「長い夜になるぜ」 ジョーダン、試合前に相手ロッカールームに挑発しに行っていた

「GOAT」(Greatest Of All Time=史上最強の選手)や「バスケの神様」として、バスケットボールだけでなくスポーツ界の歴史にその名を刻んだ元シカゴ・ブルズのマイケル・ジョーダン。ご存知の通りオフェンス・ディフェンスを含めたあらゆる面において超一流のプレイヤーではあるが、通算10回の得点王に輝くなど、特に卓越していたのがスコアリングだ。

また選手として数々の記録を達成してきた一方で、ストリートファッション、ストリートカルチャーに絶大な影響を残したことも忘れてはいけない。1984年、Nikeからシグネチャーシューズのエア・ジョーダン初代モデルが発売されるとシリーズ化され、1990年代にはジョーダン自身の人気とともにエア・ジョーダンも世界的に爆発的なヒットとなり、今日まで30年以上続くブランドに成長を遂げた。

ジョーダンが記録したハイスコア、そしてその瞬間に履いていたエア・ジョーダンを同時にチェックしてみよう。

・61得点
・1987年4月16日 シカゴ・ブルズ VS アトランタ・ホークス
・着用シューズ:エア・ジョーダン2 ローカットモデル

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身長216cmと1960〜70年代当時に圧倒的な体格でNBAを席巻したウィルト・チェンバレン。1試合100得点、シーズン平均50.4得点など、数字を見れば彼の“規格外”さがよく分かる。

そんなチェンバレンが持っている記録の中に、シーズン3,000得点という不世出のものがある。NBAは最大82試合、休まずゲームに出場したとしても毎試合36.6得点取らなければならない計算だ。もちろん、チェンバレン以外にこんな記録を持つ者はいなかった、そう“神様”マイケル・ジョーダン以外には。

ジョーダンがこの記録を達成したのは1986-87シーズン。1987年の4月16日、対アトランタ・ホークス戦に61得点を叩き出して達成に至った。

ジョーダンはこの日も得意のジャンプショットを中心に得点を重ねていく。ホークスもジョーダンのオフェンスに対応すべく、さまざまな選手をディフェンスに付けるが、やはり1人では止められない。そこで後半のほとんどをダブルチームする作戦に変えたものの、2人目が来た瞬間に空いたエリアにドライブされてしまう。しかし、ドック・リバースらのタイトなディフェンスが徐々に体力を奪い、試合終盤になるとさすがのジョーダンもガス欠気味に。そして、あと一歩のところでホークスを捕まえきれなかったブルズは3点差で敗北。ジョーダンがハイスコアを叩き出した試合では珍しい出来事だった。

ただ、この日のジョーダン自身の大爆発は予想できたものだったのかもしれない。その理由は2つある。ひとつは着用していたシューズだ。この試合を含め“エア・ジョーダン2 ”を着用していた試合は、高得点の確率が高い。この日はさらに珍しくローカットモデルを履いており、いつもとは違って新鮮な気持で試合に臨んだことだろう。

もうひとつは対戦相手で、長きにわたって得点王争いでしのぎを削ったドミニク・ウィルキンスのコメントがカギだ。「彼がなんのためにロッカールームに来たのかわからないけど、僕の前を歩いて、ケビン(・ウィリス)の前を歩いて、ランディー・ウィットマンのところで彼の足を叩いて、『さあ、ヒモを結んで! 今日は長い夜になるぜ(Lace ‘em up, it’s gonna be a long f–king night)』と言ったんだ」

なんと試合前に相手ロッカールームまで赴き、挑発しに行っていたのだ。クールで熱いイメージのジョーダンらしからぬチャーミング(?)なエピソード。自身の調子の良さを試合前から感じ、思わず相手のロッカールームまで乗り込んでしまったのだろう。

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