ドライブの最初はいつも稲村ジェーン (永野)

先日コロナ禍で帰れてなかった宮崎県の実家に三年振りに帰りました。ちょうど宮崎での仕事があったのでそれのついでにという形です。数日間いたのですが一回だけ一人の友人に会いました。他の友人に会わなかったのはそれぞれ家族がいて、たまに地元に帰る身として言わせてもらうと数日間しかない貴重な時間を他人の家族への気遣いに取られたくないからです。

これ、歳を取れば取るほどそうなってきて、例えば一年間地元に単身赴任ならそんな事思わないのですが二、三日の帰省中に他人の家族の団欒に参加するのは勿体なく思えてしまうのです。若い頃はそんな事思いませんでしたが、歳を取ると悠長な事を言ってられなくなります。地元を離れた多くの人々が地元に残った学生時代の友人と疎遠になっていくのって案外その問題が大きいんじゃないかと思ってます。自分には子供がいませんが他人の家族の団欒には我が子を連れて行くのが常でお互いの子供たちを遊ばせながら近況を話すのがステータスですよね?そこに子供はいないわ珍しい仕事をしているわの人間が現れたところで好奇の視線に晒されるのは必至で、なんでわざわざそんな場所に自ら飛び込んでいくんだよという事です。

同業者もしくははっきりと身分の差がある人間となら大丈夫なのですが、成長を拒んだ自分は自分の過去を知ってる人間と自分に嘘をついてまで年相応な話題をしてやり過ごす気がないのです。願わくば家族なしで会いたいのですがそれだと結局飲み屋で羽を伸ばす流れになるでしょう?それもキツいです。こっちには三日間しか時間がなくて、限られた時間をどう過ごすかってなると自ずと人間より先に海や山と触れ合いたくなります。そんな自分が心を許した選ばれし友人は独身で、はっきり言わせてもらうと人生に不満を持っています。

なるほどそういう事かお前はやはり性格に問題があるな自分が負い目を感じない人間だと楽しいんだなと言われそうですがはいそうです。自分は性格に問題がありますしどうせなら自分が負い目を感じない人間と一緒にいたいです。久しぶりに会った友人を助手席に乗せて先ずは『稲村ジェーン』のCDをデッキに入れます。
一曲目は最初に会話から始まり40秒ぐらいしたところで曲がかかるのですが、あのヌルッと入るタイミングが絶妙で、さあこれから独身の不満を抱えた男と桑田佳祐を乗せてドライブだ。そこに他人の家族は邪魔だ!白けるからな!

文・永野

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