最強の男KO負け、常勝“ふくらはぎ殺し”軍団… 激動!MMA軽量級新時代へ

巨星墜つ…
2021年4月8日、一つの時代が終わった。

堀口恭司の宿敵であり世界最高峰UFC史上最強のパウンドフォーパウンドとも言われている”軽量級最強の象徴”デメトリアス・ジョンソンがまさかの敗戦…

しかもKO負け… 喪失感ハンパない…

日本人初のUFCチャンピオンを望まれて連戦連勝だった「史上最強のMade In JAPAN」堀口恭司にUFCで唯一土をつけた男。

“マイティ・マウス”デメトリアス・ジョンソン(通称DJ)

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軽量級の生ける伝説でありMMA史上最も完成度の高い最高傑作とも言われた「MMAのスーパーコンピューター」がデメトリアス・ジョンソンで付け入る隙は一切ない小さな巨人そのものだ。どの業界でも小さな巨人という表現は使われるが個人的にはDJが一番しっくりくる。DJがMMAという競技にいる事で総レベルが一気に上がる。物凄い実績を残しながら謙虚で真面目で隠キャなのでお笑い界で例えるなら岡村隆史だ。

DJのクリエイティブな極め技は神業でDJ史上最高のフィニッシュはUFC216レイ・ボーグ戦のジャーマンスープレックス式腕十字はMMAの歴史に残る関節技だ。UFC史上最高のサブミッションと断言してもいい。
キムラロックやイマナリロールの様にマイティ・マウスアームバーと名付けて欲しいが果たして再現できる選手いるのか(笑)

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それほどDJの極め技は難易度ウルトラSだ。DJはとにかくスピードが速く、スタミナも無限だが無駄な動きはしない正確無比なファイトスタイルで打投極全て完璧かつ「今どういう動きをしたらベストか?」という判断も選択も瞬時にして、決してミスらないのがDJというMMAのスーパーコンピューターだ。常に相手の先手をいく達人でもある。

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入れ替わりが激しく、全盛期も短いとされる最軽量級。体格のアドバンテージが一番無いので全階級で一番純粋な技術を求められるMMAの中で最もテクニカルかつ最先端が最軽量級だがその絶対王者としてUFC史上最多連続王座防衛記録「11」を保持し「世界一空気が読めない男」こと五輪金、UFC二階級王者の三冠王ヘンリー・セフードも最初の対戦ではDJに子供扱いされている。後の堀口恭司やヘンリー・セフードの活躍をみるといかにDJが傑出しているかわかる。

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UFCでセフードにリベンジを許してONEに移籍したがセフード戦も僅差のスプリット判定でDJは全く底を見せなかった。何度か負けてはいるが全て判定負けでDJが明確に敗北したのは今回が初めてだ…

しかも初KO負けの相手は堀口恭司と同門のアドリアーノ・モラエス。これは何か運命を感じる。
モラエスは、生後わずか数日でブラジルの首都ブラジリアの路上に放置され、孤児院で育ったという厳しい幼少時代を過ごした過去を持つ不屈のブラジル版逆境ファイターだ。ONEフライ級王者でフライ級にしては長身で手足が長く前述のとおり今をときめくアメリカン・トップ・チーム(ATT)所属だ。

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王者はモラエスだが実績的に立場はモラエスが圧倒的に挑戦者だ。それほどデメトリアス・ジョンソンは生ける伝説なのだ。堀口恭司の朝倉海への倍返しから始まり、ダスティン・ポイエーのマクレガーへの世紀のリベンジ、アマンダ・ヌネス完勝、パントージャもケイプを沈黙させ、アドリアーノ・モラエスがDJにKO勝ち。ATT神懸かってる…
最早、「勝ちたければATTに行け!」的なMMAの東進ハイスクールになっている。マイク・ブラウンの「カーフいつ蹴るの?今でしょ!」というCMが流れる日も遠くないかもしれない。

1RからDJに臆さず足関節を取りにいったりこの日のモラエスはキレキレだった。2Rタックルに来たDJにアッパーを合わせ、ダウンを奪い最後はいわゆるPRIDEファンにはお馴染みのグラウンドヒザで小さな巨人の意識を刈り取り仕留めてみせた。
DJが神話を築き上げたUFCでは禁止されているグラウンドポジションでのヒザ蹴りという結末はなんとも皮肉だ。

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DJ敗戦に試合後のMMA界隈のSNSはある意味で盛り上がり、ある意味で荒れた。ドサクサに紛れてUFCバンタム級タイトルマッチで優勢に進めながらグラウンドヒザで反則を取られ王座を失ったピョートル・ヤンが「良いヒザだった!」とMMAブラックジョークをかましていた。

デメトリアス・ジョンソン敗北…
堀口恭司のラスボスとして君臨していて欲しかったし、DJをKOするのは堀口恭司だと思っていた…
一寸先は何が起こるか分からないのがガチであるMMAの世界だ。敗戦はショッキングだったが軽量級の王であり神であるDJの敗者の弁は潔く淡々としたものだった。

「長く格闘技をやっていたら、いつかこういう日が必ず来るのはわかっていた事だよ」
「また戻ってくるよ。これもまたゲームの一つだろ?」

ファンやチームメイト、対戦相手やONEへの感謝を挟みながら一切の言い訳をせずに初めてのKO負けについてインタビューを受けるDJはやはり王者の品格を備えた素晴らしいMMAファイターだ。トラッシュトーク合戦も楽しいがこういう選手がこの競技の質を底上げしながら更に高めている。

最後に悔しさを隠してオシャレにジョークで「俺がやられた試合をまた見直してみてよ(笑)」で〆た元々いじめられっ子でゲーム実況を愛する「世界最強の実況主」デメトリアス・ジョンソン。

謎の後頭部判定で反則負けとなった同じくUFC王者経験者のエディ・アルバレスを含め、ONE北米進出第一弾である『ONE ON TNT I』は波乱続きだった。グラウンド状態での膝蹴りを含めて今後のMMAに物議を醸すONEという魅惑の第三勢力が世界のMMAを掻き回している。

“巨星”デメトリアス・ジョンソン敗北でMMA軽量級は更に新時代へと移り変わる。

常勝ふくらはぎ殺し軍団ATT所属選手の動向含めて2021年も激動のMMA、そしてレジェンドであるマイティ・マウスの復活にも期待したい。

…俺はまだまだ観たいぞ!DJvs堀口恭司2!

御後が宜しいようで。

文・鬼越トマホーク・坂井良多

sakai
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