振り向けばステイサム! もはやホラーの領域だが、外角低めストライクゾーンに決めてくる異色作

半年間、主演作品を観なければ深刻な中毒症状を我々に引き起こす俳優…ジェイソン・ステイサム。
恐らく全国にも深刻なステイサム不足に苦しむ方もいることであろう。そんな禁断症状に日々苦しんでいる皆さん、お待たせしました!いよいよ彼の最新主演作品が、ここ日本にて遂に公開される!それが10月8日(金)公開の『キャッシュトラック』だ!

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現金輸送の警備員…それはカジュアルに人が死ぬ、超絶ブラックな職業であった。
強盗犯が相手という事で、自ずと命知らずなガイの詰め所と化した警備会社へ、ある日、色んな意味でピッカピカの新人がやってくる。
男の名前はH…ていうか、ステイサムその人であった。
なんつーか…誰がどう見てもタダモノではない!
おかげさまで面接も貫禄タップリで通過するHことステイサム。
さっそく現金輸送の仕事に従事する彼氏であったが、なんと出勤即早速強盗犯に遭遇してしまう。

普通であれば漏らすか死ぬしかない状況である。
だが彼はステイサム…そう、並の男ではない。警備員という仕事をド忘れし、守りどころか攻めの姿勢をフルに発揮‼︎眉一つ動かさずに強盗犯どもを漏れなく射殺してしまう。
新人にも関わらず、お釣りが出るほどの仕事っぷりを披露するステイサムなのであった。

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とはいえ、いくら見た感じがタフガイと言えど、民間の人間である。
こんな修羅場を味わえば、しばらく有給を取ろう!3か月くらい!となろうもんだが、そこはステイサム。
なんと次の日も何事もなかったのようにタイムカードを押して出勤!
職場の同僚達もステイサムを英雄視し始めるが、ステイサムはどこ吹く風で周りの称賛をガン無視で淡々と業務をこなしていく。

だが修羅場は続く。
またまたカジュアルに強盗に遭うステイサムだったが、今回は様子は違った!
なんと今度は強盗犯どもがステイサムに遭遇するや否や、彼の顔を見ただけで逃走!目の前の現金を全力でスルーした事案が発生!
強盗犯にとって賢明この上ない判断だったが、この報告に「いや、そんな街の不良が番長に出くわして逃げ出した!!みたいなことあるかね!?」と思わず耳を疑う上司。
ここにきて「この新人、なんか変だぞ…」と、ようやっとステイサムがタダの新人じゃないのに周囲も気付き始める。
果たして、この男の目的は何なのか?
職場の誰もが色めき立つなか、大量の現金が集まるブラック・フライデーを狙い、これまた謎の武装強盗団が動き出す。果たして二度あることは三度あるのか!?
こうして(ステイサム以外は)絶体絶命の出勤が始まるのであった。

正体不明な新人警備員にして、心が死んだ男をステイサムが演じる本作。
ここ最近、現実すら揺らがせる最強路線が続いたステイサムだったが、本作では体温を感じさせない死神演技を披露!
どうかと思うほどのクールさと謎だらけの素性っぷりは「コイツは現実に生きているのか?」と観る者に思わせてくれるだろう。
初期の黒沢清作品や北野武作品を思わせる不穏さを身に纏ったステイサムに目を見張ってしまう。

神出鬼没ゆえの「振り向けばステイサム!」な展開は、もはやホラーの領域に片足を突っ込んでいる。
とはいえ、『アウトローな立ち振る舞い』『何事も一言で済ます』『殺す前に気の利いたイングリッシュジョークを繰り出す』など、『ステイサム作品あるある』は本作でも健在だ。

本作のキャッチコピーは『英雄【ヒーロー】か、悪党【ヒール】か』
どっちなのかは本編を観て各自判断して頂きたいところだが、とりあえず我々が知るステイサムなのは確かだ!というのは断言できる。

最近ではかなり珍しいカタギの役、しかも新入社員を『今日から俺は‼︎』精神で演じているステイサム 。
社会生活を送っていると、仕事が目的になりがちだが、本作を通して仕事は手段でしかないというのをステイサムは教えてくれる。
またガタガタ能書きを語る奴ほど何もしないというシチュエーションに遭遇するが、無駄口を叩かず、媚びず、やるべきことを淡々とこなす本作のステイサムから教えられるものが多い。

今回は久しぶりに地元の盟友ガイ・リッチーと再タッグを結成!
かつて二人が製作した『リボルバー』は形而上学的…わかりやすく言えば二日酔いみたいな映画であったが、今回は違う。リッチーのお家芸である時系列シャッフル、先の読めない展開がステイサムのタフガイ・イメージと良い感じで合体!ステイサム風味6割、ガイリチ風味4割の丁度いい塩梅の作品に仕上がっている。

監督に限らず、今回は『ワイルド・スピード ICE BREAK』で共演したスコット・イーストウッドも別作品ながら合流しているのも見逃せない。
今までハン役のサン・カンと『ローグ アサシン』、ローマン役のタイリース・ギブソンと『デス・レース』、オーウェン・ショウ役のルーク・エヴァンスと『ブリッツ』、ジゼルを演じたガル・ガドットとはCMで共演してきたステイサム。
このように、偶然か必然か、ステイサムはワイスピシリーズのメンバーと別作品で再び共演する機会が多い。

このミッシングリンクをステイサム学会は『see you againの原則』と名付けている(勝手に)のだが、これが本作にてイーストウッド相手にも発動している。

よく言われる『いつものステイサム』を外角低めで投球している本作。
『異色作になり過ぎない異色作』というステイサム作品のストライクゾーンをしっかりキープしている。

世界の危機を救う!といった仰々しい内容では決してない。だが、ステイサムは下町レベルの危機ほど輝く!そんなガイ・リッチーの声が聞こえそうな仕上がりだ。やはりプライベートでもステイサムと繋がりがあるのは伊達ではない!
そして、例え超大作であろうが小規模の作品であろうが、ファンが抱いているであろう己のパブリックイメージを大幅に裏切らないステイサムの投球っぷりは目を見張るものがある。このストライクゾーンへ入れてくるブレなさこそがステイサムの強さなのを観る者に改めて教えてくれるだろう。

ともあれ「人間が一番怖い」とドヤ顔で締められる作品が世間には多いが、そこから更に踏み込んで「人間が一番怖い!特にステイサムが‼︎」と補足した、ある意味ステイサムホラーな作品ですよ!

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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