“ネット世論”の真実 Yahoo!ニュースにコメントする「ヤフコメ民」とは

「日本人の5人に1人しか文章を正しく理解できない」「先進国の平均よりも日本人のITリテラシーは著しく低い」など、確実に存在する“日本の不都合な真実”をデータと共に開示した『事実 vs 本能 目を背けたいファクトにも理由がある』(集英社)が話題となっている。本書は、人気作家・橘玲氏が『週刊プレイボーイ』に掲載したコラムを一部加筆修正したものが掲載されている。

そんな本書では、ポピュリズムを語る文脈で「ネット世論」の真実についても触れている。今回はその中から、一部を引用して内容をご紹介。

「ネット世論」を語るうえで欠かせないのは、「Yahoo!ニュース」のコメント欄で自論を展開する“ヤフコメ民”の存在だ。データによると、定期的にニュース記事に対してコメントを投稿している“ヤフコメ民”は約8割が男性、中でも40代男性のコメント率が突出して高いのだそうだ。

さらに“ヤフコメ民”を分析していくと、1人あたりのコメント数は多くないものの、全体としては全コメントの9割を占める「多数派」と、平均よりも著しく多いコメント数を投稿する“2%”の「少数派」に分けられるのだそう。

ここで問題なのが、“2%のヤフコメ民”は侮蔑的な表現や差別発言などが多いというデータだ。全体に対し、たったの2%のユーザーではあるのだが、「Yahoo!ニュース」においては彼らが「返信コメントの半数近くを占め」「評価の3分の1を獲得」している。つまり、「ネット世論」は、この“2%のヤフコメ民”によって形作られてしまっている部分も大きいのだ。

さて、この“2%のヤフコメ民”に共通していることは「差別発言が多い」ほかに、もう1つある。それが、「マジョリティ側に属していながらも、マジョリティとしての利益を十分に享受できていないと感じている人々」という点だ。彼らは「生活保護者」「外国人」「障がい者」「LGBT」などに非寛容であり、マイノリティの人権に関する主張を「被害者ビジネス」と見なす傾向にあるという。

これを読んでいるあなたも、コメント欄を読むだけで「世論」が分かったつもりになっていないだろうか? 自分が今まで信じていた「世論」とは、ごく限られたネット住民によって作り上げられたものであったかもしれない。本書には、ほかにも衝撃的な“不都合な真実”の例が多く取り上げられているので、これからの時代で真実を見抜く審美眼を養うためにも、ぜひ手に取ってみるべき一冊となっている。

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