死霊館シリーズ × ゴジラvsコング × モータルコンバットを足して、ニコラス・ケイジで割った地獄絵図

果たして怪異に暴力は通じるのか!?
その問いに、あのニコラス・ケイジが明確なアンサーを出した!
曰く「そんなもん通じるに決まってんじゃん!」と!
オカルトも裸足どころか全裸で逃げ出すであろう、ハードボイルドとホラーが悪魔合体した映画ーーーそれが現在公開中の『ウィリーズ・ワンダーランド』だ!

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イカしたカマロをギンギンにブッ飛ばす流れ者のニコラス・ケイジ。
今日も明らかに体に悪いであろうエナドリ片手にゴキゲンな走りをキメていたが、ある田舎町でタイヤがパンクしてしまう。
しかし捨てる神あれば拾うレッカー屋あり。あまりにも良すぎるタイミングで地元のレッカー屋に愛車と共に拾われるケイジなのであった。

だが、アメリカの片田舎で道中拾われるほど嫌な予感がするもんはない。果たして、その予感は当たった。シビアにニコニコ現金オンリーでの修理代の支払いを求められてしまう。
当たり前だが、流れ者のケイジが現金の持ち合わせなんてあろうはずがない。無一文のケイジ彼を見かねたレッカー屋は、彼に一日だけのバイトを持ちかける。
何を隠そう、気になるバイトとは明らかに物騒な雰囲気を醸し出す廃墟の清掃であった。

廃墟の名は『ウィリーズ・ワンダーランド』
子供たちの憩いの場だったのも今は昔。現在では荒れに荒れた不気味な廃墟と化していた。普通であれば他のバイトをお願いしたくなるもんだが、背に腹は変えられない。
胡散臭さ満点なオーナーとの面接も言葉を交わさず合格!
速攻で掃除のバイトにシフトインするのであった。
だが、ケイジは知らなかった。
かのウィリーズ・ワンダーランドが生け贄を必要としたゴリゴリの呪われた事故物件なのを…

そして、ウィリーズ・ワンダーランドも知らなかった。
ニコラス・ケイジがタダのニコラス・ケイジじゃないのを…
今、怨霊達とニコラス・ケイジのワンナイト一本勝負の幕が開くのであった。

スティーブン・キング的ホラーの世界観に、暴力の化身となったニコラス・ケイジが殴り込んでいく本作。
『死霊館シリーズ』、『ゴジラVSコング』、『モータルコンバット』を足してニコラス・ケイジで割った様相を呈している。
理不尽な怪異と理不尽な暴力がシノギを削る地獄絵図に目を見張ってしまうだろう。

こうしたホラー作品だと、分かりやすく漢気を発揮するタフガイが死ぬ傾向にある。
そんな彼らの死に様に俺みたいな馬鹿は涙するわけだが、なにせ本作のタフガイはニコラス・ケイジだ!
そんじょそこらのタフガイとは育ちが違う!
例えば洗面台にシャイニングばりに血でメッセージを書かれようが、無言でマジックリン的な洗剤でゴシゴシ落とす!
あるいは生き人形と化したぬいぐるみが勝手に動き出せば、ガン無視でブレーカーを落とす!
もうビビッたら負け!といわんばかりにホラーのフラグを淡々とヘシ折っていくのだった。

そんな調子なので、漢気の安売りなんてもんは一切しない。
ホラー作品の常連な世の中を舐めたティーンが来ようと、施設の掃除という自らの仕事を貫いてく。
もう若いチャンネーを見つけても鼻なんて伸ばさない。
ましてや人助けなんてもっての外だ。
例え目の前で誰かが血祭りになってようが、休憩はしっかりとる。
このように、どうかと思うほどオンとオフの切り替えを徹底!
怪異は怪異、仕事は仕事の精神で寡黙に掃除を続けるのであった。
普通だったら「やってられるか!」という話である。
しかし、キン肉マンのアタル兄さんが言うところの「男というものはあまりしゃべるものではない。両の眼で静かに結果を見ていれば良いのだ」をニコラス・ケイジが身を以て実践!
真の男はガタガタ語らない。
そんな事実をニコラス・ケイジが教えてくれる。

だが、自らの仕事を邪魔するとなれば話は別だ。
無駄口は一切叩かない代わりに、肉体言語で会話!
もちろん相手が怪異だとしても!
本作のニコラス・ケイジの辞書に除霊という言葉は存在しない。
物理的に破壊!以上!という潔さを発揮している。
お経や祈りなど神様の慈悲にすがるなんてイモは引かない。
棒キレと拳があればいいじゃない。
そういわんばかりに相手が怪異というスーパーナチュラルな相手だろうが、ナチュラルな暴力のみでブチ当たっていく。

なにせ怪異を暴力で収めるのだ。
どう考えたって普通じゃねえ。
寺生まれ、陰陽師、霊能力者・・・
彼の背景に思いを馳せる人もいるであろう。
素手で怪異を収める何かしらの理由を伺いたくなる。
・・・けど、ねえんだな!それが!
なんなら話が進むにつれ、怪異が発生する理由が判明するが、対してニコラス・ケイジは最後まで正体が不明なまま。
ただ車をブッ飛ばす流れ者、それ以上でもそれ以下でもない!!

思えば『マンディ地獄のロードウォリアー』『カラーアウトオブスペース~遭遇~』ではバッチリ狂気に囚われていたが、本作のケイジはブレ知らず。
例えハードな現場だろうが、オンとオフをシッカリ分けて、ガタガタ語らず責任を全うする男の姿が、そこにある。
どうだろう?
これをハードボイルドとは言わず何と言うのか?
「真の漢とは何か?を知りたい!しかも最近のニコラス・ケイジで!」
と言われたら、思わず「コレ!!」と言いたくなる。

今後も園子温監督のハリウッドデビュー作にて近未来の悪党を演じる『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』、愛豚(!?)を取り戻すべく立ち上がるトリュフハンターを描く『PIG』とニコラス・ケイジの主演作が公開を控えている。

かつてのようにビッグバジェット映画の主演は少なくなったかもしれんが、作品の規模を問わず、チャレンジを辞めていない。
弘法筆を選ばず。
ケイジ映画を選ばず。
ともすれば出オチみたいな設定の本作だが、最後まで全力で走り切っている。
なかなか上映する劇場やスケジュールも少ないが、改めてニコラス・ケイジという俳優の凄みを是非劇場で感じて頂きたい。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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