地元・茨城のLUNCH TIME SPEAXから常磐線周辺、BUDDHA BRAND〜ニトロへ

「カミナリ」といえば、茨城弁による掛け合いと激しい「どつき」で注目を集める人気漫才コンビ。ツッコミ担当の石田たくみ氏は、お笑い界を代表するヒップホップ・ファンとしても知られている。
そんなたくみ氏が愛して止まない日本のヒップホップについて語り倒す新連載。記念すべき第1回は、自身がMCを務める「ABEMATVの人気ヒップホップ番組『MUSIC BOMB』の裏側」、そして「ヒップホップとの出会いがテーマ」。是非とも茨城弁に脳内変換してお読みください!

「僕にとって、ラッパーはスーパーヒーローとか怪獣みたいな存在」

―今回から日本のヒップホップについて話していただく企画がスタートしました。よろしくお願いいたします!今日はラッパーと対談するABEMATVの人気番組『MUSIC BOMB』の収録現場にお邪魔しました。

たくみ「ラッパーの方々って、ファッションがカッコよくて、あとはタトゥーが沢山入ってたり、体が大きくて強そうだったり、時には悪そうだったりするじゃないですか?正直言って、これまで僕の周りにはいなかったタイプなんですよね。言ったらスーパーヒーローとか巨大怪獣みたいな存在なんです。で、スーパーヒーローや怪獣って、遠くから見ていれば気楽に、安全に楽しめますけど…(笑)だから『MUSIC BOMB』でMCをやらないかってオファーが来たときは、ものすごく嬉しかった反面、ちょっと身構えました(笑)」

YouTube

―実際に番組が始まってみてどうでしたか?

たくみ「僕は番組収録で緊張するタイプではないんです。でも『MUSIC BOMB』の収録前日になると胃がキュ〜っと締め付けられる感覚になる(笑)。ラッパーへのリスペクトの気持ちが強過ぎるんだと思います。1人だったら、絶対にガチガチになってしまいますね。ただ実際は相方のまなぶが横にいてくれて、訳のわからない話、たとえば唐突にラッパーの方に性癖を聞いたりする(笑)。『おいおい!』と思う半面、あれで気持ちがほぐれるところはありますね。そこは素直にありがたいと思ってます」

―普段のテンションに引き戻してくれるわけですね。ところで今日は1日で6組ものアーティストとトークしていました。気持ちの切り替えが大変なのでは?

たくみ「ですね。それなりに日本のヒップホップを聴いてきた自信はあるのですが、もちろん全てのアーティストを網羅しているわけではないので。時には通ってきていないアーティストがゲストに来ることもあるんです。でも人によってテンションが上がり下がりしてしまうのは不自然だし、何より相手に失礼じゃないですか?そこは心がけてますね。あと『禁句』に気を付けてます」

―と、いいますと?

たくみ「色々あるんですけど、例えばビーフ中のアーティストの名前だったりとかですね。せっかく来ていただいたわけですから出来るだけ不快な気分にさせないように心がけてます」

―ちゃんとヒップホップを追いかけてる人ならではの配慮ですよね。

たくみ「ただ『意外』と言ったら失礼なんですけど、一見すると悪そうな方でも、じっくり話してみると優しかったりするんですよ。今日出演して頂いた般若さんも恐い方と思いきや、本当に気さくな方で。」

YouTube

「茨城にこんなカッコ良いラップグループがいるのか!」

―たくみさんがヒップホップ好きは、どこら辺から入ったのでしょうか?

たくみ「子供の頃からラップ好きではあったんです。当時はもうDragon Ash、KICK THE CAN CREW、ケツメイシ、 Steady&Co.が売れてましたから。ただ本格的に聴くようになったのは、相方のまなぶが教えてくれた水戸出身のラップグループ「LUNCH TIME SPEAX」から。初めて聴いたときは「茨城にこんなカッコ良いラップグループがいるのか!」と驚きました。そこから茨城のラッパーを聴くようになっていくんです」

ーどんなアーティストを発見しました?

たくみ「まず石岡市(※)にMARS MANIEさんとKEN WHEELさんのグループ『FULL CONTACT』がいることを知るんです。「石岡を”STONEHILL”って言っちゃうのか!」って衝撃を受けたました(笑)。あとWOODSMANさんってラッパーもいましたし…もちろんt-Aceさんはずっと知っていました。当時は「やっぱり茨城のヒップホップはヤバいじゃねえか」って、すごく興奮しながら聴いてましたね。

※石岡市:いしおか。茨城県南の市

MARS MARNIE – STONEHILL (feat. SMOKEY GUNZ)

YouTube

―t-Ace、WOODSMANと言えば、GOCCI(LUNCH TIME SPEAX)と「SLASH SPIT SQUADRON(スラッシュ・スピリット・スクワドロン)」ってグループをやってましたよね。あと「24 Bars To Kill”M.T.C. REMIX”」で共演もしていました。

24 Bars To Kill “M.T.C. REMIX” feat. t-Ace, Dear’Bro, Gocci & Woodsman

YouTube

たくみ「あと守谷市(※)にはSMITH-CNさんとSNIPEさんがやっていたグループ『ESSENCIAL』がいたり。ちょっと時代が後になりますけど、石岡と守谷の間にある土浦には、RYUGO ISHIDA(※ゆるふわギャング)。 『MUSIC BOMB』にもゲストとして来てくれたことがあるんですよ」

※守谷市:もりやし。茨城県の南端に位置する。千葉県柏市と隣接している)

ESSENCIAL (BACKYARD RADIO1) / ESCAPE TO PARADISE TRACK by I-DeA

YouTube

Ryugo Ishida “Fifteen”

YouTube

―フッド(地元)のアーティストからヒップホップにハマるって、流れとして理想的ですよね。ストリートっぽいです!

たくみ「そうなんですよ。そこからいわゆる『JBL』(※)周辺のラッパーを聞くようになっていくんです。千葉のTEAM 44 BLOX(※)とかAQUARIUS(※)ですよね。中高時代は、とにかく破壊力があるヒップホップが好きで。茨城〜千葉のアーティスト以外だと、LUNCH TIME SPEAXの流れでBUDDHA BRAND、JBLの流れでNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDが好きでした。」

※JBL:JouBanLine=常磐線。東京都荒川区の日暮里駅から千葉県北西部、茨城県を縦断する鉄道路線
※TEAM 44 BLOX:チームフォーティフォーブロックス。DELI、YAKKO、MIKRIS、MARS MANIEの4人を中心とするヒップホップ・クルー。その名は免許証などに記載されている千葉のエリアコード『44』に由来。
※AQUARIUS:ラッパーのDELIとプロデューサ―のYAKKOによるヒップホップユニット

Team 44 Blox / Right Here

YouTube

「上野のCASTLE RECORDSには忘れられない、年末の思い出がある」

―音源はフィジカルで買うことが多くて、今でもちょくちょくCDショップとかレコード屋さんに行ってるとお聞きました。

たくみ「割と色んな店に行くんですけど、ICE DYNASTYのG.Oさんがやっている上野のCASTLE RECORDS(※)には、忘れられない年末の思い出があるんですよ。2011年の大晦日の話なんですけど『24 HOUR KARATE SCHOOL JAPAN(※)』の年越しイベントがあったんです。

CASTLE RECORDS :上野アメ横センタービル3Fにある J-HIPHOP~CLUB MUSICを扱うCD SHOP。MC BATTLEイベント『THE罵倒』を主催
※24 HOUR KARATE SCHOOL JAPAN:Jay-Zの名曲「DEAD PRESIDENTS」を手がけた大物プロデューサー・Ski Beatzのプロジェクト。日本の有名ラッパーが参加したアルバムもリリースされた
※MC BATTLEイベント【THE罵倒】

24 HOUR KARATE SCHOOL JAPAN TRAILER feat. RYUZO, ANARCHY, 漢, MACCHO, 般若, SEEDA, SLACK and more

YouTube

たくみ「あの日の僕らは、まなぶの実家の部屋で過ごしてたんですよ。最初は『ここで年越すか』みたいな空気だったんですけど、夜7時ぐらいに『やっぱりイベントに行きたいよね』ってなって。それでCASTLE RECORDS に電話をしたら、チケットが残ってるっていうじゃないですか。断られるだろうなと思いつつ「今から行くんでチケットを取っといてもらってもいいですか?」と聞いたら、快くOKしてくださって」

―またも「実は良い人」パターンですね!

たくみ「そうなんですよ(笑)。で、まなぶの父ちゃんのマジェスタを借りて、茨城から上野まで急いで行ったんです。ところが閉店時間には間に合いそうもなく…」

―ビルに入ってるお店だし、年末だから閉店時間も早めですよね。

たくみ「とりあえず電話して『すみません!間に合いません』って言ったら、G.Oさんが『来るまで待ってますよ』って言ってくれたんです!すごくないですか?電話でちょっと話しただけの、会ったこともない客なのに」

―それは良い話ですね・・・!

たくみ「店に着いたら、本当に待っててくれて。チケットを渡してくれた時の一言が良いんですよ。『楽しんできてくださいね〜』って。そのままクラブチッタに行って、年を越したんです。あれは記憶に残る、本当に良い思い出ですね」

インタビュー・構成:吉田大

TAGS