ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの最終作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を観て、本来自分はコミカルなものが好きだったんだなと気付かされました。
自分の中でジェームズ・ボンドと言えば3代目ボンドのロジャー・ムーアなのですが子供の頃ムーア版007を観て当時人気だったジャッキー・チェンと比較してどうしても余裕ある感じが苦手で、以降ティモシー・ダルトン版もピアース・ブロスナン版も観ずに過ごしていました。しかしひょんなことからクレイグ版ボンドの最初の作品『カジノ・ロワイヤル』を観て今まで抱いていたジェームズ・ボンドのイメージ、つまりムーア版とはかけ離れた硬派なノリに胸が熱くなり、それからはなるべく映画館でその勇姿を見届けました。

しかし傑作と名高い『スカイフォール』辺りから辛気臭さを感じ、今回の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』に関しては冒頭こそ興奮していたものの観ているうちにジェームズ・ボンドのくせに女に対して奥手だったり、ジェームズ・ボンドのくせに家族が大事だったり、ジェームズ・ボンドのくせに情に流されたり、『カジノ・ロワイヤル』の頃からこのジェームズ・ボンドずっと深刻だよなとは気づいてましたし、でも自分も若かったからそこが良かったのですが、今の自分が観るこの作品はジェームズ・ボンドのくせに愛に献身的なラストが待っていて、世の中共感出来る事は少なくなっていく一方だと身に染みて映画館を後にしました。
それから『死ぬのは奴らだ』を観る機会があり約40年振りに観たムーア版ボンドは目から鱗の連続で、心から楽しめました。それは自分の感性がどうとかではなく単に中年になっていたからで、つまり中年になると子供の頃より物事の分別があり、そんな中わざわざ映画館に行ってまで道徳の授業なんて受けたくないのです。
ロジャー・ムーア版の軽薄さ、陽気さ、のんびりした感じ全てが中年の成せる業。ちなみに吹替をやった広川太一郎さんは『Mr.Boo!ミスター・ブー』でマイケル・ホイの吹替もしており、マイケルも中年の魅力に溢れていました。
そして自分は今子供の頃になりたくなかったロジャー・ムーア版ボンドみたいな中年でありたいと思ってます。若者が憧れるカッコいい中年は嫌です。何故なら若者が憧れるカッコいい中年って、中年の自分から見たら上手くやってんなー!って感じ。
文・永野

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