世界をザワつかせてる 『Lupin/ルパン』とは何者なのか?

Netflix発のフランスのドラマシリーズ『Lupin/ルパン』が配信されている。日本で“ルパン”といえばもちろん、モンキー・パンチ先生の『ルパン三世』が思い出されるわけだが、フランス版ルパンは「ルパン三世」の実写版には非ず。
フランスの作家モーリス・ルブランによる小説『怪盗紳士ルパン』から着想を得た怪盗、報復劇『Lupin/ルパン』は痛快でスリリングで、1話からトップスピードで畳み掛けてくる面白さ。なぜここまで世界的大ヒットを飛ばしているのか、主人公であるルパンとは何者なのだろうか。

Netflix UK & Ireland /YouTube

『Lupin/ルパン』の主人公は、フランスの作家モーリス・ルブランによる小説「怪盗紳士ルパン」シリーズの主人公アルセーヌ・ルパンにインスパイアされたキャラクター、アセーヌ・ディオプである。子どもの頃セネガルから移住してきたアセーヌは、最愛の父親が宝石泥棒の罪で濡れ衣を着せられ自殺に追い込まれたことをきっかけに人生が変わっていく。

父からもらった小説『怪盗紳士ルパン』に影響されると、その仇を討つためにアンチヒーローとして暗躍するようになるのである。『Lupin/ルパン』は現代のパリを舞台にド派手なアクションシーンあり、また親子の絆、権力闘争、人種問題、裏切り、ロマンス等々様々な要素が絡み合い、エンタメ性の高くスタイリッシュな作品となっている。

また小説の中のルパンは変装の達人として知られているが、『Lupin/ルパン』でもアセーヌ・ディオプの変装シーンはシリーズのハイライトのひとつなので要チェックである。なお、主人公のアセーヌを演じるのは、映画『最強のふたり』等で知られるフランスで最も人気のある俳優/コメディアンのオマール・シー。笑顔が印象的な俳優だが、今回はシリアスな演技が光る。

さて、ルパンは1905年に出版された短編小説『アルセーヌ・ルパンの逮捕』で初めて登場すると、その後、長編17編、中編39編、短編3編を通して描かれた人気キャラクターとなった。ルパンを形容するのに、「フランスのシャーロック・ホームズ」という表現が使われることがあるが、ルパンとシャーロックの間にはちょっとした軋轢があるようだ。1906年、ルブランは年老いたシャーロック・ホームズが、自身の若かりし頃の颯爽としたキャラクターに出会うという物語を書いている。ところが「シャーロック・ホームズ」の作者であるアーサー・コナン・ドイルはこれを著作権侵害だと訴え、それ以来ルブランの作品の中のホームズのキャラクターは“ハーロック・ショルメス”と名前を変えて登場する。

ホームズは探偵として難解な犯罪を事件を解決するのに対し、ルパンは“人を欺く”“騙す”というスキルを駆使して盗みを働いていくというキャラクターの設定にも決定的な違いがあり、「フランスのシャーロック・ホームズ」という形容は、ルブランとしては不本意なものだろう。

ちなみに、日本発の『ルパン三世』のルパンは、アルセーヌ・ルパンの孫という設定だが、ルブランの『アルセーヌ・ルパン」シリーズはこの他にも各国でドラマ化やミュージカル化が行われ、時代を超えて愛されてきた。しかし、こうした作品たちとは全く違った切り口で制作された『Lupin/ルパン』は、オマージュとしても、そして小説版や過去の作品を知らずとも必ず楽しめる作品だ。

Lupin/ルパン』は現在、前半5話までがNetflixで好評配信中。4月から後半5話が配信される予定だ。

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