スケートボード界の”絶対王者”で日本勢と金メダルを争う最大のライバル ナイジャ・ヒューストン

今年開催されるオリンピックの種目に採用され、俄然注目を浴びているスケートボード。

現在日本人もメダル獲得の可能性が高いと報じられているが、その上で日本勢と金メダルを争う最大のライバルとなるであろうライダーが、祖母が日本人のクォーターであるアメリカのナイジャ・ヒューストンだ。

それもそのはず。彼はストリート種目における世界最高峰のコンテスト『STREET LEAGUE』で20回以上の優勝を飾っており、2010年、2012年、2014年、2017年、2019年は総合チャンピオンにも輝いている。

そもそも『STREET LEAGUE』が始まったのが2010年からなので、この数字は全世界中のスケートボーダーの中でもブッチ切りの数字だ。

ではなぜ彼はこれほどにまで強いのか。

その秘密は彼の幼少期を知ると思わず納得させられてしまう。4歳頃から父親の熱心な指導のもとスケートボードを始めたナイジャは、しばらくすると自宅近くにあった古い室内パークを閉業と同時に買い取り、週に6日は家族で通っては一日中滑るという、スケート狂の生活を送っていたのだ。しかも厳しく保守的だった父は、学校には全くの無関心。もちろん将来の蓄えも全くの問題外でスケートボードが全て。同世代の子供と同じ自由は許されなかった。

そのような経緯もあり、7歳の頃には現在もサポートを受けるエレメントからスポンサードされるまでに成長し、メディアにも出るようになっていった。そのおかげでどんどん多くのお金が発生するようになったのだが、ここでさらに大きな顔を出したのがナイジャのマネージャーでもあった父親だ。金銭問題を起こしたことでスポンサー企業との関係は悪化、さらに突然ナイジャを連れさり<I & I>というブランドを立ち上げたりといった動きも見せた。このようにまだ幼い我が子を半ば洗脳に近い形でビジネスに利用した生活は2年ほど続いたが、母親が法廷で親権を取り戻したことでスポンサーを呼び戻し、再び表舞台に返り咲くことになるのだが、その後の彼については上記の通り。この歴史に名を残すほどの大活躍は、まるでTVドラマにでも出てきそうな壮絶な過去が無関係とは言えないだろう。

ではそんなナイジャ・ヒューストンのライディングスタイルにはどんな特徴があるのだろうか。

それは一言で言うと”ハンドレールマスター”。この一言に尽きる。

まずは彼が2018年にリリースしたフルパート『’Til Death』を見ていただきたい。

nikeskateboarding/YouTube

これを見ていただけるとわかるが、とにかくレールでの安定感が桁違い。しかもハンドレールの大きさもさることながら、それが湾曲していたりキンクしていたり、ストリートならではのイレギュラーな形状をしたものでも躊躇は一切ない。このパートを初めて見た時は、誰もが「そのレールでそのトリックをやっちゃうの!?」と驚愕したに違いない。

今現在の世界中のスケートボーダーを見渡しても、ハンドレールのスキルは頭1つ飛び抜けていると言えるだろう。

そしてその根底にあるのは、幼少期の血の滲むような鍛錬で身につけた基本的なレッジトリックやフラットトリックの完成度の高さにある。実際にコンテストでの滑りを見ても、どのトリックも全く無駄がなくスムーズにメイクしている。

そうすると着地後も全くスピードが落ちないので、45秒の間に連続してトリックを披露するランセクションでは、より多くのトリックを入れ込むことができるので、高得点につながるというわけだ。

先日の『CHIMERA A-SIDE』より。このようなイレギュラーな形状をした、リスクが高いセクションを得意とするナイジャ・ヒューストン

ひとつひとつのトリックの難易度で言うのであれば、現在では堀米雄斗の方に分があるのかもしれない。

それはここ最近のコンテストにおけるランセクションでの滑りからも見てとれる。しかし会場となるスケートパークで高得点につながるメインセクションが、先月日本で開催され、このサイトでもレポートした『CHIMERA A-SIDE』のようなアプローチにギャップがあるようなイレギュラーな形だったらどうだろうか。

もしかしたら、そのようなセクションで堀米雄斗が自身の持ち技を披露できるかどうかが、金メダルの行方を左右する左右重要ポイントになるのかもしれない。

オリンピック本番はもちろん、これから開催されるオリンピック出場ポイントが獲得できるコンテストにおいても、そのような点にも注目して見てみると、スケートボードという競技をより楽しく観戦できるはずだ。

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