マイク・タイソンは刑務所でも“王様”として君臨していた

今年の9月、あのマイク・タイソンがリングに帰ってくる。54歳となった元世界ヘビー級統一王者、伝説の帝王タイソンが自らグローブを身につけ、再び我々の前でファイトを見せてくれると言うのだ。

この報に世界中のボクシングファン、格闘技ファンが湧いたことは今さら言うまでもないが、これがいかに奇跡的なことか。それは、自ら執筆した2013年の自伝『真相—マイク・タイソン自伝』(ダイヤモンド社)を読めば読むほどに分かる。その圧倒的戦歴以上に、タイソンの人生はドラマに満ちているのだ。

その裁判の泥沼具合もさることながら、収監後の刑務所でのエピソードもまたすごい。自由を奪われて、犯罪者、レイピスト、強姦魔の烙印を押されたタイソンだが、刑務所内では結局“王”として君臨し、まるで不自由のない暮らしをしていたという。中華でもロブスターでも好きなものを食い、ドラッグをさばき、刑務官をも手中に収めている。それらのエピソードは現実感がなく、もはや映画か漫画の世界である。

そんな中でもタイソンは読書を欠かさず、毛沢東とチェ・ゲバラに心酔し、さらにはイスラム教に改心するなど、前進することを決してやめなかった点は興味深い。そんな姿勢は亡き師、カス・ダマトの不屈の教えが身に染み付いているからだった。その頃、ラッパーの2パックとも交流を深めており、タイソンは2パックを「偉大な男」だと賞賛している。その2パックもまた、間もなくして凶弾に倒れるが、それもタイソンの大きな喪失の1つだ。

やがて刑期を終え、ムショ仲間たちに惜しまれながらシャバへ戻ったタイソン。復帰に臨むタイソンだが、戻った先にはあの“耳噛みちぎり事件”で有名な、因縁のイベンダー・ホリフィールド戦が控えていたのだった。

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