ゴジラが戦うのはコングだけではない 「モンスターバース」には怪獣がまだまだ存在する

「ゴジラ対・・・」路線をさらに強めた“怪獣プロレス超大作”

2014年公開のハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」は多くのゴジラ・ファンに衝撃を与えたのではないでしょうか?

誰もがゴジラが悪役の、1954年の第一作「ゴジラ」に通じるパニックムービーになると思っていたのではないでしょうか。しかし、「GODZILLA ゴジラ」はゴジラが悪い怪獣と戦うバトルモノになっていたことに驚きました。

実は筆者も、幼少時代にゴジラ映画を観て育ったのですが、その時のゴジラは完全に人類の味方であり、人類を襲う宇宙怪獣等と戦う・・・というフォーマットになっていました。タイトルも「ゴジラ対・・・」というパターンです。

「ゴジラ=反核映画」という事実は後に知ったので、僕自身、ゴジラというのはヒーロー的にとらえていました。この「ゴジラ対・・・」路線は、”怪獣プロレス”みたいな言われ方をされ、大人向けのパニック映画として完成度が高い1作目の「ゴジラ」と比較され、あまり高い評価を得られていませんでした。

しかし、この2014年公開のハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」は、なんとその「ゴジラ対・・・」路線を堂々と復活させたものだったのです。そして、公開された『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、この傾向をさらに強め、“怪獣プロレス超大作”として仕上がっています。

ゴジラ映画は輸出され、「ゴジラ対・・・・」シリーズがアメリカのローカルTVでよく放送されていたらしく、アメリカの子供たちにも人気だったそうです。きっとそれを観て育った世代が「GODZILLA ゴジラ」『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』に関わっているのだと思いました。しかも「GODZILLA ゴジラ」はMUTOという新怪獣が登場しましたが、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ではキングギドラ、モスラ、ラドンという人気怪獣が登場します。キングギドラ、ラドンは確かスティーブン・キングの小説の中にもその名前が出てきますから、ゴジラ同様、アメリカでもメジャーなのでしょう。

とにかく東宝怪獣映画に対する愛と知識がいっぱいで、東宝怪獣映画からの引用シーンが沢山あります。著者もこのジャンルについてはそれなりに知っている方だと思うのですが、オマージュネタが沢山あったので、監督も同じくらい日本の怪獣映画に精通しているということです。

本作は怪獣バトルに重きが置かれているので、意外に怪獣が街を壊すスペクタクルシーンはないです(前作『GODZILLA ゴジラ』でやっているので)。怪獣の見せ方に工夫があります。ゴジラもさることながらラドン、キングギドラの撮り方が最高です。

ゴジラ、ラドン、モスラは東宝時代、それぞれが単独のソロ映画が作られていますがキングギドラ単独出演の怪獣映画は存在しない。この監督で、キングギドラの映画を撮って欲しかったです。本作では、明らかにキングギドラを悪魔とみなす象徴的な美しいシーンがあります。また、モスラの羽の模様が、よく見るとゴジラの目に似ており、ゴジラとモスラがコミュニケートできる、というディティールも素敵でした。

“モンスターバース”へ 2020年、キングコングと対決

Warner Bros. Pictures/YouTube

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、もうひとつの怪獣映画の続編でもあります。2017年公開の「キングコング:髑髏島の巨神」です。これらの作品群は世界観を共有しています。

それは、

  • 太古の時代は、こうした怪獣たちが地球を支配していたが、彼らは海底や地底に潜り姿を消した。
  • 怪獣たちは人類が核実験をやり始めたあたりからまた復活。
  • こうした怪獣たちをモナークという特殊機関が追っている。

というものです。

特殊機関モナークは3作品に登場してきますし、「キングコング:髑髏島の巨神」のエンド・クレジット後のシーンでゴジラ、キングギドラ、モスラ、ラドンの存在が示唆されていました。物語的には(公開順ではなく)

「キングコング:髑髏島の巨神」→「GODZILLA ゴジラ」→『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』であり、「ゴジラvs.コング:GODZILLA vs. KONG(原題)」(2020年3月13日公開)としてキングコングとゴジラが戦います。

マーベルヒーローが集合するマーベル・シネマティック・ユニバースに対して、この怪獣映画世界は“モンスターバース”と名づけられています。「キングコング:髑髏島の巨神」のおもちゃに、この”モンスターバース”のロゴが印刷されていて、この名が知られるようになりました。

2020年のゴジラとキングコングの戦いがすでに楽しみですが、気になる点は

  • 「GODZILLA ゴジラ」においてゴジラは極悪非道のモンスターではなく、悪の怪獣を倒すヒーロー。
  • 「キングコング:髑髏島の巨神」のコングは、自分の島を荒らす人間には容赦しないが、心優しい面もある守護神であり、どっちも悪い奴ではない。両者がなぜ戦うのか?そのヒントが隠されているのかもしれません。

Warner Bros. Pictures/YouTube

アベンジャーズ、パシフィック・リムとのクロスオーバーも期待

さらに、この世界には、まだまだ怪獣がうじゃうじゃいる(17匹!)設定も楽しいです。実は『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の公開に合わせて出版された設定画集(コンセプト・アート・ブック)には、ガイガン、クモンガ、そして亀の怪獣の絵が載っているらしいのです。クモンガは蜘蛛怪獣なのでそれらしいのが出てきましたが、ガイガンを出すつもりだったのでしょうか?また東宝映画で亀の怪獣といえばガメラではなく(笑)カメーバなのでこれもプランに入っていた?こうしたアイデアが次の「ゴジラvs.コング」に活かされるかもしれません。本作でこれだけ怪獣を出したのに、次の映画がコングとゴジラだけというのはさみしい気もします。

また、このハリウッド・ゴジラ・シリーズは「ゴジラ対ヘドラ」を手掛けた坂野義光監督がヘドラの物語をリメイクしたいというところから始まったそうです。(監督は17年にお亡くなりになり、坂野義光さんのお名前が追悼の形で本作にもクレジットされています)なので、ヘドラがいつか出るかもしれません。

”モンスターバース”がどんどん発展してほしいと期待が膨らみますが、さらにファンの間で盛り上がっているのはマーベルとの映画的コラボレーションです。というのもゴジラは1977年から79年、マーベルでアメコミ化されたこともあります。

タイトルはズバリ、「Godzilla, King of the Monsters」。

ニューヨークに現れたゴジラを撃退すべくアベンジャーズが結集したり、スパイダーマンはゴジラの写真を撮って特ダネにしたり。またシールドはアイアンマンことトニー・スタークが設計したレッド・ローニンという巨大ロボでゴジラに対抗します。

マーベル・シネマティック・ユニバースとモンスターバースがクロスオーバーして、ゴジラvs.アベンジャーズをIMAX3Dで観てみたい!この”モンスターバース”を仕掛ける、レジェンダリー・ピクチャーズは「パシフィック・リム」シリーズも手掛けており、「ゴジラvs.パシフィック・リム」の可能性は否定されましたが、まだまだ期待したいです。

文・杉山すぴ豊

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