「漢、般若らの世代の命がけの戦いが報われた」 D.Oが語るヒップホップ、MCバトルシーン

言わずと知れた“レペゼン練馬”のギャングスタ・ラッパー、D.O(以下:D)。自著『悪党の詩』(彩図社)をリリースし大ヒットを記録中。ミックスCDや客演なども精力的にこなし話題をさらっている。大麻取締法違反で逮捕され収監直前のD.Oに地元の盟友・JASHWON(BCDMG)(以下:J)がロングインタビュー。リアルなヒップホップを体現するD.Oは何を思っているのか?(#1#2#3

J:最近は何を聴いてるの?

D:なんだかんだでトラップが好きだね。

J:良いのもあるしね。

D:バカなトラップだけじゃなくなってきてるのが事実じゃん。本当にくだらないのも沢山あるけど、かと言って凄くアーティスティックにメイクされていて、称賛に価する作品も沢山ある。リアルなヒップホップを凄く教えてもらえてると思うし。

J:Recは9sariでやってるんでしょ?

D:そうだね。ずっと9sariでやってるね。エンジニアはI-DeAにやってもらうって事でそこもずっと変わらず。それを突き詰めていきたいってのもあるよね。

J:それが超アーティスティックな感じがするよね?例えばJAY-ZがやるときはYoung Guruが毎回エンジニアみたいな。

D:それは理屈が通ると言うか、絶対にそうあるべきだと俺は思ってるんだよね。何故ならばいろんなスキルがある中でレコーディングのスキルと制作のスキルもある訳で。そのスキルは積み重ねて行って、前回より良くなっていってと言うのを繰り返して行って研ぎ澄まされていくものだと思うから。

J:ショボいとストレス以外何ものでもないよね。早く出せよって。

D:誰もがそう思った事があると思うんだよね。アーティストだったら。システム一個にしてもそうだし、エンジニアのムーブとかヴァイブスにしてもそうだと思うけど、当然人間だから合う合わないもあるしさ。そういった事から積み重ねて行って見極めて今があるから。そこは間違って無かったと思ってるよね。

J:アルバムを作る時ってテーマとか決めないよね?俺はひたすらビート作ってD.Oに今こんなサウンドが多いからって投げて… バランスを整えて作って行く事が多いよね。

D:JASHWONには、今はこういった感じとか、自分が解らない所や知らなかった所を教えてもらってバランス取ってるのはあるけどね。

J:作っているのはどんな感じの内容なの?ライフスタイル?変わらないんだけど日々起きる事が変わってくるでしょ?

D:そのライフとシンクロして初めてヒップホップの完成であるし、流行りとかも勿論そうだけど自分の転がしたいカタチも入れつつ市場にも対応出来る様な。ビジネス的にも自分のアートとしても考えなくちゃいけないし、そのリアルもシンクロさせて行きたくて。

怒ってるだけでもしょうがなくて、そのエネルギーとなるストレスとか怒りも必要だけど自分の現状とリアルを全部ひっくるめてどう言ったゲームにするのかを常に考えてる。ちょっと笑い所も作りつつね。

J:それが超ヒップホップだよね。

D:絶対そうじゃん。真面目でも面白くないし、かと言ってずっとふざけててもお笑い芸人みたいな世界になっちゃうしさ。そういうのではなくてヒップホップの根っこが絶対にブレない様にふざけるというか。The Blues Brothersってあったじゃん。あのThe Blues Brothersのカヴァー的な世界を作りつつ纏めていければなって事で漢と作った。

前にさHustle & Flowをやったじゃん。あれも映画のカヴァーをやった訳なんだけどあの時みたいにヒップホップの醍醐味でもあるふざけ方というか遊び方というか。王道な歴史的なスタイルも取り入れつつ現状を転がすカタチはコレだなみたいのでやってるんだけど。

J:シリアスになりすぎてもね。重すぎるだろみたいな。

D:葬式みたいなヴァイブスのアルバムなんて誰も面白くねぇんだから。

J:最近、面白いアーティストとかいないの?

D:メジャーでこういう風にやってんだコイツとか、こういう風に展開して行くんだこのラッパーはとかは見るけどね。9sariで一緒にムーブするようになってフリースタイルの世界とか以前より、はるかにチェックする様になったり詳しくなったと思う。

J:いきなりフリースタイル喰らわして来る奴とかいるでしょ?

D:もうそういう時代じゃないけどね(笑)別に分けて考えてた部分があったじゃん。ある時から元々根っこは一緒だし別もクソもねぇなって。俺等のヒップホップがどうかという中で言ったら、今はもう相方というか身内の一人で社長でもある漢がその世界に居る訳で。

J:俺等はあんまり知らない世界だよね。

D:それが刺激的だよね。

J:こんな奴もいるんだみたいな。初めて知った感じはあるよね。全く無縁な世界だったから。

D:その融合によって可能性がダブルアップすると言うかさ。ステージがデカくなったというか。そう言った感じはあるよね。

J:D.Oはやっぱり上手いよね。計算とかじゃなくて普通に今のサウンドに合うよね。それがずっと変わらずやれてる秘訣だと思うんだよね俺は。前にやってた音も全く古く感じないし。ある意味早すぎたのかもね、トラップっぽい音楽をやっているのが。それが9sariに超良い影響を与えてるような感じはあるよね。

D:お互いにそうだよね。

J:漢ちゃんはフリースタイルの世界でも第一線でやってる人だからね。でもクラブサウンドみたいのとはちょっと違う所に居た人じゃん。でも漢ちゃんもD.Oとやるようになって、そういうサウンドもやったりするし。逆にD.Oもリリカルな人と会って「こういうハメ方するんだ」みたいな。韻の超細かい部分にこだわってる訳だから、それが面白いよね。

D:良いとこ取りが出来るようなカタチに上手く持っていけてるよね。バトル見に行った事なんか無かったじゃん。

J:バトルは全く無かったよね。

D:改めてそこの真髄と言うかさ。

J:そこの世界も相当深いじゃん。

D:バカにできないなって9sariで重々、学ばせてもらってる。

J:そうだよね。

D:ビジネスとして捉えるのであれば、凄く効率的なのもフリースタイルのシーンだと思うんだよね。

J:確かに。人も入るし、DVDも売れるし。

D:TVとかの仕事とかも直結しやすいし、まさにソコが一番直結してんじゃないか?ってぐらい今はそういうシーンがきてるじゃん。俺らが観てた様な夜中にダンス番組があって、「ヒップホップってこうなんだ。俺もやってみたい」みたいになってたのが今はフリースタイルバトルでそういう風になる訳じゃん。こんな時代が本当に来るなんてみんな思って無かっただろうしさ。だけど一部の人間はそうしようと思ってマジでやってたっていうさ。

J:フリースタイルのラッパーとかにもめちゃくちゃリスペクトはあるでしょ?

D:凄くあるよね。お陰様で9sariでムーブさせてもらってるし。

J:フリースタイルだけ凄く上手い人だけじゃなくなったもんね。音源も良くなってる人もいるし。

D:般若の功績がデカいよね。漢ももちろんそうだし。

J:確かにそれはある。

D:俺らの同級生の命懸けの戦いが凄く報われた瞬間でもあると思うんだよね、この時代は。

Photo_Great The Kabukicho
Text_MITSUGU SHIMAMURA

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