リル・キム、リルウジ… “Lil”の名がつくラッパー8選

リル・ウェイン、リル・ベイビー、リルウジ…そもそも“Lil”の名前はいつ始まったのか。もともとストリートではよくあるニックネームだったのが、ヒップホップの世界に浸透し始めたのはおそらく1988年、ヒューストン出身のリル・トロイ(Lil Troy)が台頭した時だろう。あるいは、リル・キム(Lil’ Kim)とリル・シーズ(Lil’ Cease)が90年代中期に登場した時が本格的な“Lil”の系譜の始まりかもしれない。それ以降20年間に渡って、カントリー・トラップのラッパーからネットの有名人まで“Lil”を名乗るようになった。JASON RODMANが聞くべき“Lil”の名がつくラッパーを選出した。

リル・ウェイン(Lil Wayne)

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“いま生きてる中で最高のラッパー”と自ら名乗ったのは2005年、アルバム『Tha Carter Ⅱ』をリリースしたとき。しかし、そのビッグ・マウスもあながちデタラメではない。ニューオリンズ出身の彼はチャート的にも最も売れたアーティストの一人であり、ヒップホップへの貢献はあまりにも大きく、印象的なリリックやライムは数知れない。同時代で言えばニッキー・ミナージュやドレイクと並ぶヒップホップ界の最重要アーティストなのは疑いようがない。

リル・ダーク(Lil Durk)

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1992年シカゴ生まれ。7歳で父を亡くし、若くして犯罪に手を染めながらも貧しい家庭を支え、ラッパーとして活動してきた。記憶、ジャーナリズム、フィクションを織り交ぜ、彼の言う”溝(The trenches)”に生きる人々の生を描くリリックを得意とする。金と名声を追い求めながらも自らのルーツを愛するダークは、シカゴきってのストーリーテラーである。

リル・ピープ(Lil Peep)

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1996年、ペンシルバニア生まれ、ニューヨーク州ロングアイランド育ち。ピープはエモやグランジを取り入れたエモ・ラップ/エモ・トラップの旗手として知られる。ヒップホップに染み付いてきたサウンドやイメージを前進させ、新しいスタイルを打ち出し始めた新世代のラッパーたちの筆頭である。ロックからの影響を公言し“ラップ界のカート・コバーン”とも呼ばれ、その陰鬱で美しいリリックとトラックで異彩を放っていた。2017年にオーバードーズで亡くなったが、その影響の大きさはこれから確実に証明されてゆくこととなるだろう。

リル・ビー(Lil B)

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1989年カリフォルニアに生まれたビーは、ヒップホップ界の異端児だ。1年で13本ものミックステープをリリースするほど才気走っており、一方では科学や政治にまつわる講演会やスピーチ活動などでカルト的フォロワーを生むなど、まるで表現意欲の塊のような活動を繰り広げている。ラップスタイルもヒップホップの固定観念をことあるごとに拒絶し、ヒップホップ・コミュニティからも敬意と憎悪を同時に集める稀有な存在である。

リル・シーズ(Lil’ Cease)

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1977年ブルックリン生まれ、シーズはノトーリアス・B.I.G.の配下の一人としてよく知られているが、ヒップホップ黄金期における彼個人の活動はもっと讃えられるべきだ。Junior M.A.F.I.A.の一員として1995年『Conspiracy』でデビューして以来20年の長きに渡って前線で活動。彼のアルバム『The Wonderful World Of Cease a Leo』は、それだけでも90年代に必須のプレイリストだ。

リル・ベイビー(Lil Baby)

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“小さな”、“赤ちゃん”。確かに、名前はふざけているけど、彼のセンスとスキルは補ってあまりあるほど突き抜けている。わずか一年という短い間に「Drip Too Hard」や「Yes Indeed」といったナンバーでシーンを登り詰めたベイビー。少し鼻にかかった声は、せめぎ合うアトランタのシーンで不動のものとなった。フックとメロディ豊かなトラックは多くの耳とハートを捕らえ、彼を今まさにスターダムに押し上げている。1994年生まれ、いま最ものっているラッパーの一人だ。

リル・ウージー・ヴァート(Lil Uzi Vert)

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1994年生まれ、フィラデルフィア出身。時代とともにどんどん広がってゆくジャンルの細分化、世代間の差。そんなシーンで中心的なポジションを常にキープしているのがリルウジだ。マリリン・マンソンに多大なる影響を受けたと公言しているように、ラップ、スクリーモ、エモ、ファンク、アムストラクト・ポップなど多岐にわたるジャンルをクロスオーバーさせる。また、<SoundCloud>からも発信するなど、奔放なスタイルはインターネット世代的であり、現代ヒップホップを再定義していると言っていいだろう。

リル・キム(Lil’ Kim)

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やはり、“Lil”界の王冠はこの人に捧げなければいけない。いや、“Lil”界だけにとどまらず、彼女こそ最初の“クイーン”なのだ。1974年生まれ95年デビュー、女性ラッパーとして成功した数少ない最初の一人であり、ニューヨークのサウンドと攻撃的なライムでノトーリアス・B.I.G.やジェイ・Zたちとともにシーンを牽引した。そして、後続の女性アーティストたちにとっては道を照らす開拓者だった。変幻自在なラップスタイルを「服を着替えるようにフロウ・スタイルもスイッチできる」と自負しており、全方位なラップでセクシュアリティやセックス・アピールについて表現した。その向こう見ずで奔放で、何より自由なスタイルが切り開いた地平は、現在のシーンを見れば一目瞭然。キムがいなければ存在しなかったかもしれない女性アーティストがたくさんいると言える。

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