開脚とケツを出す以外にもやれる ヴァンダム版「グラントリノ」×「聲の形」

みなさん、遂に還暦を迎えましたね。
あの人が。

え?誰が?と言われたら、決まってんでしょ!
ジャン=クロード・ヴァン・ダムですよ!
まあ、誕生日は先月(10月)なんだが、そこは大目に見てくれ!

話を戻すと、最近は国際問題で板挟みになったチワワを救いwebメディアで報道されるなど、活躍が目覚ましいヴァンダム。それはそれとして、ファンとしては忸怩たる思いを抱いていた。まず本人のプライベートより、作品を紹介してやれよ!と。
…という訳で、今回は『勝手に還暦祝い』と称し、彼氏の2020年時点での最新作『ネバー・ダイ 決意の弾丸』を御紹介しようと思いますよ。

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両親不在の中、弟と共にストリートで生きる少年、ルーカス。生き抜くためには悪い奴と大体友達にならざるおえない。
タフな状況の中、『弟の為にもカタギになりたい』という思いを抱きつつ、中学生ながらギャングの下っ端として日々を過ごしていた。

今日も今日とて、下町の住人を相手に危険なアルバイトに勤しむルーカスの顧客の一人に『物言わぬヴァンダム』こと元軍人のダニエルがいた。
戦時中の負傷で喉を負傷し、もっぱらコミュニケーションはスマホ入力。今はカタギとして車の整備工場で働くものの、戦争のトラウマからクスリに手を出す落ちぶれた男だ。

ストリートでは完全に腰抜け扱いされているが、ルーカスが少年というのもあり、本を貸し出すなど彼の身を案じる思いやりがダニエルにはあった。
客以上友達未満の交流を続けていた二人であったが、ある日小学生ながらギャング組織へ入門したいとルーカスの弟が言い出す。

「せめて弟には真っ当に生きて欲しい!」と願うルーカスだったが、結果的に組織を裏切る形になり、兄弟共々街中のサグい半グレどもに命を狙われる羽目になってしまうのであった。必死の逃亡を計るルーカスであったが、昨日までの友が敵となる四面楚歌状態。

この幼い兄弟の危機を黙って見過ごす訳にはいかない。
非情なストリートにおいて、味方はダニエルのみ。
だが、こっちは腐ってもヴァンダムだ!

必ず二人の少年を守るーーー今、自らの意思を『決意の弾丸』と化し、ダニエル=ヴァンダムの戦いが幕を開けるのであった。

ほとんどセリフは無いものの、ヴァンダムが目と表情だけでトラウマを抱えた元軍人を演じる本作。
開脚もケツも出さないという点で、筋金入りのヴァンダムファンからしたら、食い足りなさを感じるかもしれん。
だが、喋れない設定の彼氏が唯一発する劇中のセリフにファンは泣かずにはいられないだろう。

ルーカス兄弟の危機を救うべく 限りなく勝ち目の薄い殴り込みの準備をする際、恋人に「あんた死んじゃうわよ!」と引き留められても「行かせてくれ」と返すヴァンダム。
上述したように現実でチワワを救ったヴァンダムだからこそ、実に説得力があるシーンである。

あるいは、今までヴァンダム自身、「いつまでアクション映画やってんのよ」「アンタの主演作、全然ヒットしてないじゃない」とリアルでも馬鹿にされたり、冷や水を掛けられてきた…かどうかは分からんが、 この「行かせてくれ」というセリフはヴァンダムからの世間への決意表明にも見えた。

『勝ち目があるとかないとかじゃない、ここで退いたら俺は俺でなくなる』という意思を、たった一言でビシバシ感じさせてくれる。

なんやかんや長年追ってきたファンとしては、現実のヴァンダムと劇中のヴァダムがオーバーラップしてしまうだろう。
ここからヴァンダムが覚悟を決め、単身ナイフ一本で修羅場へ突撃するわけだが、その際に披露するタクティカル仕草にも是非注目して欲しい。

『タイラーレイク~命の奪還~』『ジョンウィック』などCQB(近接戦闘)をフューチャーした作品が多いが、本作では地味ながらもリアルなナイフ&銃捌きをヴァンダムは披露!ヴァンダムは開脚とケツを出す以外にもやれるんだ!色々と!と思わずにはいられない。

そんなヴァンダムが相対するのが、実在するMS-13というゴリゴリの体育会系ギャング。作中、まず約10秒間ボコボコに無抵抗でブン殴られ、耐えられたら入団を許可する、というパワハラ入団試験の模写があり「映画的な演出なのかなあ…」と思っていたのだが、どうやら誇張なしにマジにやってるという…

そういえば、地元で最大の暴力集団と言われていた高校の応援団とラグビー部の入団試験も全く同じ手法を採用していたのを思い出し、 「洋の東西問わず、暴力集団の根性試しは存在するのか…」と戦慄したのだった。

かと思いきや、悪事や凶行を描きつつ、ファミリーを大事にするなどのヤンキーあるあるも本作は抑えている。
特にギャングのボス=リンコンがルーカスに贈る目線は身内のソレだ。同じような境遇だったのも手伝い、かつての自分を見るかのようにルーカスを重宝するリンコン。
そんな彼が辿る結末を観ると「この人にもヴァンダムみたいな人が身近にいたら…」と思わずにはいられない。

『ワルにはワルのドラマがある』という模写が描かれており、今までのヴァンダム作品とは一線を画している。
『ザ・バウンサー』、そして本作など、 ここ最近ストリートを舞台にした社会派下町ヴァンダム映画の波が確実に来ているのだが、一部ヴァンダム過激派(俺とか)しか話題にしていないのが実に悲しい限りだ。

だが、少年に生き様を教えようとする部分は『ヴァンダム版グラントリノ』、自分の中でなすべきことを言葉にする部分に関しては『ヴァンダム版聲の形』な意味でも本作は見逃せない。

是非「え?まだ見てないの?ヴァンダム作品!」と身近な人にヴァンハラ(ヴァンダムハラスメント)をキメて欲しい。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

©︎2018 Dream Team Films.

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