“立ったまま失神KO” アゴを撃ち抜くビーストモードの木村ミノルは超危険

圧巻だった。12・28名古屋での木村“フィリップ”ミノルの試合である。初来日のマーセル・アデイエミを相手に78秒でのKO勝ちをあげ、年間6試合全KO勝利という偉業を達成したのだ。

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落ち着いた表情で入場してきた木村は、開始早々から猛ラッシュを仕掛けた。アデイエミをロープに押し込むと、上下に散らして左右パンチで猛攻。しかしアデイエミはこれを何とかしのいだ。

速攻ラッシュがしのがれると、選手によっては攻め疲れも影響して試合が長引いてしまう場合もあるが、木村に関してはそんな心配は無用だった。アデイエミを逃さず再びラッシュをかけると、ボディを十分に効かせて棒立ちにさせたところで、的確に左右からアゴを打ち抜いてフィニッシュ。試合後の木村はやはり落ち着いた様子で、いつもの「フィリップ・ポーズ」を決めたのだった。

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試合後のコメントで、木村はやっと喜びを露わにした。

「めちゃくちゃヤバい倒し方ができたんで、興奮してます。漫画やアニメで見るようなKOがしたくて、立ったまま失神っていう、これ以上ない倒し方ができて。特に男の子はみんな好きなKOじゃないですかね」

その時、プレスルームのモニターからは確認が難しかったのだが、目の前で見ていた木村の言葉によって、アデイエミが立ったまま失神していたことを知った。ハードパンチャーにとっては至高の瞬間だろう。だが彼の言葉で一番のポイントは、その後にあった。

「勝因は、1Rで倒すと決めて、獰猛に猛獣のように攻めたことですかね」

そう、彼は「1Rで倒す」と決めて臨み、その通りに遂行してみせたのである。そしてその自信も準備も十分だった。だから彼はずっと落ち着いていたのだ。

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今の彼にはもう、以前のように相手を挑発するトラッシュトークは必要ない。一時はトラッシュトークや挑発合戦を展開する若い選手たちを批判していたが、今では「人によってやり方がある。あの頃は口出しして申し訳なかった」と、その批判すら必要なくなっている。

「以前は実力以上に評価されようとしていた。今は結果を見て、実力に比例して評価されればいい」

この言葉を聞いて2019年の彼の結果を見れば、その通りに評価するしかない。そしてこの結果を残して、木村は新たな目標に向かって羽ばたこうとしている。その行き着く先が楽しみで仕方がない。

文・高崎計三

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