鼻を折られたい男、ド迫力20秒KO劇、世界一空気が読めない男… 無観客『UFC249』は素晴らしかった

ジャスティン・ゲイジー…

高田本部長に代わり一言。

「お前、男だ!」

そして、トニー・ファーガソン…

張本勲に代わり一言。

「あっぱれ!」

無観客で行われたUFC249。

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紆余曲折あり新型コロナという悪魔のせいで無観客試合になってしまった訳だが、お客さんが1人もいない異様な光景はやはり規模が大きな大会なら大会ほど(満員ならどんなに盛り上がるだろう)という気持ちになってしまう…

なんだろう…”勿体無さ”を捨てきれない…

(そこは考えない様にしよう)そんな気持ちとの戦いだ。

しかしながら静寂の中、普段は聞こえない選手の息遣いを感じながら金網の中での決闘を見守る感覚は人類を遥か昔、争いが絶えなかった時代に引き戻してくれる不思議な体験をさせてくれた。

試合で皆で盛り上がるというよりじんわりと戦慄する感じはまたとない感覚だが、それと共に早く”平常”に戻って欲しいと強く感じたのは事実だ。

もし、日本から遠い存在であるUFCだから観れたもののRIZINやK-1が無観客だったら…と考えるとゾッとする…

無観客での朝倉未来や那須川天心。

無観客での武尊や木村ミノル。

…もったいないよ、やはり。

ただUFCが全てのプロスポーツの先陣を切り開催して無観客開催やコロナ対策の指標を示してくれた感謝は計り知れない。やはりスポーツを観ないと人生の楽しみは半減する所の話ではないから。

冒頭でゲイジーとファーガソンを青春のエスペランサと安打製造機を召喚してまで賛美したのになぜ愚痴まじりになってしまったかといえば…

無観客で行われたUFC249…

正直…

素晴らしかった!!!

正直、大観衆の大声援の中やって欲しかったと心から思う試合が多かったので少々、コロナへの恨み節になってしまったが試合内容はどれも素晴らしかった。

特にメインは完全にファイト・オブ・ナイトだろう。

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リーチの長さを活かすファーガソンとリーチの短さを活かすゲイジー。「とりあえず鼻を折られたい」と狂った発言をしたゲイジーが折ってくれよと言わんばかりにパンチをフルスイングで攻めに攻めれば”妖怪”ファーガソンはニヤニヤしながら色々な攻撃を仕掛けくるくる回って翻弄する。彼は”変態忍者”だ。

ゲイジーの相当良いパンチが当たってもボコボコになったファーガソンは倒れず、戦意も喪失せず最後まで(逆転するんじゃないか?)と思わせてくれた”逆転の妖怪”の真骨頂を無観客ながら見せつけた様はエル・ククイあっぱれだった。

やりすぎゲイジーが進化してやりすぎないゲイジーになり打撃の精度は格段に上がり左右フックの破壊力は階級随一だ。その左右フックでファーガソンを追い詰め最後は死力を振り絞って”退治”した。

「鬼滅の刃」の鬼の如くしぶとかったファーガソンに最後は感情移入してしまった…

鬼にも鬼になってしまった理由があるのだ。

(正規王者になりたい)

(ヌルマゴメドフと戦いたい)

そんな怨念にも似たファーガソンの情念を最後まで見届けて仕留めたゲイジー。

無観客試合と思えないくらい素晴らしい試合であり、悲運の実力者ファーガソンのキャリアを考えると悲しくなった…

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4度中止になったヌルマゴメドフとの血戦の為に去年の11月から準備して4月を万全で迎えようとするも新型コロナで5度目の中止で対戦相手変更、無観客で事実上の挑戦権を奪われ何年も続いた連勝もストップ。こんな不幸が続いたら俺なら悪魔に魂を売り渡す。

しかし、ファーガソンは辞める気はないと思う!あんだけボコボコにされながら試合直後激闘を称え詰め寄ったゲイジーを突き飛ばした様はマナー違反であるが心底負けず嫌いなファーガソンらしく頼もしくも感じた。落ち着きを取り戻し最後にはゲイジーを称えていたし。

暫定王者のベルトを巻かれたがすぐ突き返しインタビューで「なぜ?」と聞かれて「本物が欲しい」とすぐさま、ヌルマゴメドフを挑発したゲイジーもやはり千両役者だ。試合と共に発言でもファンを熱狂させる様は”ファンを置き去りにする男”ヘンリー・セフードと真逆だ(笑)

いやいや、セミのセフードも凄かったよ!

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あの伝説の天才ドミニク・クルーズに初KO勝ちしたんだから。

ただやはりセフードが持ってないと思わせてくれたのが相変わらずフェイスオフの時の挑発はスベっていたし、セフードのせいじゃないし難しい所だがレフェリーが止めるタイミングが早くストップされたクルーズが抗議する中、無観客の会場に向かい突然の引退宣言をかまし皆が「えっ?」と思う中、感無量と言った表情で無観客の会場を元気いっぱい颯爽と後にする姿は”世界一空気が読めない男”として逆に清々しかった。

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WOWOW解説の堀江ガンツさんが「ファンを置き去りにする所がある」と言ったがまさにその通り。だがセフードは我関せず唯我独尊なのでその置き去りのスピードがボルト並みに早い。

たぶん復帰してくれるだろう(笑)

クルーズもステップは良かったがブランク明けで打撃を当てきれず、やっと感覚を掴みそうになった矢先にやられてしまったのであのストップは悔いが残るだろう。

セフードの五輪金のレスリングテクをあまり自らは使わず基本、空手とボクシングで戦い要所要所を黄金のレスリングテクで〆る戦い方や最後の爆発的に相手を仕留める戦いが成熟してきた中での突然の引退はまたまたセフードのカリスマ性を低めた(笑)

どうせ空気読めないんだからUFC引退してRIZIN来て欲しいわ(笑)

とにかく世界一実績と人気が伴わない男だという事は今回、証明した。

そして、セフードとは逆にファンを置き去りにしないゲイジーの異名は”ザ・ハイライト”なのだが今大会のハイライトがゲイジーなのか?と言ったらそれは違う。

今大会のハイライトはナイジェリアの恐竜フランシス・ガヌーだ。

ガヌーの試合は戦慄した…

無観客が際立たせていた…

ガヌーの試合は文章で例えるより動画を見て欲しい。

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“20秒で恐竜が恐竜を倒した”

それが今回の無観客史上最大の祭典UFC249の1番の衝撃ハイライトだ。

そのほかはカルヴィン・ケーターの試合も良かったな!

何はともあれ、コロナ禍でプロスポーツが全く観れない中、無観客ではあるがUFC249物凄く楽しませて頂いた!

全てのファイターに感謝と共に観客の大切さも知れました。

早く大観衆の熱狂の中、またUFCが観れる事を切に願います!

PS
ファーガソンには失礼だがライト級戦線にゲイジーが殴り込んできた事によりヌルマゴvsゲイジーはもちろん、マクレガーvsゲイジーの人気者同士の実現も遠くないのではないか!この対決は無観客ではやって欲しくない!


文・鬼越トマホーク・坂井良多

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