五輪でメダル争いに残れる感触はある 男子スケートボード「パーク」シーンの国内トップライダー、笹岡建介

一年の延期が正式に決まった東京オリンピック。もちろん原因は新型コロナウイルスの世界的感染拡大であり、今はこのパンデミックをどう収束させるかが人類の最重要課題であることは間違いない。しかし、この事実がメダルの行方に少なからず影響を与えるであろうことも想像に難くない。

スケートボードもオリンピックにおいてメダル獲得の有力競技と目されてきた。この1年の延期がどう出るのかは本番を迎えてみなければわからないが、ここではその中で期待が膨らむ種目である男子のパークをピックアップしてみたい。

現状、男子のパークは他の種目と比べ未だ世界大会で決勝進出を果たしておらず、世界との差を最も痛感する種目となっているが、国内でトップに立つ笹岡建介は、ケガに悩ませられながらもこの数年間世界と戦ってきたことで、上位進出へ向けて確かな手応えを感じとっているようだ。そこで、彼の人物像を掘り下げることで未来へ向けた可能性を探ってみたい。

スケート一家に生まれた末っ子エリート

笹岡建介のことを語るのであれば、スケートボードには出会うべくして出会ったという以外に適当な言葉が見つからない。父親の笹岡賢治氏は全日本のジュニア王者にも上り詰めたほどの実力者で、3兄弟は全員がスケーター。長男の拳道も国内のトップライダーを経て、今は世界王者の岡本碧優のコーチを務めている。これほどスケート一家という言葉がピタリとはまる人物も珍しいだろう。
4~5歳の頃にスノーボードのオフトレとして始めたのがキャリアのスタートとなったが、周りには常に先を行く兄がいた末っ子の建介は、そのような環境下で切磋琢磨してきたことで、トランジションマスターとして日本を代表する存在にまで上り詰めた。

そしてここ数年は世界に目を向け、頻繁に海外のコンテストに出場するようになった。最初は結果の残せない日々が続いたが、それでも出場し続けることで徐々に世界の場でも名前を知られるようになり、今では定期的に渡米して本場アメリカのトッププロとも交流を重ねるまでに成長。そうして着実に積み上げた経験値で、一歩一歩世界のトップに近づいている。

その現状を兄の拳道はこのように語る。
「実はスケートボードのパーク種目の場合、海外経験が浅い選手だと公開練習でコースに入っても、他の選手があからさまに行かせないように妨害するといった見えない攻防があるんです。そんな中では日頃のスキルはなかなか発揮できません。でも建介に限って言えば、海外経験を多く積んできたことでトップの選手とも仲が良くなって、公開練習でも譲ってくれたりするようになりました。その点は他の日本人選手にはない建介の強みだと思っています。オリンピックが1年延期になったことはモチベーションの面では大変ですが、ケガがありながらも去年1年でだいぶ成長したので、この1年ケガなく順調に成長していけば、世界との差は縮まるんじゃないかと思っています。より良い練習していけば有利に働くと思いますね」

決勝に残れる感触はある

男子パークが未だ世界大会で決勝進出を果たしていないのは前述の通りだが、現状はどこに世界との差があるのだろうか。ここからは笹岡建介本人の言葉からオリンピックに向けた可能性を探ってみたい。

「正直、数年前にVans Park Seriesのチャンピオンシップに出た時は、絶対に無理だなと思ったんです。でも、ここ最近は一緒に戦えるレベルに近づいてきたなという実感があるんですよ。その証拠に去年のDEW TOURでは10位だったので。もちろんそれにもいくつか理由があります。ひとつは絶対にメイクできるトリックを持てたことです。自分の場合はそれがボディージャーとF/Sノーズグラインドになるんですが、これは絶対にコンテストでやるようにしています。しかもただ単にやるのではなく、パーク内で他の人がやっていないセクションとか、より難易度が高いところでやるんです。自信があるトリックならそれも可能だと思うし、実際にそうしたら点数も伸びたので、今後もキープしていきたいと思ってます。あとはルーティーンの終盤で疲れもある時に持ってくるラストトリックの難易度と精度ですね。今までの経験からトリックの選び方やルーティーンの組み方など、コンテストで勝てる要素、得点が取れる要素がわかってきたので、そこが上がってくれば決勝進出だけでなくその先も十分に狙えるんじゃないかと思っています。そのために、今は上位のライダーのいろいろな動画を見て、真似できるところは真似して自分流にアレンジするという上積み作業をしているところです。あとはやっぱり基本的なところですが、スピードやエアーの高さのクオリティを今以上に上げていくことですね。パーク競技ではそこがものすごく重要なので」と現状を冷静に分析している。

この1年の延期は、世界のトップを追う者にとっては本当に有利働くのか!?

彼にはぜひ有言実行してもらい、来夏のオリンピック決勝の舞台でメダル争いをしてもらいたいと切に願う。

RUN1/10:10

こちらは彼がインタビュー中に答えていた昨年のDEW TOURの映像。パークは45秒のランを3回行い、その中のベストスコアを採用する形をとっている。この時の彼のベストスコアは、10分10秒から始まる1本目。前述のボディージャーは10分20秒の2トリック目、F/Sノーズグラインドは11分00秒のラストトリックで披露。どちらもコース内の最も深く湾曲している難易度が高い部分でメイクしているしているから高得点に繋がっている。

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