自衛隊でも喧嘩上等 ヤンチャだった怒髪天・増子直純が考える愛国心

昨今の日本は近隣諸国と緊張の度合いが高まりつつある。有事に際して真っ先に戦場へと身を投じなくてはならない自衛官たちは、こうした状況をどのように考えているのだろうか。

若き日に、航空自衛隊に身を置いていた人気バンド・怒髪天の増子直純は『怒髪天 増子直純自伝「歩きつづけるかぎり」増補改訂版』(音楽と人)のなかで、自衛官時代を振りかえりつつ、次のように語っている。

「攻めて来るものに関しては、はいドーゾ差し上げますってわけにはいかないので、やっぱり何かしら手を打つことは必要だろう。何もしないけどアメリカさん守ってください、は通らないだろうし。」

やんちゃな少年時代を過ごし、高校時代は「俺なんかギターケースに金属バット入れて歩いてるくらいだからね。音楽活動じゃなくて、気にいらないバンドをぶっ潰すための活動だよ(笑)」という、さらなるやんちゃぶりを発揮していたという増子。

それは自衛隊入りした後でも変わらず、「隊内でもよく喧嘩してた。そりゃ全国津々浦々、北海道から沖縄まで腕に覚えのあるヤツらが集まってくるわけだから、そういうことになるのは当然なんだけど。まぁ、だいたい勝った。」という。

だが、そうした暮らしのなかで彼は国防について改めて考えさせられたそうだ。当時は旧ソ連の戦闘機による領空侵犯が頻発していた時期。その最前線ともいうべき航空自衛隊 千歳基地の所属であった増子は、アラートが出るたびに配置につくという毎日だったという。「日本は平和だと言っても、やっぱり誰かがやらねばいかん仕事だ、何かあった時にはどうにかせんといかん、っていう危機感。そういうのはあった。」

その後、自衛隊を辞めて実家へと戻り、専門学校に通うかたわらでバンド活動を再開した彼は、やがて仲間たちと上京。アルバイトなどをしながら活動を続け、紆余曲折の末に現在の成功を手にすることとなるのだが、そんな今、彼は改めて自身の愛国心について語る。

「俺にも愛国心っていうものは、もちろんある。だけど日本の何が好きかって、政府が好きだったり軍隊や国会が好きなわけじゃない。国土が好きっていうのも漠然としているし、考えてみたら土地が好きっていう話でもないよね。やっぱり文化なのよ。人がいて、人と人が何かをして、そこで独特の文化が生まれていく。それが好きだし、それこそ愛国心だと思ってる」

同著のなかで、幼少期からのさまざまな人との出会い、そうした人たちとの間に起きた出来事を楽しそうに紹介しつつ、彼らへの愛情と感謝の気持ちを綴っている増子。それこそまさに彼が口にする愛国心そのものではないだろうか。

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