レイジ・アゲインスト・ザ・ゴミ拾い (永野)

自分がフェスというものに客として参加したのはフジロックフェスティバルの初回だけなのですが、その時の興奮は忘れられません。当時レッド・ホット・チリ・ペッパーズとフー・ファイターズが日本のフェスにやって来るなんて夢のようでしたが、蓋を開けたらよく知らないレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンに全部持っていかれました。
ボーカルのブチ切れた歌い方とギタリストの稀に見るカッコ悪いギターの持ち方に心奪われました。若さ故にモッシュピットの中をズンズン前方に進んでいった自分は、隣の巨大な白人からウイスキーの瓶を渡されて回し飲みしたのを覚えています。

それから雨風が酷くなり、トリのレッチリの演奏は中断されました。台風が直撃して帰れないボロボロの群衆は順番で寝場所に誘導されたのですが、自分はさっきまでレッチリが演奏していたステージに誘導され、びしょ濡れの状態で朝まで横になりました。帰宅後スニーカーはダメになってたので捨てました。人生で初めてのフェスは壮絶かつ最高な夏の思い出となりました。

それから時は流れインスタグラムでフジロックフェスティバルに参加した見ず知らずの男女の写真を目にして戦慄が走ります。麻で出来たような服を着たスタイルの良い2人がどうやらゴミ拾いをしているのです。「ゴミ拾い」という行為を悪く言うつもりはありません。ただ、この男女は「ゴミ拾いをしている私たち」の様子を第三者に撮らせたり、遂にはゴミを拾わず並んでカメラに向かって穏やかな表情で立つ写真をアップしています。その男女のインスタグラムを更に見るとどうやらお気に入りのバンドがいるらしく、そのバンドは見た事もないような民族楽器を持っていました。自分は頭が痛くなりました。自分の中のロックにはない価値観を立て続けに目にしたからです。

偏った考えを言いますが自分はゴミが散乱しているのがロック会場だと思います。ギター・ベース・ドラムがロック楽器だと思います。その男女のインスタグラムには動画もあげられていて、自分より10も20も年下の2人は快晴の空に向かって笑顔で「清志郎〜!」と叫んでいました。自分はカート・コバーンが好きですが空に向かって「カート〜!」と叫んだ事はないです。もう自分の好きだった背徳感、緊張感、いかがわしさはフェスにはありません。ソープにあります。あの2人がソープのゴミ拾い始めたら認めてやるわ!

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文・永野

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