マイケル・ジョーダンの「神の手」 残り9秒、伝説の“The Shot”

1998年のNBAといえば、マイケル・ジョーダンが2度目のスリーピート(3連覇)を達成した年である。しかし、その優勝には「あれはどうだったんだろう?」と、未だにNBAファンの間で議論になるプレイがあった。

それは1998年6月14日、NBAファイナル第6戦での出来事。前年と同じくシカゴブルズ対ユタジャズの再戦となったこのシリーズの“最後”に起きた。

ブルズの3勝2敗で迎えたこの試合は、前半を4点差で終えた。そして後半も一進一退の展開が続き、同点のまま膠着状態で試合は最終局面を迎えたが、残り約42秒という状況で、ついに試合が動く。ジャズのポイントガード、ジョン・ストックトンが放った3ポイントが決まり、ジャズが3点のリードを奪ったのだ。

しかし、ここから“ジョーダンショー”が幕を開ける。3Pを決められた次のオフェンスであっさりと2点を返したジョーダン。この時点で残り37秒。

そしてジャズのオフェンスが始まる。ジャズは絶対的エース、カール・マローンにボールを入れる。そして得意のポストプレーを始めようとした瞬間、ジョーダンが背後から現れ、ボールを奪った。そのままボールを運んでいったジョーダンは、1点ビハインドの展開にも関わらず時間をたっぷりと使う。

そして残り9秒、ここからが伝説のプレイとなる。左45度からオフェンスを始めたジョーダンは、ディフェンスのブライオン・ラッセルを相手に真ん中に向かってドリブル。しかし、すぐさまジョーダンは“強烈なクロスオーバー”で左に方向転換し、そのまま教科書通りのシュートフォームで“The Shot”を沈めた。

NBA/YouTube

一見すると「これぞジョーダン!」といったプレイなのだが、背後から撮影された映像を見ると、ある“疑惑”が浮かぶ。クロスオーバーをした際に、ジョーダンがラッセルの右臀部(お尻)を押しているように見えるのである。

これが度々議論になっている瞬間で、このプッシング(相手を押すファウル)によって、ラッセルが体制を崩しあのジャンプシュートに持っていけたのではないか? と言われているのだ。

しかし、この議論に結論を付けられる“理由”がある。まず結論として、これは「ファウル」ではない。その理由として、まず1つ目に審判がコールをしていない。審判はバスケットの試合において“絶対的”な存在であり、その審判がファウルと判断をしていないのだから当然ファウルでないと言うことができる。

2つ目の理由は「ラッセルがあんなに簡単にヨロけるはずがない」。ラッセルは身長203㎝、体重102㎏の大男だ。そのラッセルをジョーダンが左手で少し押しただけで、あそこまで体制を崩すわけがない。ジョーダンのクロスオーバーが“強烈”だったために、その動きについて行けず、体制を崩したと考えるのが自然である。また、ラッセル自身もすぐさま審判に抗議しに行く様子はない。普通、選手がファウルを受けたと感じれば審判に抗議しに行く。これはなにも不思議なことではなく、度々試合でも見受けられる光景だ。

この2つの理由から、あの伝説のショットは正当なプレイであったと言えるのではないのだろうか?

ただ一つ確実に言えるのは、約20年前のプレイが未だに議論されていること自体がジョーダンの伝説たる所以だということ。まさにジョーダンの凄まじさを物語る“神の手”エピソードである。

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