社会現象を起こした『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』がヒップホップへ与えた影響

稀代のスーパースター、マイケル・ジョーダンの台頭と、90年代のシカゴ・ブルズの黄金期を振り返るドキュメンタリーシリーズ『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』。

Netflix Japan/YouTube

Netflixで独占配信されて世界的大ヒットとなった本作は、LLクールJ、エリック・B.&ラキム、アウトキャスト、ウータン・クランなど90年代のヒップホップ・クラシックが作品に彩りを加えた。

本作は当時のヒップホップ黄金時代を賛美すると同時に、現代のヒップホップにも大きな影響を与えたようだ。ニッキー・ミナージュ、ジャスティン・ビーバー、YG、フューチャー、フレディ・ギブスなど、数々のアーティストたちが今夏以降にリリースした曲には、ジョーダンやチームメイトの名前が頻出している。

これまでのヒップホップ史上でも、ジョーダンはブラックカルチャーを代表する偉大な人物の象徴としてリリックに登場してきたが、2020年のヒップホップシーンにおいても、彼がまるで現役選手であるかのように多くのラッパーたちが取り上げているのだ。たとえば、グッチ・メイン「Step Out」、リル・ダーク「Where They Go」、ティー・グリズリー「Timeless」などにジョーダンの名前が登場する。

ヒップホップアーティストのニック・グラントは、「バスケットボールとヒップホップは誰もが一番になりたいという競争心があるという意味では同じだ」、「ジョーダンほどチームのために尽くし、自分の技術のために努力する人はいない」と語り、自身のミニアルバム「God Bless The Child」では「L.O.V.E.」という曲をジョーダンの精神から刺激を受けて制作したと明かした。

また、ジョーダンはバスケットボールの世界のみならず、自身のシグネチャーモデル「Air Jordan(エア ジョーダン)」によって、ストリートカルチャーやファッションの歴史にも影響を与えてきた。ニッキー・ミナージュは参加したドージャ・キャット「Say So」のリミックスで、MVでも着用したAir Jordanのスニーカーについてラップしている。

Doja Cat/YouTube

そしてジョーダンに加えて、スコッティ・ピッペン、デニス・ロッドマン、スティーブ・カーをはじめとするシカゴ・ブルズを支えた個性豊かなチームメイトも、多数のアーティストたちにインスピレーションを与える存在となっているようだ。ジャスティン・ビーバーは参加したジャック・ハーロウ「WHATS POPPIN」のリミックスで「I’m going wild like Rodman(ロッドマンみたいにワイルドに行く)」とラップしている。また、ラッパーのYGは「Swag」でピッペンの名前を出し、フレディ・ギブスは「1985」でジョーダンとピッペンの関係について独自のストーリーで語り、ワーレイ(Wale)は「MAAJO」で1998年NBAファイナルのシカゴ・ブルズとユタ・ジャズの対戦にふれている。

Freddie Gibbs/YouTube

このようにジョーダン全盛期に生まれ育ったアーティストたちによって、大勢の人々を魅了したドキュメンタリーがきっかけとなり、最新のヒップホップにおいてジョーダンへの敬愛がますます高まるという流れが起きているようだ。あらためてジョーダンはスポーツ、ファッション、ポップカルチャーにおけるアフリカ系アメリカ人の活躍を象徴するレジェンドであることを感じさせられる。

人気ドキュメンタリー『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』はNetflixで独占配信中。

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