ナイン・インチ・ネイルズを聴ける状態 (永野)

自分は18歳の時に専門学校へ入学する為に上京したのですが、本当は最初からお笑い芸人になるつもりでした。しかしお笑いの学校に入るタイミングを逃し弟子入りする覚悟もなく大学に入る頭もなくかといっていきなりフリーター生活を始める事も出来ない甘えた自分に残されていた東京に出る唯一の手段は親の金で専門学校入学という詐欺でした。

本当は18歳でお笑いの学校に行く計画だった自分は挫折した気持ちのまま上京しました。その時母親も付いて来てくれて人生で初めての外資系レコード店に入り興奮したのを覚えています。そこで自分は母親からナイン・インチ・ネイルズの『ブロークン』を買ってもらいました。
その後もきっかけが見つからず基本的に暗い気持ちで生きていく自分は、その後リリースされた『ザ・ダウンワード・スパイラル』が傑作だと言われているのは知っていたのですが少しでも人生を明るくしたいという気持ちがあり本格的に聴くのをずっと避けていました。

それからは今までの甘えた人生を精算しておごりが出るくらいの苦痛が待っていましたので、よりナイン・インチ・ネイルズを避けていました。そんな自分ですがナイン・インチ・ネイルズのアルバムは全て購入していました。「ナイン・インチ・ネイルズのアルバムを持っている自分でいたい」というポーズからです。

ここ数年、遂に腰を据えて聴くナイン・インチ・ネイルズは最高の娯楽でした。感動しました。なぜ今になって聴く事が出来るようになったかというと一応ブレイクして以前より精神的な余裕が生まれたからです。本当に辛い時に人間はナイン・インチ・ネイルズなんて聴けません。
つまり、闇を嗜むのは余裕ある人間が出来る行為であり、本当に暗い気持ちの人間が夢中になれるものではないという事を自分は身をもって知っています。なので昔「闇なんて表現は誰も見たくない」と自分にアドバイスして来た人間は間違っています。幸せな人間は闇を楽しむのです。逆に周りに自ら幸せを放つ人間にこそ独特の暗さが漂うのです。本当に。

YouTube

YouTube

YouTube

YouTube

もっと分かりやすく例えると、自分が行き詰まっていた若い頃周りの同世代の男達は悲しい目をしながら複数の女とヤっていたんですが、一方で彼らが今や愛する家族とアウトドアに勤しんでる幸せな姿に昔と違って独特の暗さが漂ってるのは心の底から楽しんでいないからです。実際複数の女とヤる方が楽しかったんです。

文・永野

TAGS