アメリカの極悪刑務所を生き抜いた「侠」 チカーノKEI、生き様は文字に出る

書籍『KEI チカーノになった日本人』やドキュメンタリー映画『HOMIE KEI ~チカーノになった日本人~』をはじめ、最近ではYouTubeの活動でも注目を集めるKEIこと井上ケイ。このたび、その壮絶かつ濃厚すぎる経験を元に書きためた人生哲学「書」を130点にわたって収録した『昭和に生まれた侠の懺悔』(KEI 著/東京キララ社)が出版された。

元歌舞伎町のヤクザだったKEI氏はFBIのおとり捜査によって逮捕され、抗争や殺人が絶えないアメリカの刑務所で10年以上にわたり服役。たった1人の日本人として徒党を組まずに暴れまくっていたが、刑務所内でチカーノと呼ばれるメキシコ系アメリカ人のギャングたちと出会い、家族愛と友情を学ぶことで新たな人生に目覚めた。現在は青少年の育成や児童虐待問題に取り組む団体を運営しつつ、自らもカウンセラーとしても活動している。

本作『昭和に生まれた侠の懺悔』には、その日に起こった良いことや嫌なこと、感じたことなどを書きためてきたものが収められている。仲間や家族を信頼することの大切さ、迷いが生じた自分自身への鼓舞、息子への想いや死生観にいたるまでが力強くまっすぐな言葉で綴られている。壮絶を極めるKEI氏のバックグラウンド、そして現在の穏やかで紳士的な彼の立ち居振る舞いを知っているならば、言葉の重みと説得力はより強固なものとなって心に響くはずだ。

そして、本書における最大の見どころはKEI氏の書く文字の素晴らしさだろう。毛筆で書かれた「書」の数々は、驚くほど完璧な美しさをたたえており、全体のバランス、読みやすさも申し分ない。何より、文字そのものからエネルギーが溢れている。

一般的に「手書きの文字は人間性がにじみ出る」とされ、心が整っていて落ち着きのある人は綺麗な字を書くと言われている。暴走族を経てヤクザ街道をひた走っていた頃、はたまた異国の極悪刑務所で毎晩ナイフを忍ばせながら寝たふりをしていた頃、KEI氏は果たしてどんな文字を書いていたのだろうか。いずれにせよ、彼はやり直した人生を今日まで真摯に歩み続けてきていることを、この美しき「書」は物語っている。

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©︎映画「HOMIE KEI チカーノになった日本人」製作委員会

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