ジョン・ライドンという自由(永野)

今から5年前。ブレイク前。ある番組に出させてもらい、制作スタッフとして現場にいた村井守くんを紹介してもらいました。以前は銀杏BOYZというバンドでドラムを叩いていたとの事で、本人ではなく周りがそう説明してくれました。自分は幸か不幸か銀杏BOYZを聴いていなくて萎縮しませんでした。
それから番組の打ち上げに参加して自分と村井くんともう1人のスタッフさんの3人が終電を逃してしまい、それから何やかんやあって一人が帰り、初対面の自分と村井くんは六本木の交差点に残されてしまいました。

2人は六本木の中でも最も庶民的な居酒屋に入り対面に座り、気付いたら自分は銀杏BOYZの元ドラマーにジョン・ライドンの凄さを力説していました。「ピストルズの頃より今の太ったジョン・ライドンの方がパンクだ」「金のためにバターのCMやリアリティ番組に出たジョンライドンを尊敬する」。終いには「村井くんも今はピストルズ抜けたジョン・ライドンみたいな状況なんだから頑張れ」と励ましていました。2人はウーロンハイと店員さんが心配してサービスで出してくれた柿ピー以外口にしませんでした。

ShinkoMusic/YouTube

更にその一年前。知り合いの別の制作会社の人たちとの飲み会があり(ブレイク前スタッフさんとばかり呑んでいますね)自分と自分が連れて来た後輩芸人が終電を逃してしまい、制作会社の地位の高い人が付き合ってくれて始発まで居酒屋で飲んだのですが、その時も最終的には「パブリックイメージリミテッドのフラワーズオブロマンス(ジョンのバンドのアルバム)を理解出来るか」という話になっていました。

PiL Official | Public Image Ltd/YouTube

そんな自分は普段ジョン・ライドンの音楽をほぼほぼ聴いていません。じゃあ何故自分は酒が入って精神が解放された状態になるとジョンライドンの話ばかりしてしまうのかというと、自分の中で「ジョン・ライドン」とは「自由」と同義語なんだと思います。
殆どのパンクスが歳を取ってもガリガリの肉体をキープする中でちゃんと太っていたり、殆どのパンクスがキャリアを重ねても速いビートの音楽をキープする中でフラワーズオブロマンスという陰気なアルバムを早めに出したかと思ったら急に商業的になったり挙げ句の果てには過去扱いしていたピストルズを再結成したりと、その度「お前はここまで常識から離脱する事は出来るか」と自分に問われてる気がするのですが、実際のところは適当なだけだと思います。

文・永野

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