カリスマは死にきれず! 常識を覆したザ・ノートリアスの物語はまだ続く

運命であり宿命のUFC史上最大のラバーマッチ。
コナー・マクレガーvsダスティン・ポイエー3

タイトルマッチを超えた、7年戦争の三部作が遂に完結を迎えるのだ!

観客熱狂の100億両役者マクレガーの入場。スーパースターらしく入場だけで金が取れる壮観さ。気合十分、筋骨隆々。一瞬で観客を興奮の坩堝に誘う様はまさに史上最大のカリスマそのものだ。極上の色気を纏い、アイルランドの誇りを胸にオクタゴンに入っていった。

対照的に落ち着き払った苦労人であり仕事人ポイエーの入場も渋かった。”現代MMAの諸葛孔明”マイク・ブラウンを引き連れて、ホームのはずのアメリカでアイルランド人が大歓声を浴び、アメリカ人がブーイングを浴びるという超異常事態の中、「やる事は一つ」と最強集団ATTの仲間と共に程良い緊張感の中、余裕たっぷりの入場。

両者がオクタゴンに入り、コロナ禍など消し飛ぶくらいの熱狂と興奮が最高潮を迎えた中で、飛沫MAXのブルース・バッファーの絶叫前口上を全身で浴びてから、宿命のラバーマッチはゴングを迎えた。

マクレガーは前回対戦の反省点を活かすべく蹴りで攻めていった。ポイエーも前回、マクレガーに悪夢を見させたカーフキックを1発ヒットさせ、パンチでも怯まず応戦する。
一進一退だが、やはり打撃のキレではマクレガーが多少上回ってる様に感じた。パンチ偏重になり過ぎて、一時は封印していた回転系の蹴り技も積極的に出して自らを鼓舞していた。最強かつ最高と言われたフェザー級時代のイケイケのマクレガーを自らの身に強引に降ろしているかの様な戦い方だった。

しかし、前回対戦の結果から自信に満ちているポイエーは多少被弾しつつ、パワフルなパンチを細かくヒットさせ、パンチを嫌がり組み付いてきたマクレガーを組みで上回り、金網に押し付けた。
やはり打撃以外の総合力は全てポイエーが上回っている。長年、MMAの最先端で戦ってきた激闘の数々と最強集団ATTで培われたMMAにおけるガチャガチャな展開(スクランブル)においてポイエーは無類の強さを発揮する。スタミナも充分で苦戦慣れしてるので修正能力も非常に高い。

ケージに押し込まれたマクレガーは焦りから不完全な状態でフロントチョークにいってしまい、外されて永遠の弱点である寝技の下の展開に持ち込まれ、パウンドや肘で大いに削られてしまった。

しかし、ヌルマゴメドフ戦や昔でいうとチャド・メンデス戦がそうだったのだがマクレガーの1Rのこの光景は伝統芸能の様なもので、(まだ逆転の余地があるのではないか?)とファンはまだ幻想に浸れる。1Rさえ凌げればなんとかなるかもという状況だ。というかそう思いたいのだ。

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ヌルマゴにもパウンドでフルボッコにされてから、次のラウンドで取り返してみせたし、チャド・メンデスには逆転勝ちしたのだ。まだ大丈夫、そう思わせるのがカリスマ、マクレガーなのだ。

…しかし、現実は残酷だった。
なんとかスタンドに戻したマクレガーだが、削られたダメージからなのかパンチを打った時に足元が覚束ず、左足首を盛大にグネッてしまったのだ。

(やっちゃった…)

全世界が苦悶の表情を隠さなかったマクレガーを見て頭を抱えた… 格闘技ファンにとって悪夢のあるあるである、通称”足グネり負け”だ…

ビッグマッチであればある程、この決着は誰も望まない…

しかも、勝敗の不明瞭感と反比例して選手生命を脅かす程、ショッキングで深刻な負け方なのだ。
アンデウソン・シウバや最近だとクリス・ワイドマンやショーン・オマリー、K-1だとピーター・アーツもグネるだけでは無いがこの類いの負けが多かった。

拍子抜け… まさかの結末… やはり三部作は最終章で駄作になりがちだ… 第1戦、第2戦とあれだけの好勝負の結末がまさかこうなるとは…やはりガチの世界は何が起こるか全くわからない。

…いや、でも”世界一のお騒がせ男”コナー・マクレガーらしい結末なのかもしれないな。ラバーマッチ史上初の4戦目があるかもしれないという想像の斜め上を行く決着だ(笑)

命を懸けた男同士の戦いに(笑)なんて表現をつけるのは宜しくない。ただ、劣勢から1R凌いで、さぁ2Rどうなるかって時に足をグネり、自分でグネってのTKO負けなのに勝者インタビューをするポイエーに対して寝っ転がりながら暴言を浴びせ続け、負傷した足をガチガチに固めながら、インタビュアーのジョー・ローガンを呼びつけ、寝っ転がしてインタビューを受け「これからって時によ!勝利を盗まれたぞ!〇〇〇〇!」は流石過ぎる(笑)

大事な仕事前に足を負傷するも、車椅子で登場して暴言と自虐を吐きまくり、そのまま大ブレイクした時の三四郎 小宮氏と全く同じ目をしていた(笑)

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同情されたら引退なのだ!この男は引退する気はさらさらない。それが唯一この試合で嬉しかった!

正直、担架で運ばれてる時のマクレガーは試合前より闘志に漲っていて、「ドクターストップだ!負けてねえ!もう一回だ!」と観客を煽りまくり、クリス・ワイドマンの足の負傷の時の様なショッキングな感じにはさせなかった。そこら辺は流石、稀代のエンターテイナーで1試合100億稼ぐ男の超一流のインサイドワークと言った所か。

まさに”悪名高き”結末にして、負けておきながら更に遺恨を生んだのだ。ラバーマッチの常識を盛大に覆した。色んな意見やドライな意見もあると思うが、文字通り転んでもタダでは起きないのがマクレガーだ。
アントニオ猪木的なダーティーでありながら観客を虜にする何でもありのカリスマになってきた。

競技としてのMMAや進化のスピードに取り残された浦島太郎感やスポーツとしてリスペクトし合う素晴らしさを一旦置いておいて、シンプルに娯楽として考えると、やはりザ・ノトーリアスがこの業界にいるだけで面白い。

引退はしないで欲しいし、させないよ!

劣勢の現実から上手い事、論点をずらしてアクシデントを装う事で首の皮一枚繋がったマクレガーの悪運をこの際、褒め称えてしまおう!ダメージから考えると、あのまま2Rを迎えていたら普通にパンチでKOされていたかもしれない、それこそ引退だ。

もう格闘技マニアとして強がるのを一切辞めて言わせてもらうと、何があっても彼の虜で皆、彼の信者なのだ。第2戦の時の負けは喪失感ハンパなかったが、今回の負けは残念ではあったがワクワクした。ストーリーは続くぞと。

とはいえ、結果的に「練習環境は関係ない」と宣言したマクレガーの説を最高の練習環境で研鑽を積み続ける事で7年間で一度完敗したマクレガーを上回る事に成功してしまったポイエーが完全に否定した事になる。
アクシデント風な結末ではあったがドライに考えれば今回ずっとポイエーのゲーム展開だった。打撃の才能やセンス、身体能力だけでは現代MMAで勝てないのだ。流れや進化が早いのでその渦に入ってしまわねば一瞬で浦島太郎になってしまう。自分のチームで練習するのも勿論、素晴らしいが新しい風を入れるべきだろう。

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マクレガーも万年の弱点を見直す良い機会かもしれない。足を完全に治し、今一度、現代MMAと向き合って、残り約2年くらいでMMAキャリアの集大成を見せて欲しい。
普通に考えたら4戦目は難しいのだが、圧倒的主人公であるマクレガーのMMAキャリア最高の引退の道筋はまだある!

ここからはマクレガーに心酔する東洋のハゲた芸人崩れの気色の悪い妄想になるが折角だから最後まで付き合え!

まずはオリベイラvsポイエーのUFCライト級タイトルマッチが行われる。これは確実だ。その試合でポイエーが激勝して悲願のUFCライト級正規王者になる。(ポイエーはまだ暫定王者にしかなってない)マクレガーが復帰戦でいきなりポイエーとは戦わず、人気者ゲイジーか他団体の大物であったチャンドラーと戦う。相性的にめちゃくちゃ面白い試合になると思う。
マクレガーがゲイジー or チャンドラーに最高の内容で激勝する。世論はタイトルマッチであるポイエー vs マクレガーに動く事は確実でマクレガーも煽りまくるだろうから、晴れて4度目の対戦が実現する。勿論、マクレガーと戦わなかった方が、その間にポイエーと防衛戦をしても面白い。ポイエーが防衛すれば更に価値は上がる。
最高の形でタイトルマッチとして第4戦を迎え、宿命のライバル、ダスティン・ポイエーを倒して王者として引退。

どう?ドラマティックでしょ?

カリスマ、最後の復活劇としてこれしかないと思わない?格闘技マニアっていつもそんな事を考えてる変態なんだよ。だから今回の足グネりラバーマッチもこの際、前向きに受け止める!我々は変態なのだから!
苦労人ポイエーの苦労が報われたし、「金持ち喧嘩せず」と良い人化していた金満マクレガーにザ・ノトーリアスとして帰ってくる最高の起爆剤を与えたのだ。

最低で最高のラバーマッチだった!そう高らかに宣言させてもらう。絶対神ヌルマゴメドフが去り、稀代のカリスマが地に堕ちて、ライト級スターウォーズが完全に戦国時代化して面白くなってきた!
まずはチャールズ・オリベイラ vs ダスティン・ポイエーの努力でのし上がってきた苦労人同士の至高の仕事人タイトルマッチを楽しみに待つ!そして、激闘神ゲイジーと最強の外敵チャンドラーの復帰も楽しみだ。

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カリスマは足の回復に全集中、そして…ライト級が盛り上がれば盛り上がるほど、あり得ないと思われてる絶対神再降臨も…あり得るかも!とにかくガチガチのガチの世界であるUFCは何が起こるか全く分からない。

一寸先は闇であり、一寸先は光なのだ。

これからもUFCライト級スターウォーズは勿論、世界最高峰のMMAを惜しげも無く見せてくれるUFC全階級から目が離せない。

2021年7月11日、カリスマの悪名高き死に際を見れて光栄だった。

カリスマは死にきれず!物語は続く!UFC、そして総合格闘技、最高!!!

御後が宜しいようで。

文・鬼越トマホーク・坂井良多

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