「強さに憧れた」 桜庭和志に影響を与えたプロレスラーとは?

UFC殿堂入りという称号を持つ日本人唯一の総合格闘家にしてプロレスラーの桜庭和志。「IQレスラー」と呼ばれ、UFC-J王者となった際には「プロレスラーは本当は強いんです」と発言。「グレイシー・ハンター」として、当時隆盛を極めていたグレイシー一族を次々と倒す姿は日本の格闘技ファンを熱狂させた。

そんな桜庭の軌跡について書かれた本が柳澤健の著書『2000年の桜庭和志』(文藝春秋)だ。2020年2月に刊行した同著では桜庭が強さを追い求めた原点とも言える過去が綴られている。

桜庭がプロレスに出会ったのは1982年の夏。出身地である秋田県南秋田郡にある書店で『タイガーマスク二世』のコミックに目を惹かれた。中身よりも表紙に使われていた、虎のマスクをつけた本物のレスラーがリング上を高く舞う姿に強い印象を受けたという。このとき桜庭は、漫画の表紙のためにわざわざリングを組み、客を入れ、特製のマスクを作って撮影をしたと思い込んでいたのだとか。のどかな田舎で育った桜庭少年は、新日本プロレスでタイガーマスクが実際に大活躍をしていることなど、まったく知らなかったのだ。

そして桜庭の地元では深夜の時間帯に放送されていた『ワールドプロレスリング』にのめりこんでいく。もちろん漫画のなかにしかいないと思っていたヒーロー、タイガーマスクの活躍に魅了されていったそう。このときのタイガーマスクの印象について桜庭は「本当にやっていると思っていました。華麗な空中殺法ではなく、強さに憧れたんです」と語っている。

著者の柳澤氏は、桜庭があとがきで「強さに憧れた」と強調していることに注目。タイガーマスクこと佐山聡が「打撃から始まるプロレス」を展開し、“打投極”という総合格闘技の思想をプロレスのなかで表現していたと解説。桜庭の憧れは、既に理想とする強さに結びついていたことを知ることができるエピソードだと言えるだろう。

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