“ヤバすぎる変態フェイク” NBAにユーロステップを広めた男・ジノビリ

今やバスケットのスタンダードな技術になった“ユーロステップ”。通常のレイアップとは違い、ジグザグに進んで相手を惑わすこのステップはドウェイン・ウェイド、ジェームズ・ハーデン、ヤニス・アデトクンボなどが必殺技としているプレイだ。そんなユーロステップをNBAで広めたのは、間違いなくアルゼンチン出身のスター選手マヌ・ジノビリだろう。

Bleacher Report/YouTube

その前にユーロステップの歴史を少し解説すると、このステップ、実はプロ選手が開発したものではない。キューバの政治家・革命家のフィデル・カストロがプライベートでのバスケの中、サッカー選手の動きを参考にして1960年前後に編み出したものなのだ。

こうして生み出されたユーロステップは政治家などの交流によってアメリカに持ち込まれ、1960〜70年代に活躍したエルジン・ベイラーやジュリアス・アービングらが使用した映像が残っている。一方でNBAで広まるまでには至らず。しかし、90年代からヨーロッパ出身の選手が増え始め、リトアニア出身のシャルナス・マーシャローニスが再びNBAに持ち込むと徐々に浸透。そして、2000年代に入りジノビリがNBAで大活躍をし始めると、アメリカ出身のプレイヤー達もついに取り入れ始めたスキルだ。

そんなユーロステップを“NBAスタンダード”レベルにまで極めたジノビリは、いわばフェイクの達人。巧みなシュートフェイクや、パスフェイク、人とは違う動きやタイミングなど、まさに変幻自在である。

NBA/YouTube

そして、先程のユーロステップはジノビリが大きく進化させた技だ。ジグザグに進むだけでもリズムが変わって驚異的であるが、ジノビリはトラベリングギリギリのタイミングでユーロステップを踏む。つまり選手の体感では、反則をしているかのように錯覚してしまうのだ。この独特のリズムは唯一無二、完全にジノビリ独自の“スペシャル”なスキルとして確立された。

NBA/YouTube

圧倒的な技術でNBAを席巻したジノビリ。チームメイトのティム・ダンカン、トニー・パーカーと共に長年“BIG3”として活躍し計4度の優勝。サンアントニオ・スパーズの永久欠番にもなった。そして、ずっとHCを務めていたグレッグ・ポポビッチは「コート内外でとても魅力的な男だった。ジノビリなしでは優勝できなかっただろう」と評する。“アルゼンチンタンゴ”でNBAを踊り回った男のプレイは、いつでも我々の目を釘付けにしてしまう。

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