年間全試合KOを狙う “世界照準の殺人パンチ”木村ミノル、偉業達成なるか?

かつてKrushで快進撃を続けていた武尊は、「年間全試合KO勝利」を目標に掲げていたことがあった。だがその頃の武尊をもってしてもそれはなかなか難しく、今に至るまで達成されてはいない。

そんな「年間全試合KO勝利」の記録に、王手をかけている男がいる。木村“フィリップ”ミノルだ。木村は2019年、ここまで5試合に出場し、5KO勝利。K-1の4大会(さいたまスーパーアリーナ、両国国技館、エディオンアリーナ大阪、横浜アリーナ)全部だけでなく、後楽園ホールでタイトルマッチにも勝利しているところが彼らしい。 
このまま“勝ち逃げ”することはいくらでもできたが、木村はその道を選ばなかった。11月24日の横浜アリーナ大会からわずか34日というインターバルで12・28名古屋ドルフィンズアリーナ大会への出場を決め、6個目のKOを狙っている。

かつての木村は、爆発的な攻撃力は誰もが認めるところながら、“ここ一番”というところでの勝負弱さが目立った。普段K-1は見ていないという人でも、2016年にRIZINでMMAに挑んだ試合は見覚えがあるのではないだろうか?勇躍新たな戦場に挑んだ彼は、そこでチャールズ“クレイジーホース”ベネットのパンチでわずか7秒という秒殺負けを食らってしまった。それを筆頭にタイトルマッチや王座決定トーナメントでは勝ちきれず、長く“無冠の帝王”の座に甘んじていたのも事実だ。

それがここに来ての5連続KO。名古屋でも勝って、さらに記録を伸ばそうとしている。それを可能にしたカギは、徹底した自己の見直しにあったという。「アスリートとしての生活に全てを捧げるようにした」という木村は、食生活や時間の使い方を全て見直し、コンディション作りに重点を置いた。その上でパワーや技術をつけるトレーニングを重ねることで、練習の効率も向上したという。
さらに以前から指摘されていたメンタル面も改善。「他人と比べるのをやめて、自分の目的に集中した」ことで、冷静に試合を進められるようになったという。5月に17歳(当時)の近藤魁成を迎え撃ったタイトルマッチで、先制ダウンを食らいながら逆転勝利を収めた戦いぶりには、それがよく現れていた。

このまま好調を維持できれば、来年には“世界”に打って出たいと木村は話す。標的は、かつてK-1でチャンピオンとして君臨したマラット・グレゴリアンだ。今はGLORYという団体のリングで活躍するグレゴリアンに挑み、倒すことで「K-1をグローバルなものにしたい」という。そのための土台作りの総仕上げが、12・28名古屋でのマーセル・アデイエミ戦だ。果たして木村の“偉業”達成はなるのか。文字通り“目が離せない”一戦はもう目前だ。

文・高崎計三

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