なぜ強いのか? “野獣”マイク・タイソンのストリートファイト伝説

元世界チャンピオンでボクシング殿堂入りを果たしたマイク・タイソンの素晴らしいキャリアは、野生的な闘争心とハードワーク、類い稀なスキルの高さによって生まれた。世界屈指のトレーナー達のサポートはもちろんだが、幼少期に経験したストリートファイトの影響も大きい。

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タイソンがオフィシャルポッドキャスト『Hotboxin’ With Mike Tyson』のゲストに、歴代最強ボクサーとの呼び声も高いシュガー・レイ・レナードを迎え、ボクシングについて熱く語った。

アマチュア時代の話になり、レナードがプロになる前の試合数を聞くと、タイソンは「覚えてないけど、60試合ぐらいかな。ストリートファイトなら150試合はしたけどね。だからプロの世界でも通用したのかも」と発言。驚き、苦笑いするレナードを気にすることなく、タイソンの話は続く。

「俺が育ったブルックリンなんてそんなもんさ。ケンカばかりだったよ」と聞き、困惑してしまうレナード。それに気が付いたのか、もう一人の司会者が「タイソンの快進撃を、あなたはどのように見ていましたか?」と別の質問を振って話を変えようとする。しかし、照れ隠しなのかレナードへの質問に、タイソンは「まるでコメディーショーでも見てる感じだったんじゃないか? “こいつはいったい何なんだ!?”みたいな」とすかさず割り込んでくる。

そんなタイソンを華麗にいなし、レナードは落ちついた表情で「そんなことないさ。確かぼくが君を初めて見たのはHBOで放送された試合。リングに向かってるんだけど、ソックスを履いていないように見えたんだ。ボクシングシューズにソックスを履かないなんて、イカれてると思ったさ。でも、ゴングが鳴ると一瞬でスイッチが入る。猛烈な勢いで相手に襲いかかり、顔とボディーにパンチを叩き込む」とタイソンの素晴らしさを語る。

また「タイソンのボクシングの魅力は、誰と戦うかではなくて試合の“勝ち方そのもの”さ。どれも大いに沸いて、会場はいつも超満員だったよ。スピードも半端ない。当時はボディーが評価されなくなっていたけど、マイクはものすごい数のパンチを相手のボディーに打ち込むのさ。そして相手の腕が落ちたら顔面を捕らえる。マイクの試合は特別だったよ」と、レナードなりの観点で回答した。

マリファナのような物を吸いながら話すタイソンは、少しハイになったのか「左フックで一番多くKOしたけど、それは右の使い方が分かっていたからだよ。ファイトもスピリチュアルなんだ。無意識に身体が動くというか、何が起きているか分からない時がある。気がついたら身体が勝手に動いたりする。ただ調子に乗りすぎるとKOされるけどな」と上機嫌で語る。

これにはさすがのレナードも呆れるかと思いきや、「マイクが言っていることはとても正確だよ。自分も相手を前にすると、そいつのボディーを見るわけじゃない。勝手に手がそこに出るんだ。自分の手がどこに行くべきか分かっている感覚さ。試してみるか?」とタイソンの話に乗って軽口を叩く。

驚いた司会者が「ノーノー!」と答えると、周囲が一斉に笑いに包まれる。タイソンもレナードが軽快なボディー打ちを巧みに使って勝利した試合を思い出したのか、まるで少年に戻ったかのように興奮しながら全身を使ってジェスチャーを交えながら話す。タイソンも美しく切れ味鋭いレナードのパンチで意識を失った相手が、ゆっくり倒れていくをKOシーンを今でも忘れられないようだった。

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