パブリック・エナミーが好きなだけなのに (永野)

自分は売れそうになった時期にマリッジブルーに近い感覚に陥ったのですが、そんなある日パブリック・エナミーの『フィアー・オブ・ア・ブラック・プラネット』のジャケットを目にして、今抱えている憂鬱を吹き飛ばしてくれそうなパワーを感じ衝動買いしてしまいました。聴いたらこれが血湧き肉躍る闘争の音楽で、自分はこの歳にして名前は知っていたけどスルーしたらいけなかったグループを発見出来た事に興奮しました。

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しかし、そこからが大変で世は第何次かのヒップホップ旋風。自分はただパブリック・エナミーが好きなだけなのにヒップホップ好きの後輩たちに「ようこそ」という顔でいろんなうんちくを聞かされて、正直面倒臭いなあと思っていました。

更にはその後輩たちに誘われてN.W.Aの伝記映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』を観る事になり、率直な感想は「ヒップホップは命懸けだ」という事で自分にはそこまでのバックボーンはなく、「ヒップホップが好きって簡単に言ったらいけないんだな」と思いました。

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ある日、先程とは別の後輩(アメリカ人)に「ロックはドロップアウトの音楽だから普通の家庭から飛び出してカルト芸人にまで堕ちた永野さんは音楽ジャンルで言うとロックだ」と言われ単純に嬉しかったのですが、彼曰く「ヒップホップとは【底辺から】勝ち上がる姿勢」との事で、「やっぱり本場の意見は違うなあ」と他の後輩たちと夢中になって彼のヒップホップ論を聞いていました。饒舌になった彼の話が続く中、その場にいたジャパニーズヒップホップ狂いの後輩(仮にA)が不機嫌になってその場には緊張感が走り、周りの後輩がアメリカ人の後輩に「じゃあAは音楽ジャンルで言うとどれ?」と助け舟を出したらビビったアメリカ人の後輩は「優しい人だから…レゲエ」と答えて、一同「ヒップホップって言えよ」と声にならない声が出ました。

話は脱線しますが、以前白人ラッパーのヴァニラ・アイスがパブリック・エナミーの『ファイト・ザ・パワー』をカバーしてるのを聴いて「これメッセージ性高い曲なのにカバーしちゃって大丈夫?」と思ったと同時に「この人自由だなあ!」と感動した事があります。ヴァニラ・アイスはヒップホップ界隈では徹底的にバカにされていますが、それじゃあ結局のところ音楽ジャンルで言うとどれなのか?あの後輩に聞いてみたいです。それでもヒップホップ?見た目優しそうだから…レゲエ?

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文・永野

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