中川淳一郎の社畜向け相談室 #1 「コワーキングスペース、フリーアドレス制… 上司がどこにいるのかわかりません」

働き方改革よろしく、コワーキングスペースとかいうのが社内にできたり、大手の真似して会社のフロアが一部だけおしゃれになったり、フリーアドレス制になったりしたのですが、上司がどこにいるのかわかりません!どうすればいいでしょうか?(36歳・広告代理店)

<中川淳一郎の回答>

おいおい、上司がどこにいるのかわからないんだったらさっさと電話するかLINEでも送って「今どこですか?」と聞けよ、と思うが、上司の指示を仰ぎたい時にいないってのも困るよな。こうなったら上司に「ツイ廃」になってもらえばいいんじゃないの? 移動する度に「〇〇なう」ってツイートしてもらうのよ。

「会社到着なう」に始まり、「904a会議室なう」「コワーキングスペースの『D』ブースなう」に始まり、「今日のランチは渋谷でリンガーハットなう」「渋谷駅到着なう、会社に戻るなう」「今日は仕事終了。会社を今から出るなう。まだ帰らないでください、と言うなら、DMちょうだいなう」って書いてもらうんだよ。「上司の居場所を知ることが、我々部下の務めです! ぜひ、ツイッターで居場所を教えてください!」みたいにもみ手しながらヨイショしとけば、上司も悪い気はしないぜ。

そして、常に部下は全員がRTをして、「いいね」もつける。すると上司はますます気持ちが良くなっちゃって「会社4階の便所なう。左から2番目の個室でうんこブリブリなう」とか、「今日のランチはカルボナーラ(*^_^*) 量が多かったけど、デザートは別腹(笑)なう」みたいなことを書き始める。ここまでくると上司同士で一日に何回ツイートできるかの勝負になっちゃって、「モツ煮込み来たなう」「今度は辛味もつ煮込みなう」「生ガキ来た、亜鉛食って今晩はハッソータイム準備なう」「今からエミちゃんと合体なう」みたいに何でもかんでも実況し続ける。これはこれで面白いぞ。

はっ、オレはなぜ「上司が捕まらない」という程度の悩みの解決策にここまで文字数を使っているのだ。あなたの本来の悩みは「上司が捕まらない」ではないと私は見ています。実際のところ、自分の会社が「世間の流行りに乗って無理しちゃってる感」があるのが耐えられないのではないでしょうか。

グーグルは食堂がタダだ、とかIBMは「アジャイル・オフィス」を導入した、とかサイバーエージェントだと2駅以内に住んでいれば家賃補助が出る、とか高いクリエイティビティで名高い〇〇社にはビリヤード台と卓球台がある、とか様々なユニークな制度を各社取り入れています。

こうした話題を「日経産業新聞」とか日経系のニュースサイトで読んだオッサンが、「ウオッホン、我が社も“あじゃいる・おふぃす”を導入し、常にリフレッシュされた頭で画期的アイディアを生み出し、イノベーションを起こしてほしい、ウオッホン!」なんてやるわけですよ。

あなたはこうした上層部のウオッホンヒヒジジイの姿と、「さすがは山田常務でございます! よっ、我が社のアイディアマン!」なんてヨイショする腰巾着みたいな子分の姿も想像し、「あのさ、そういうことやってる場合じゃないんだけど……」と思っているのではないでしょうか。

◆バランスボールはどこへ行った?

現場で働く人間からすれば、確かに掘りごたつで会議をしたり、場所に縛られずにデスクワークができるのは当初は新しいと感じるかもしれません。でもね、結局固定の席とか机って廃れてないじゃないですか。合理性があるんですよ。あと、2000年代後半、やたらとバランスボールに乗って仕事する人いませんでしたか?

今でも彼らがその仕事スタイルを続けているかといえばそんなことはない。やっぱ椅子が好きなんですよ。いや、好きってことはないか。椅子って便利なんですよ。あと、なんだかんだいって自分の席があってそこに必要な書類やら資料があって、隣の人に何かを聞いたら期待通りの答えが返ってくる環境ってのは有難いですよね。

あとはおしゃれなオフィスにしても、一旦おしゃれにしちゃうと、季節ごとに余計な装飾を施したくなるんですよね。少し前だとハロウィンですね。一生かぼちゃ食ってろ。そしてその後はクリスマスツリーとオーナメントが鎮座し、鏡餅がドーンと棚の上に乗っかり、節分の鬼のお面が飾られたりする。6月は何もイベントがないぞ。どうしよう! そうだ、クワガタでも採ってきて水槽に入れておこう! 癒されるぞ~。やばい、9月は何もない。6月のクワガタが成功したから9月はコオロギを飼うぞ! なんてなったらうるさいだけ。どうせこういう仕事を押し付けられるのは、若手の社員だったりするんですよ。「なんで私はコオロギを取りにわざわざ荒川の河川敷に来てるのよ……」なんてことになって辞めてしまうではありませんか。

あのよ、会社は学校じゃねーんだよ。飾り付けて楽しい気持ちになるからってそれで優秀になれるのか? 掘りごたつ式会議室があって靴を脱いで会議した場合、水虫がうつってしまうかもしれないだろ。カッコ良かったりオシャレなオフィスだと、新しい発想ができるんですだと? じゃあ、なんだ、お前らがいつも例に出す「スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスはガレージから開始した」ってのは一体なんなんだ。エッ!ジョブズのガレージには掘りごたつ式の会議室があったかっつーの、バーンバーン(コーフンのあまり机を叩く音)!(ちなみにジョブズのガレージ話については、Appleの共同創業者スティーブ・ウォズニアック氏は否定している)

オシャレ過ぎるオフィスなんて掃除だってしにくいし、なんでもかんでも新しくするより、「古臭いオフィス」って合理的にできているんだよな。だから、私が言いたいのは、カッコイイオフィスや備品に憧れる全国の社畜同志よ!そんなもんなくても気にするな。どうせあいつらだって、たいして使ってねーよ。他人に対して余計なコンプレックス抱く必要はないからな。自分の置かれた境遇を認めようぜ。あと、すでにカッコイイオフィスになってしまったあなたは、「別にオレが導入したワケじゃないからな」とあまり気にしないでいいと思いますよ。

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