クワイエット・ライオットでは泣けない (永野)

小学生の頃、兄貴がビデオに撮った『USフェスティバル』というロックイベントの様子を編集した番組を繰り返し観ていました。クラッシュやプリテンダーズなど錚々たる面子の中で当時8歳の自分のお気に入りはクワイエット・ライオットで、放送では『カモン・フィール・ザ・ノイズ』一曲だけ流れたのですが、大人になってスレイドのカバーだと知り、聴き比べてもスレイドより激しくて好きでした。

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何よりもステージに魅了されまして、ボーカルのケヴィン・ダブロウの陽気なパーマ男という風貌は子供心に親しみやすさを感じ、自分の記憶が定かでしたらケヴィンがギターソロの時にギターのカルロス・カヴァーゾを肩で担ぐのですが、音としては絶対にギターソロの時に肩に担がれるのはマイナスだと思うんですけど見栄えとしては完璧で、パフォーマンスにおいて何が一番大切かという事を幼い自分は無意識のうちに学んでいたのかも知れません。
それから約25年の時が流れ自分がアングラ芸人としてくすぶっていた頃ケヴィン・ダブロウ死去のニュース記事を目にしました。25年前にたった一曲の映像を繰り返し観ただけの人なのに、アングラな場所にいる自分の哀れさも相まって涙が出ました。自分は元々はクワイエット・ライオットに熱くなる子供だったのにいつから健全じゃなくなったのだろう。

しかし更に記事を読むと死因はコカインのオーバードーズによるものと知り、全然健全じゃないじゃん自業自得だなと思うと涙も乾き、大体ケヴィンも同情なんてされたくないだろうな好きに生きたんだしドライにいこうぜそれでこそロックだろと爽やかな気持ちになりました。
それから『カモン・フィール・ザ・ノイズ』が聴きたくて居ても立っても居られなくなりアルバム『メタル・ヘルス』を買いました。このアルバム、副題に『〜ランディ・ローズに捧ぐ〜』と書いてあり、元メンバーだった故ランディ・ローズに捧げたバラードで締め括られています。涙を誘いますが調べるとランディ・ローズの死因である飛行機墜落事故、飛行機は飛行機でも小型飛行機の操縦士が飲酒で酔っ払って3人が即死という状況で、映画でよく観るパリピのバッドエンドみたいで涙は乾きます。

「それ見たことか!」という声が聞こえてきそうですがその声の主より、好きに生きて散った2人はカッコいいです。だってあなたも私も結局好きに生きれてないんですから。

文・永野

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