拳で決着をつける作品にハズレなし 『グレイマン』は銃撃・爆破・ステゴロの三重奏を披露したラ・ラ・ランド

死して屍拾うものなし!な暗殺者たちを描いた作品=それが『グレイマン』(Netflix)だ!

Netflix Japan/YouTube

前科者を集めたCIAの必殺仕事人部隊に属する暗殺者シエラ・シックス(ライアン・ゴズリング)。
今日も早速クイズ番組の司会者みたいなスーツでパーティ会場へ潜入、成敗する機会を待っていた。だが、いつにもまして仕事達成を煽りまくるCIA本部に違和感を感じるシックスであったが、まあソレはソレ、コレはコレだ。

電流爆破デスマッチ以上に火花が散る打上げ会場にて任務を達成するシックスであったが、ターゲットから自らの仲間であるシエラ・フォーなんです、と聞いてもいないのに身分を明かしてくる。
「へーそうなんだ」レベルで塩対応をかますシックス。
だが自称シエラ・フォーから暴露情報の詰合せメモリーを押し付けられてしまう。
半信半疑なものの、とりあえず受け取ったシックスであったが、返す刀でCIA本部はゴリゴリにシックスを殺しに来るじゃないの!
とはいえ、そこは凄腕の暗殺者だ。
表情を変えずに刺客を返り討ちにしたシックスは、どうやら当局にとってのマジモンの厄ネタなのを確信をする。

一方、この事態に焦りを感じたCIA本部は、ある男に白羽の矢を立てていた。
その男の名は、ロイド・ハンセン(クリス・エヴァンス)。
あまりの無軌道な狂犬っぷりにCIA本部から首輪を外された男であった。
『鳴かぬなら鳴く前に殺そう、ホトトギス』精神のロイドは、Uberを頼む位の気軽さで世界中から暗殺者を呼び寄せ、更にはシックスの元上司であるフィッツロイと彼の姪っ子まで拉致!
ゲスい!と他人から言われるのを全く恐れない、ド外道戦法を駆使するロイド。
気がつけば周りが殺人大運動会の様相を呈していく。
果たしてシックスは修羅場の障害物競争を一等賞でゴールできるのか?
こうして、彼の終わりなき殺伐ライフの幕が開くのであった。

さいとうたかを的な世界観をルッソ印で仕上げている本作。
主演は死生眼を持つ俳優ライアン・ゴズリング。非情の世界に生きる必殺仕事人シエラ・シックスを熱演。タイトルはグレイマンだが、白黒つけるべく奔走!
「これが現在進行中の俺のラ・ラ・ランドだ!」といわんばかりに銃撃・爆破・ステゴロという三重奏を披露している。
更には殺す前に軽口を叩くという90年代に腐るほど見たメソッドを実践しているのだが、いかんせん演じているのが死生眼を持つなゴズリングなのも手伝って、笑っていいのか戦慄すればいいのか分からなくなってしまう。
いわば素の状態でボケる上手さとでもいおうか…
これも演技派ゆえの味かもしれん。

そんな彼に対抗するのが、良心を忘れた裏アメリカ大将と化したクリス・エヴァンス扮するロイドだ。
ヒーローをアッセンブルしたのも今は昔。MCUからのルッソ・リクルートの結果、本作では世界中から暗殺者をアッセンブル!
カタギすらも平気で巻き込むヤケクソな狂乱っぷりは、違うベクトルでキャプテンしている。たけしが言うところの振り子の理論とでもいうべきだろうか… 三度の飯より拷問が好きというドS演技に目を見張ってしまうだろう。

Netflix Japan/YouTube

孤立無援に思えるゴズリングをサポートするダニを演じるのはアナ・デアルマス。
主に人を殺す方向で、ギャルのバイブスがアゲな演技を披露!
最初はゴズリング同様、草間彌生したのでは?と思わず目を疑う服装で登場するが、それも序の口。最終的には、たった一人のエクスペンダブルズと化し、小細工なしで正門から襲撃するとは誰もが思うだろうか!?
ギャルの辞書に小細工はない。正面突破のみ!という潔さを感じさせてくれる。

…と、このようにメインのキャラだけでもカルピスの原液レベルな濃さだ。
更には、やたら腕っぷしの強い謎のステゴロ・インド人など濃い脇役も倍プッシュ!
MCUの枷から解放され、ルッソ兄弟も肩の力が抜けてるのではないか?と思う向きもあるだろうが、安心して欲しい。
直球のストレートを放ってきてるよ!あいつら!!グローブを外したルッソ兄弟に手加減はない。そんなワードが思わず頭に浮かぶだろう。

おかげさまで兄弟に応えるように、Netflixも過去最高の製作マネーを投入!
Netflix作品となると全国上映作品と差別化を図る為か、予算の都合か分からんが気が付くと斜め上な展開や結末を迎えがちだ。
ともすれば最初は勢いが良いものの、終盤は尻すぼみの印象を抱く方も中にはいるだろうが、本作は最初から最後まで爆走!
個人的な傑作基準として、『最終的に拳で決着をつける作品にハズレはない!』があるが、本作も御多分に漏れずだ。

この文章を読んでいる方の中にも、形は違えど劇中のシックスのように孤立無援の中、日々仕事をこなしている人もいるだろう…ていうか、そんな人ばっかだろう。
カタギであろうとなかろうと組織で生きていると、心をすり減らされ、気が付けば人としての仁義を忘れてしまいがちだ。
それでも組織の理不尽に対して突き立てる牙を失うな!と本作は教えてくれる。
社会のグレイマンとして生きる方は是非、本作の反逆のゴズリングに勇気を貰ってほしい。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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