“ベビーフェイスの暗殺者” ステフィン・カリーが別人格になる瞬間

NBA史上最高のシュート力で“バスケットボールを変えた”と言われているゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリー。NBA選手の息子として育ち、“エリート街道”を歩んできたと思われている彼の知られざる苦難や挫折を記した『ステフィン・カリー 努力、努力、努力。〜自分を証明できるのは、自分だけ』(ごま書房新社)が2020年11月に出版された。

ウォーデル・ステフィン・カリー(デル・カリー)の長男として生まれたウォーデル・ステフィン・カリー2世(ステフィン・カリー)は、物静かで穏やかな父としっかりと芯を持った母との間に生まれた。NBA選手の家庭という何不自由ない家庭で、敬虔(けいけん)なクリスチャンの環境のもと育ったカリーは、全米中の子どものお手本となるような人格に育った。インタビューは常に明るい表情で受け答えし、決して他者を批判することはない。そんな“人”としての魅力たっぷりのカリーだが、まったくの別人格になる瞬間がある。それは「自分が認められていない」と感じながら、コートの上に立ったときだ。

幼い頃から群を抜くシュート力やハンドリング力を持ちながら、「NBA選手の息子だから」「あんなひょろひょろの身体では上のレベルで通用しない」などの批判が止まらなかった。無名の高校出身、有望な選手の登竜門であるAAUでの活動もない等の理由もあり、有名大学からの奨学金付きオファーも来なかった。そうした状況から今や世界で最も有名なバスケットボールプレイヤーにまで成り上がれたのも、この別人格のおかげだ。

カリーがコート上で時折見せる顔。それが“ベビーフェイスの暗殺者(The Baby-faced Assassin)”である。

ユニフォームを着ていなければそこら辺にいる若者と何ら変わりないカリーが、平均身長2メートルを超えるNBAの大男たちを完膚なきまでに叩きのめす。柔らかい性格とは裏腹に、勝負を決めるシュートを相手の目の前で決めまくる。それは、“神様”マイケル・ジョーダンや“ブラックマンバ”ことコービー・ブライアントと同じ類である。自分の能力を示すため、周りが抱く自身への疑問を払拭するため、カリーはそのスイッチをONにする。コート上でカリーをいっさい下に見てはいけない。そんなことをしたら、目の前で「もう参った!」と言ってもずっとシュートを決め続けられる。黄金と青のユニフォームを着た“ベビーフェイスの暗殺者”には気をつけろ。

NBA/YouTube

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