青木真也が「老害を認めるべき」と主張をする理由

青木真也・36歳です。格闘技やってます。これから連載開始しますが、渋谷区内には案外銭湯多いですし、僕はサウナが大好きなので、渋谷区のサウナを紹介しつつ、「老害芸」を磨いていくことをここに宣言します。

連載の方向性は突然変わるかもしれませんが、とりあえず「サウナ+老害」の求道者になっていこうかと思っています。この日訪れたのは代々木上原の駅から近い「大黒湯」。きれいに磨き上げられた床と浴槽、広いサウナと2つあるキンキンに冷えた水風呂が快適な銭湯でした。あ、ちなみに僕は銭湯サウナに行った時は体は洗いません。あくまでもサウナで汗をかき、水風呂に入ってカッキーンと冷たくするのが好きなのです。

サウナって場所は老害芸の極みを見られる場所なんですよ。目指せ前田日明!

なぜ老害芸の極みかといえば、必ずサウナには独自のルールを強要してくるオッサンがいるんです。サウナマナーに厳しいオッサンは、「ちゃんと汗を全部洗い流してから水風呂に入れ!」と言ったかと思えば、「そこの一番熱い席はワシの席だ」なんて言ったりする。挙句の果てにはお辞儀の仕方が失礼だ、なんてことも言ってくる。そんな厳しい独自ルールを持っているオッサンですが、自分は水風呂に入る前に一応体に水はかけてから入るものの、水風呂にどぼーんと潜って「プハーっ!気持ちん、ヨカ」なんてやってしまうのです。

おいおい、頭が一番汗かいているだろうに一体お前は何エラソーにオレに注意してるんだ、オラ、なんてことは思うものの、これがいいんです。サウナのこの「老害の宝庫」っぷりがいいんです。

最近、張本勲さんが叩かれる時代じゃないですか。ネットでも既得権益を持った古臭い老害は「叩いていい存在」になっています。そんな空気感が広まってきているからこそ、老害芸がし辛くなりました。どんどん老害芸が失われている世の中です。張本さんが叩かれたのが、大船渡高校の佐々木朗希投手が監督の「壊れてしまう」という懸念をもとに岩手県大会の決勝で投げず、敗北したことを批判した時のことです。

この件については、叩く側の意見にも共感できる面があります。いや、僕は張本さんのことは好きですよ。今のアマチュアスポーツ界、指導者が生徒のためになってない面もあるのが問題なのです。ちゃんと選手本人が投げたいのか? 止めるのも仕事なのか?って話です。指導者が選手の将来を考えているならいいですが、多くのコーチが自分の成績のために選手に無理させている状況があります。それだけはやめてね、と思うのです。

とはいっても、今の時代は「老害芸」はできないですね。昔、僕は高校の柔道部で水が飲めなかった。水を飲まなかったため、夏場に激しい練習をすると倒れるヤツはいました。こんな時、「バカ野郎、気合が入っていない!ただ、ポカリでも飲ませておけ」というのが今の普通の対応でしょう。水分休憩の時間が今の僕の母校にはあります。でもこれって面白みがない。老害芸もどんどんできなくなってきていて、生きづらい世の中、面白みのない世の中です。

僕は張本さんの件については、彼が老害だってわかって敢えてやっている面があると思っています。エンタメなんですから、張本さんの論を真正面から怒っても仕方がないんじゃないのでは。

読売新聞の渡邉恒雄さんとかもそうですよね。言うたら、そんなに真正面から怒っても仕方ないし、時代が経てば僕達の時代が来ると思っています。
今回、「老害」を認めるべきではないか、という主張を僕がしている理由は、みんながリスク取らなくなっていて、まともになるのが面白くないからです。みんながみんな、右に向いちゃうと、左に行かないとバランス取れなくなります。みんなが右に行くと怖いですよね。バランスが悪いなと思っているのが今の状況で、バランスとる意味で、老害みたいな人もいていい。だから、僕は老害の弟子入りをしたいですし、老害道を極めたい。

バランスが悪いことこそ怖いのです。基本的に、一斉に人々がどちらかを一方的に向くのが苦手です。一つの方向しか許されない状況があり、片方しか見られないことにより、お互い視野が狭いから叩き合う。これが無駄だと思います。お互い存在していいのでは、と思えないのでしょうか。

こうしたことは格闘技をやっていると余計に思う点です。というのも、格闘技団体って2つは絶対にあるんですよ。すると、Aの団体関係者はBがなくなればいいと思う。でも、そのもう一方がなくなった方が辛いと思いますよ。分裂したり、潰れた方がいい、と競い合うのは視野が狭いことです。もうちょっと広く見て、「あっちがあるからこそ、オレらが輝く。オレらがあるからあっちが輝く」とか見られないのかな。僕はこうした形でバランスに気をつけています。

もちろん、僕みたいに格闘技のイベントに出たりプロレスに出る人間は「踏み絵」を踏まされることもあります。

格闘技のイベントにしても、僕が主戦用にしているONEがあって、K-1、RIZINがある。僕は割とRIZIN好きだし、K-1だって見ていますし、当然ONEだって見ていますし。僕がRIZINを好意的に書いたりすると「なんでこいつはこっちの方に肩入れしてるんだ!」と思う人もいる。とはいっても、ここまで色々なことをやり続けた結果、僕は一周回って何を言ってもOKな道を取れたと思います。そこはラッキーですよね。

こうした立ち位置を取れたからこそ、今後は「格闘技界の老害」をやってみたいです。

さて、今日の大黒湯でしたが、クラシックなサウナでしたね。観光地と一緒で、今、最先端なところに行くよりも、ローカルなところに行った方がいいです。中には5年後や10年後なくなる場所もあるかもしれないので、銭湯って今行くならお得な場所かな、と思います。大黒湯の満足度は高かったです。これからも僕たちを楽しませてほしいです。

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