批判多いのは注目されてる証拠 王者・木村ミノル、K-1で戦う理由

木村“フィリップ”ミノルはK-1のリングで鎬(しのぎ)を削るファイターであると同時に、我々と同じく日々配信される最新の音源やMVをチェックし、ストリートの動向に注意を払う熱心なラップファンでもある。この連載では、そんな木村選手のラップと格闘技まみれの日常をお届けしていく。

さる3月22日に開催された「K-1 WORLD GP第3代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメント」にて、見事優勝を果たした木村選手。目標だったチャンピオンとなったことで、K-1との「関わり方」を見直しつつあるようだ。

■王者になったからこそK-1で留まって、大きくしていきたい

―チャンピオンというゴールにひとまず到達したわけですが、次の展開などは考えていますか?

ミノル「K- 1で結果を出した選手って、外に出て戦うパターンが多いんですよ。より大きなステージを求めてステップアップしようってことなんでしょう。うん、それも良いと思います。でも僕は違うんですよ。K-1に留まって、内側から大きくしていきたい。僕の力で、すでに大きな結果を出している海外のボクサーやファイターが、『俺もそろそろK- 1かな』って言うようになってくれたら最高。そのためにも、これからは戦いながら、同時に裏方の仕事もやって行きたいって思ってるんです」

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―「裏方」と言っても色々あると思います。具体的には?

ミノル「例えば、若手選手をプロデュースしたりフックアップしたいですよね。お客さんの盛り上げ方を教えることだったり、キャラクターを引き出すことだったり。『小さなことだろ』『そんなのどうでもいいことだろ』って思うかも知れないですけど、ここを丁寧にセンスよくやっていくだけで、状況は相当変わってくると思います。今のK-1にはオリジナリティを持った若手が大勢いるんですが、いまひとつ持ち味を発揮できていない。僕から見ると凄くもったいない。『僕なら彼らの良さをしっかりと引き出していけるのに』って思っちゃうんですよ。僕から見るとK-1って、まだまだ伸びしろがある団体なんですよ。ただ、より良くしようと思うなら、選手の視点も取り入れたほうが良い。選手だから気付く部分っていうのも確実にあるんで。裏方の会議に選手を出席させたら、かなり色んなことが見えてくるはずです」

―K-1愛が爆発してますね

ミノル「自分が所属している団体を盛り上げたいって気持ちもあるけど、単純にK-1でやるのが一番シブいと思ってるんですよね。なんといっても歴史があるし、批判されることも多い団体ですけど、それって裏を返せば注目を集めているってこと。皆さん、好きだから、気になるからこそ批判してくださっているんだと思ってます」

■K-1ジム五反田チームキングスは独自のスタイル、個性を作っていく

―いま注目している若手はいますか?

ミノル「同じジム(K-1ジム五反田チームキングス)の玖村将史(くむらまさし)はセンスがいいです。格闘技はもちろん、音楽やファッションみたいなカルチャー面でも。僕とも話が合うんですよ」

―ルックス良くて女性ファンも多いのに、全然チャラくないですよね。

 ミノル「そうなんですよね。(ルックスの良さを)利用しようと思えば出来るんだけど、そこは抑えてる感じで。無駄に自分を大きく見せないのは、おそらく一瞬の人気は必要としてないから。だから最近Krushのタイトル(第6代Krushスーパー・バンタム級王者)も獲ったんですが、大ブレイクには至っていない」

―もっと目立つ動きをしたほうが良い?

ミノル「いや。彼みたいなタイプは、コツコツやって花開いた方がいい。ファイターとして勲章とか傷を増やして…そうしたら人気と実力を兼ね備えた凄い選手になるはず。彼みたいなトータルでセンスの良い選手が増えて、活躍するようになれば、他の選手も良い影響を受けると思います。そうなれば団体全体が良くなって行きますよね」

―ミノルさんと玖村さんが所属している「K-1ジム五反田チームキングス」って、どんなクルーなんですか?

 ミノル「”クルー”ですか(笑)。あんまりそういう感じじゃなくて、ごく普通の真面目なジムですよ。 僕はジムを久保君との繋がりで入りました。ただ僕と久保君って、あんまり五反田のジムに行かずに、個人で練習してるんですけどね」

―とはいえ若手選手の指導もしてるんですよね?

ミノル「それはもちろん。ただ僕と久保君って、若手にベッタリ寄り添って、付きっきりで教えるタイプではないんです。あくまでヒントを与えるだけ。料理で例えるなら、作り方を教えるんじゃなく、出来上がった味を教える感じですね。ゴールにどう向うかは自分で考えて欲しい。これは格闘技に限った話でもないと思うんですが、一人で一生好きなことだけやって食べていこうと思ったら、結局は自分だけのスタイルを持ってることが重要になってきますよね。僕や久保君だって教えようと思えば、教えられるんです。でもそれじゃ僕らのコピーが出来上がって終わり。意味ないですよね。自分自身のためにも、しっかり考えて、じっくり独自のスタイルを作り上げていって欲しい。個性を作って欲しいんですよ。K-1ジム五反田チームキングスはそういう場所ですね」

―どんな感じで教えてるんですか?

ミノル「僕と久保選手のキャラクターの違いが出てますね。久保選手はロジックを重視しつつ、体の使い方を教えたりする。僕は本能とか瞬発力で戦うタイプなんで、試合に臨む心構えとか、試合中の心理戦について教えることが多いです。同じことを教えるのでも、久保君って僕とはアプローチが全く違うのが面白い。ある意味で正反対なので、若手も質問の内容によって、どちらに相談するかを判断してるみたいです」

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取材・構成・撮影 吉田大

©︎K-1

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