好きなように会社の金が使える 世界一自由「Netflix」にルールがない理由

2000年初頭にDVD郵送レンタルからスタートし、現在では全世界190カ国以上で配信を行う巨大ストリーミングサービスへと成長した「Netflix」。既存作品の配信だけでなく、多くのオリジナル作品を生み出してコンテンツメーカーとしても無視できない存在へと成長した。

Netflix/YouTube

その急成長を支えたのは独創的な社内文化だと言われている。世界一成功している企業のカルチャーを余すことなく伝えてくれるのは、Netflix共同創業者で会長兼CEOであるリード・ヘイスティングス自らが、INSEAD(欧州経営大学院)教授のエリン・メイヤーとともに語ったのが『NO RULES(ノー・ルールズ)世界一「自由」な会社、NETFLIX』(日本経済新聞出版)だ。

Netflixのカルチャーには「能力密度を高める」、「率直さを高める」、そして「コントロールを減らす」という特徴的な3つのステップがあるとリードは語る。まず、凡庸な人材を廃して特別優秀なスタープレイヤーだけを集めた能力の密度が高い組織を作ることが大前提となる。次に、上下関係ない社員同士のフィードバックや、機密情報の開示によって組織内の透明性を極限まで高める。その下準備が整えばあとは社内ルールを撤廃していくのだという。

驚くことに、Netflixには休暇規定や、出張旅費・経費の承認プロセスが存在しないという。言い換えれば好きなときに好きなように会社の金を使うことができるということだ。悪用する人間もいるのではないかと思ってしまうが、リードは「そもそもそのような行為を働く人材を採用せず、会社から排除できれば、ルールは必要なくなる。優秀な人材で組織を作れば、コントロールの大部分は不要になる」と語る。

それでも人間であれば魔が差してしまうこともあるだろう。その際、Netflixは「解雇」と「公表」という厳罰で対応する。しかし、あくまでも個人に対してのみであり、そのことで社内に新しいルールが生まれることはないという。社員を大人として扱い信頼することで、社員の経費の使い方にも節度が生まれるという好循環を実現している。

この文化が熟成していくことで、次は意思決定にかかわる承認が不要になるという。よくあるようなピラミッド型の組織では案件が大きくなるにつれて、三角形の頂点へ向けての何重もの承認が必要になるが、本著ではNetflixの組織図を“木”に例えている。「根」の部分にCEOであるリードが位置し、「幹」、「大きな枝」、「中ぐらいの枝」、「小さな枝」へと組織が細分化し、「小さな枝」である人物は「根」の部分の承認を得ずに自身のプロジェクトを進めていく。

ここで重要になるのは「根」の部分が目指す方向が“木”全体を通じてそれぞれの「小さな枝」にまで伝わっており、方向性が一致していることだとリードは語る。従来のコントロールによるリーダーシップではなく、コンテキスト(条件)を伝えることを最優先しているそうだ。そうすることで組織の多様性を高め、ほかの企業が真似できないスピードでの成長を生み出している。

リードはNetflixの社内文化を「自由と責任」のカルチャーと呼ぶ。基本となっているのは働く人材の“人間力”だ。自由に思うがまま、最高のパフォーマンスを発揮して目的を遂行しながら、所属する企業の成長を最優先事項とできる人間にこそ、Netflixという舞台で働く権利が与えられるのだ。

TAGS