ジョーダンは「自分勝手でイヤな奴だった」 チームメイトが語る“恐怖”

「白黒はっきりさせよう。自分勝手でイヤなやつだったよ。何度も一線を超えた」と語るのは、マイケル・ジョーダンの元チームメイト、ウィル・パデュー。「ああ、殴られたよ。ただ、それは激しい練習中に起こった小競り合いのうちの1つなんだ。ジョーダンが絡んでいてリークされたことで大騒ぎになった。不思議なのは、ケンカの後はみんな一度離れて頭を冷やし、練習を再開したんだ。それだけ激しい練習だったんだよ」と、当時を振り返る。

とにかく自分にも他人にも猛烈に厳しく、ストイックだったジョーダン。シカゴ・ブルズの後期3連覇の一員、ジャド・ブシュラーはチームメイト全員がジョーダンに“恐怖”を感じていたという。そして、誰よりも身をもってそれを感じたのがスティーブ・カーだろう。トレーニングキャンプで反抗的な態度をみせるカーに対し、ジョーダンの返答は言葉ではなく拳だった

ESPN Marketing/YouTube

カーが目に黒い痣を作って翌日の練習に戻ってきた話は有名だ。「あの一件は間違いなく2人の関係を深めてくれたさ。これを聞くと変だと思う人も多いだろうし、誰にも勧めないけどね。痣まで作って関係性を深めるのは」と冗談めかしたカーは、「あれはお互いの競争心のぶつかり合いが生んだんだ。昔は練習がとにかく激しかった。今の時代は選手たちの体調や状態を考慮しながら試合に備えることも練習プランに含まれる。だから当時とは比べものにならない。練習中のケンカなんて日常茶飯事だったし、大きな視点から見ると大したことじゃないんだよ。自分の場合、ジョーダンが僕の競争心を試してきて、それに僕が応じた結果。それ以来、ジョーダンは僕をもっと信用してくれるようになった」と語る。

語弊があるかもしれないが、シカゴ・ブルズが2度目の3連覇という輝かしい黄金時代を築いた80〜90年代のNBAは“喧嘩上等”だった。プレイの上手さだけでなく、“強さ”が勝ち上がるためには必要不可欠だった時代。練習だって試合と同じような想像を絶する激しさだったに違いない。

ジョーダン本人がいじめ役に徹したことについて、ドキュメンタリーシリーズ『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』で語っている。「こんなことしなくても良かったさ。でも、そうしたのは、それが自分という人間だから。それが自分のやり方。俺のメンタリティー。俺と同じステージでプレイしたくないなら、しなければいいだけの話さ。ただ、チームメイト全員に俺のことを聞くといいよ。俺は自分がしないことを他人に押し付けない。みんなそう答えるさ」と振り返るジョーダンの視線は厳しく、後悔のかけらもない。

ファンを熱狂させたプレイの裏には、自分を犠牲にしてでも“勝利”のために戦う真の戦士の姿がある。

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