パラサイト 半地下の家族から新感染、グエムルまで 傑作韓国映画BEST8

2021年も韓国映画は元気だ。「新感染 ファイナル・エクスプレス」の4年後の世界を描く『新感染半島 ファイナル・ステージ』(1月1日公開)、「第93回 アカデミー賞」国際長編映画賞の韓国代表に選ばれたイ・ビョンホン主演『KCIA 南山の部長たち』(1月22日公開)、日本の犯罪小説を韓国最強スタッフ&キャスト陣で映画化した『藁にもすがる獣たち』(2月19日公開)、Netflix人気ドラマ「梨泰院クラス」でトランスジェンダーのマ・ヒョニ役を演じ、大ブレイクを果たしたイ・ジュヨン主演の傑作青春映画『野球少女』(2021年3月公開)、イ・ビョンホン×ハ・ジョンウ×マ・ドンソクという韓国最高の俳優陣が豪華共演を果たした『白頭山大噴火(原題:白頭山)』(2021年夏公開)が控えている。
毎年続々と名作を放つ韓国映画だが、ぜひ観ておいて欲しい韓国映画の底力を感じさせる傑作群をJASON RODMANが選出した。

『グエムル -漢江の怪物-』(2006年)

『パラサイト』のポン・ジュノ監督が2006年に世に放った異色のパニックエンターテインメント。本作が特筆すべきは、モンスターが出てくる単なるパニックムービーではなく、その裏に韓国に蔓延る格差社会を描いている点だ。『パラサイト』で父親を演じたソン・ガンホが、謎の怪物グエムルにさらわれた娘を助け出すため奔走する父親を演じている。グエムルが最初に現れるシーンは必見だ。
この映画は、在韓米軍の関係者が、部下に命じてホルムアルデヒドを漢江に流し捨て、のちに環境破壊や公害、そして死者を生み出した実際の事件がきっかけで作られたと言われている。韓国の貧しい人々の生きる悲しみと希望が入り混じった現実を理解するためにもぜひ見てほしい貴重な作品だ。

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『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)

カンヌ映画祭ミッドナイト・スクリーニング部門ほか海外の名だたる映画祭に出品され話題となり、156カ国から買いつけオファーが殺到したパニックホラー。
ソウル発プサン行きの高速鉄道KTX車内で突如起こった感染爆発。疾走する密室で凶暴化する感染者たち。感染=死を意味する究極のサバイバルシチュエーションの中で、乗客たちは無事終着駅に辿り着けるのか……というストーリー。韓国を代表する俳優コン・ユやマ・ドンソクらが出演、愛する者を守るために決死の闘いを繰り広げる。
本作から4年後が舞台となる待望の続編『新感染半島 ファイナル・ステージ』(監督は同じくヨン・サンホ)がカン・ドンウォン主演で1月1日に公開。人間を凶暴化させる謎のウィルスの感染爆発で荒廃したソウルに、ある任務を果たすため戻ってきた元兵士の男が窮地を救われた母子とともに半島からの決死の脱出を図る。

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『殺人の追憶』(2003年)

ポン・ジュノ監督の名を世界に知らしめた名作。後にポン・ジュノが全幅の信頼を置くことになるソン・ガンホが主演を務めている。
デヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』を思わせる暗くおどろおどろしい雰囲気が全編を漂う中、シリアルキラーを追う二人の刑事の姿が描かれる。陰惨な猟奇殺人は1980年代から1990年代にかけておき、当時未解決だった連続殺人事件をベースに描かれたことも話題となった。クエンティン・タランティーノも大のお気に入りと公言する傑作だ。

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『シュリ』(1999年)

韓国映画が日本で異例の大ヒットを打ち立てた先駆的作品。北朝鮮の凄腕女性工作員と、彼女を追う韓国の情報部員の悲恋に号泣するファンも続出した。
女工作員役を演じたキム・ユンジンはこの作品をきっかけに、世界中で中毒者続出となった海外人気ドラマ『LOST』にメインキャストの一人として出演、国際的女優へと大躍進を遂げた。主演のハン・ソッキュもその後の活躍は言わずもがな、韓国を代表する俳優に。他にも後に韓国映画界を担うことになるチェ・ミンシクやソン・ガンホも出演しており、今となっては豪華すぎるキャストも楽しめる。

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『ブラザーフッド』(2004年)

『シュリ』のカン・ジェギュ監督が4年ぶりに手がけた感動の戦争アクション超大作。当時人気絶頂だったチャン・ドンゴンとウォンビンが兄弟役で主演している。1950年代の朝鮮戦争の時代に、徴兵された弟を守るため自らも兵を志願した兄。過酷な戦時下における兄弟愛と二人を翻弄する過酷な運命を描き日本でも大ヒットした。韓国ではそれまで観客動員数1位だった『シルミド』を抜いて韓国映画史上最多の動員記録を記念碑的作品。

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『シークレット・サンシャイン』(2007年)

『オアシス』でベネチア国際映画祭3部門を授賞したイ・チャンドン監督が、『オアシス』以来5年ぶりにメガホンをとった究極のラブストーリー。
息子と再出発するため事故で死んだ夫の生まれ故郷に引っ越してきたシネ(チョン・ドヨン)。自動車修理工場を営む男(ソン・ガンホ)と出会い、新しい環境に少しずつ慣れ慎ましく暮らしていたが、ある日息子が誘拐されて……。
チョン・ドヨンは本作の演技で、韓国人で初めてカンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞している。不条理な現実と魂の救済を描いた韓国を代表する秀逸な人間ドラマの一つだ。

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『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』(2017年)

韓国の現代史において最大の悲劇と言わる1980年5月に起きた光州事件を、事件を追うドイツ人記者を成り行きで乗せることになったタクシー運転手の目線で描き出した感動作だ。ソウルのタクシー運転手マンソプは「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」という言葉につられ、英語も分からぬままドイツ人記者ピーターを乗せて、光州を目指す。どうしてもタクシー代を受け取りたいがために、マンソプは機転を利かせて検問を切り抜け、なんとか時間ギリギリで光州へ。しかしピーターが撮影を始める中状況は徐々に悪化し、マンソプは1人で家に留守番させている幼い娘が気になり焦るのだが……。ソン・ガンホは本作でもリアリティ溢れる盤石の演技を見せている。辛い歴史と、悲劇的な状況下での男たちの友情に必涙の一作だ。

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『パラサイト 半地下の家族』(2019年)

仏カンヌ国際映画際パルムドールに続き、米アカデミー賞では作品賞など4冠を獲得した映画『パラサイト 半地下の家族』。2大映画イベントにおいてダブル受賞を達成した作品は64年ぶりであり、非英語圏の映画としては初となる快挙だ。
全員失業中の貧しい一家とIT企業を経営する裕福な社長一家という相反する2つの家族の出会いから想像を遥かに超える展開へと加速していく物語。
しがない内職で日々を繋ぐ貧しいキム一家。彼らは、窓を開ければ目の前に地面、日の光もほとんど入らず、水圧が低いために家の一番高い位置にトイレが鎮座する“半地下”の家での生活から抜け出せずにいる。そんな生活は、豪邸に住む裕福なパク社長一家との出会いで、果たしてどのように変化していくのか。
貧富格差、学歴社会、雇用問題、…いま世界が直面している問題への痛烈な批判を内包しつつも、映画すべての要素を完璧に融合させた、超一級のエンターテインメントに仕上がっている。

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