壁のウスマンをあと一歩まで追い詰めてみせた。

正直、そこから自分を落ち着かせジャブを起点に完全に逆転してみせたウスマンも物凄いが、1Rは完全にバーンズ祭りでウスマン敗北は紙一重だった気がする。右のハイキックもタイミングは完璧でめちゃくちゃ惜しかった。バーンズの打撃の爆発力はとてもライト級から上げてきた選手とは思えないウェルター級屈指の破壊力だ。

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堅い試合が持ち味のウスマンの歴史の中で結果的に一番面白い試合だったんじゃないか?

完全に”塩神”による砂糖試合だった。

しかも逆転の仕方もウスマンらしくダメージを回復させ、スイッチで的を絞らせずに得意のジャブを突き続けて相手を削り、2Rに逆転のカウンターをヒットさせるも攻め過ぎずに確実にダメージを蓄積させてからラウンドを跨いで3Rに確実に仕留める。

ウスマンらしい堅い堅い大逆転劇だった。砂糖試合は砂糖試合でも角砂糖試合だね。

1Rの大ピンチを乗り越えて逆に3Rに3倍返しと言っていいほどの完全パウンドアウトを見せつけての王座防衛はさらにウスマンの評価が高まったのではないか?
ピンチを迎えたとて完璧にリカバリーする選手が相手にとって1番厄介なのだ。最強を誇っている選手でも1発のパンチから崩れてKO負けするのはアップセットの常識だ。かつてのUFCウェルター級伝説の王者GSPも格下であるマット・セラにそれで不覚をとっている。

どんなにディフェンスの上手い選手でも1発当たってしまう事はありえる。高いレベルの打撃の交錯は交通事故的要素もあり防ぎきれない時もある。特にウスマンは今までほぼ完璧なUFCキャリアを歩んできてピンチらしいピンチは無かった。そんな劣勢になった事がない選手が劣勢になった時に混乱も含めて脆かったりするものだがウスマンはむしろ冷静にダメージを回復させてから己の強さを確実に見せつけた。絵に描いた様な完璧なリカバリーだった。

“誰も戦いたくない男”の道を目下、爆進している。UFCウェルター級の伝説「GSP」をもしかしたら超えてしまったかもしれない。
今回のウスマンの防衛でUFCでの連勝記録は13になりGSPの12を超えUFCウェルター級史上最長連勝記録を更新してUFC全体でもヌルマゴメドフと13連勝で並んだ。

果たして「完璧塩神」ウスマンに勝てる奴はいるのか?唯一の懸念であったビッグパンチをもらった時の対処を今回、完璧に提示してみせた”塩神”。
完全に全盛期を迎えた”人間小田原城”。もちろん今回もパンチを受けて決死のテイクダウンに来た柔術世界王者バーンズのタックルも完璧に防いでみせてテイクダウンモンスター渦巻くUFCであり得ないと言われているテイクダウン防御率100%を維持している。

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鬼の様な強さを見せつけて「塩鬼神」となったウスマンだが次の相手は本当に誰になるのか?
路上の神マスヴィダルとの再戦は期待されているが前回と同じ結果になる可能性は大いにある。やはりカムザット・チマエフの成長に期待するしかない。

それにしても最強ウスマンに文字通り一矢報いたバーンズの情熱的な戦いは素晴らしかった!そして勝ったウスマンは喜び過ぎずにずっと神妙な面持ちで正座して仲間であるバーンズを労ってみせた。

その複雑で哀しみと愛に満ちた誇り高き表情がMMAという格闘技の尊さとUFCチャンピオンがどれほど崇高な勲章か世界中に表現してくれた。

「オクタゴンに上がればもうそれは友達でもなんでもない。彼だって俺を殺してやろうと思っていたし、痛めつけてやろうと思っていたはず。俺がそう思っていたのと同じようにね。」

感動的な勝利者インタビューの中でウスマンが語った言葉は何よりも重く格闘技の本質を突いている。

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世界最高峰のプロ、同じ志を持つ同志、チームで挑む絆のスポーツであり勝者は1人の個人競技。

格闘技はいつだって最高のスポーツで至高のエンターテイメント。リスペクト以上の言葉が無いのが歯痒い。
禁断の同門対決でありレスリングエリートと柔術エリートの世界最高峰の最先端MMA、最高の試合を堪能させて頂いた!

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ウスマン、バーンズ、命をかけたパパ友同士の最高のタイトルマッチをありがとう!
塩も砂糖も最高!!2人にチョコ送ろう。サンフォードMMA宛てに(笑)ノーサイドで仲良く食べてくれ。

御後が宜しいようで。

文・鬼越トマホーク・坂井良多

sakai
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