下馬評に怒り、1発殴られてキレる 畑山隆則、坂本博之との“伝説の激闘”を振り返る

ボクシングの元世界チャンピオン、渡嘉敷勝男、竹原慎二、畑山隆則のYouTubeチャンネルで、2000年10月11日に行われた、畑山と坂本のWBA世界ライト級タイトルマッチについてトークを展開する場面があった。

渡嘉敷勝男&竹原慎二&畑山隆則 公式チャンネル/YouTube

まずはリングサイドで解説をしていたという竹原が、「いい試合でしたよね」と語ると、渡嘉敷も同意して「そのころよく言われたよな『あの2人が戦ったら面白い』って」と、世の人々が渇望した一戦だったと振り返った。

ラクバ・シンを相手にした防衛戦で敗れ、スーパーフェザー級の王座から陥落した畑山は一度は引退を宣言。その後、ライト級でカムバックを果たし、復帰初戦でタイトルマッチに挑戦して見事に勝利。2階級目の王座を獲得して、初防衛戦の相手が坂本だった。

畑山は試合の前に坂本とは3度、スパーリングで“前哨戦”を繰り広げていたという。1度目は畑山19歳、坂本が24歳のときで、体力的な差もあり「これが試合だったら多分負けてるな」と思ったそう。

2回目のスパーリングは坂本がOPBF東洋太平洋ライト級チャンピオン、畑山がOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級チャンピオンとなった時期で、その際には「今度はけっこういけるかもしれない」と思ったという。

さらに畑山が世界戦に挑む前でのスパーリングでは「これはもう僕が圧勝というか、けっこうやりましたから『これは試合でも大丈夫だな』という自信はあった」と、拳を合わせるたびに変わっていった坂本の印象を語った。

「パンチをもらったらヤバい」と、坂本の攻撃力は警戒していたという畑山だったが、戦前の下馬評で6:4で坂本優位という声があったことに、「それ聞いて腹立ちますよ。『なんで? おかしいでしょ?』」と、憤りがあったとも明かす。

試合が始まると「あそこまで打ち合いになるとは思わなかった。1ラウンドを見て、坂本選手はパワーもあるし、1ラウンド目はスピードもあった。『これはヤバいな』と思った」と、序盤は頭に血が昇ってしまったこともあり、思い通りの展開にはならなかったそうだ。しかし、その危機感が畑山を冷静にさせたそうで、5ラウンドになると勝利への手ごたえを感じ初めていたという。

渡嘉敷が「あれは相当ファイトマネー貰ったろ?」と直球な質問をすると、畑山は「いやいや、あれは5,000万でしょ」とアッサリ回答。渡嘉敷は「ナイス! さすがだなあ、最高1億もらっているんだから」と、ちゃっかり補足をする場面もあった。

試合を決めた左フックからの右ストレートの手応えについて聞かれると、畑山は「まさにカウンターじゃないですか。本当に力の抜けた、スナップが効いて上手く腰がスコンと回った。全く手応えないですよ。ドーンというのがないですから『え!?』っていう感じ」と答えて渡嘉敷を驚かせた。

フィニッシュブローが決まり、坂本がゆっくりとダウンをしていく姿を見た際には「いろいろなKOを観たけど、あそこまで殴り合いをして、スローで倒れるのを見ると、他人事には思えなかった。この立場が下手したら逆になってたかもしれないと、よぎった」と本音を吐露。

畑山はライト級にカムバックした理由について「彼(坂本)とやりたいがため。大金を稼ぐとか何十回防衛をするとか、大それたことは全く考えてなかった」と告白。「このままボクシングを辞めていいのか」という想いからの復帰だったという。

試合後に坂本にかけた言葉について聞かれると、「ボクサーは終わったら『ありがとうございました』だけですよ。やる前は相手を殺してやろうくらい憎むわけです。試合が終わったらノーサイドなので、お互い生きてリングから降りられれば最高」と、悔いのない試合だったと振り返る。

「ボクサーとしての畑山からして、あの試合はどうだった?」という質問には「いまだに坂本さんとの試合はいろいろな人から言われるし、あの試合があったから今があると思う」「あの試合があったからこその畑山じゃないかな」と、坂本へのリスペクトと感謝を語った。

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