ジョーダンにビビらない 神様を苦しめた“NBAの悪口王”

1996年のファイナル、シカゴ・ブルズvsシアトル・スーパーソニックス第1戦の前に起きた些細なことが、マイケル・ジョーダンのエンジンをトップギアにいれた。チームメイトと夕食を取っていたレストランで対戦チームの監督、ジョージ・カールと偶然鉢合わせた際の出来事だ。「俺をシカトしやがったんだ。同じ大学の出身で、夏は一緒にゴルフだってした。あの一件で火がついたよ」とジョーダンは語る。

闘争心に火がついたジョーダンを止められるはずもなく、3連敗と追い詰められたスーパーソニックスは、ジョーダンのマークに“ザ・グローブ”ことゲイリー・ペイトンをつける。ペイトンはそれまでカール監督の指示で攻撃に専念していたが、いてもたってもいられず、「監督に怒鳴ったよ。何言ってんだ! ってね。俺たちは0-3で追い詰められてんだ。誰がなんと言おうと俺がジョーダンに付く。あんたの好きなようにはもうさせない」と直訴したのだ。

第4戦の最初のプレイからエンジン全開のペイトン。9年連続NBAオールディフェンシブチーム、1996年ディフェンシブプレイヤー・オブ・ザ・イヤーの守備力は伊達じゃなかった。それまでプレーオフ15試合を平均32.1得点、成功率47.6%でプレーしていたジョーダンを23.7得点、成功率36.7%まで抑えた。

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2連勝し、あと1試合勝てば振り出しに戻せるソニックスだったが、残念ながらあと一歩のところでチャンピオンシップを逃した。第6戦でソニックスのオフェンスが調子を落とさなければ、初めからペイトンをジョーダンに付けていたら結果は変わっていたかもしれない。ただ、シリーズを通してジョーダンをここまで苦しめた選手はペイトン以外にはいないだろう。

1988年から1990年にかけて、3年連続カンファレンスファイナルでブルズを蹴散らしたデトロイト・ピストンズはジョーダンを止めた結果ではない。

<対ピストンズのジョーダン成績>
1988年 対ピストンズ 平均27.4得点(成功率49.1%)
1989年 対ピストンズ 平均29.7得点(成功率46%)
1990年 対ピストンズ 平均32.1得点(成功率46.7%)

<ペイトンがディフェンスについた第4〜6戦のジョーダン成績>
1996年 対ソニックス 平均23.7得点(36.7%)

数字を見ると、明らかにジョーダンの得点と成功率がペイトンのディフェンスで下がっている。

ドキュメンタリーシリーズ『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』でインタビューを受けたペイトンは、「みんなジョーダンに怯えてた。俺は真逆さ。当たり負けせずに引っ付いて、とにかく疲れさせた。ジョーダンをヘトヘトにさせたんだよ」と答えている。ちなみにこのインタビューを聞いたジョーダンは「ゲイリー・ペイトンは何の問題にもならなかった」と、大爆笑だ。

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