マイク・タイソン、現役復帰の可能性はあるのか?

元世界ヘビー級王者“帝王”マイク・タイソンがリングに帰ってくる。貧困層や薬物中毒者を支援するためのチャリティマッチを行うことを発表し、現在は過酷なトレーニングを続けているとすでに報じられている。「体が悲鳴を上げている」と、本人も漏らすほどのハードトレーニングで自分を追い込んでいるようで、試合までにベストのコンディションを目指すつもりのようだ。たとえチャリティマッチであっても、リングに上がるのならば一切手を抜かない。タイソンは本気である。

そんな帝王の強打をミットで受ける担当トレーニング・コーチのRafael Cordeiro氏は、米スポーツチャンネル<ESPN>に対し「この調子なら、あとわずか半年でリングに上がれるようになる」と語り、さらには「すでに21、22歳くらいの選手とも充分張れるくらいに仕上がってる」と自信を見せた。タイソンは現在53歳。もし本当に20代の選手と戦えるというのなら、チャリティどころか現役復帰も可能なのではと思わず期待してしまう。

Cordeiro氏の発言を受け、人気ボクシング解説者マックス・ケラーマンが自身の見解を番組で語った。果たしてタイソンは現役に戻れるほどに強いのだろうか?

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「さすがに無理でしょう。現役のヘビー級ボクサーと渡り合えるほど強いかといえば、それは違うと思う。理由は様々だけど、まずそもそもタイソンは53歳ですよ。確かに今も速いしパワーもあるし、この世のほとんどの人間よりも強いだろうね。でもピークのころに比べたら当然劣る。仕方ないことだけどね」

マックスの冷静な分析によれば、さすがに現役復帰は「現実的ではない」そうだ。もっともな見解である。いくら強くとも、年齢に打ち勝つのはあまりに難しい。ベストなころの自分と、53歳の自分に大きな差があることは本人もわかっているはずだ。そしてマックスはタイソンの人間性にも触れる。

「でもね、人間の評価は、その人物がどれほどの距離を歩んだかによると思う。彼が歩んできた山あり谷ありの人生、そしていま第2章を歩もうとしていることは、素晴らしいと思うんですよ。僕からしたら、彼が今だに生きているってだけでもすごいことだと思うし、生きていてくれて嬉しい。そして今度はエキシビションをやろうって言い出して、助けを必要としている人々のために自ら行動している」

とはいえ、やはり現役復帰に対しては完全に懐疑的だ。

「復帰ということなら、ジョージ・フォアマンという偉大なカムバックの前例もある。タイソンだったらもっとすごいことになるだろう。タイソンは根っからのアスリートだから、手を抜くことはないだろう。そうなると相手も本気を出す。それで渡り合えるかっていったら、やはり現実的ではないよね。ありえないと思うよ」

番組司会者のマイク・グリーンバーグはこれに対して、「15年前のタイソンはいろいろ問題を抱えてた。15年前は努力しきれなかったけど、いまのタイソンが本気を出したらすごいんじゃないか?」と期待を口にする。ファンとしては、53歳とはいえ本気のタイソンがどこまでやれるのか見てみたいのは理解できる。しかしマックスは「いや、それでも無理だろう。ヘビー級の現役とやりあうのはいくらなんでも無理だ。断言するよ」と、否定する姿勢を曲げなかった。

実際どうなるのかは蓋を開けてみないとわからない。しかしタイソンは、史上最年少でヘビー級王者となり、プロ58戦50勝(内44KO勝利)という驚異の記録を残した常識では計れない男だ。果たしてどんな姿でリングに戻ってくるのか。帝王の帰還は近い。

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