ニコラス・ケイジが「ドラッグ専門の山岡士郎」に 何故かDVDスルーされた麻薬戦争モノ

レンタルしてみたら、「思いのほか面白かったなあ!おい!!」と快哉を叫ぶ。こんな経験が皆さんにはないだろうか?

何事も二言目にはコスパが叫ばれ、面白さの担保が優先される昨今。気軽にSNSを開いては、観る前から他人の意見を参考にしがちだ。無駄な時間を過ごす訳にはいかねえ!というのも理解できないわけではない。なんというか、世の中みんながヒマなわけではないのでしょう!俺みたいに!

とはいえ俺も「何がコスパだ、この野郎!時間を無駄にするために映画観るんだろ!」とのたまっていたが、ここ最近は安牌を引いていたフシがある。
だが「他人の評価なんか知るか!俺には俺のアカデミーがあるんだ!」と改めて教えてくれた映画が現在Amazonプライム・ビデオおよびNetflixで配信されている!
それが映画『ドラッグ・チェイサー』だ!

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ニコラス・ケイジとローレンス・フィッシュバーン共演!という一般人には「知らんがな!」と言われそうだが、映画ファンからしたら「何っ!?」と二度見したくなるキャスティングの本作。
・・・の割には全く公開情報や宣伝が全く耳に届かなかったのが実に悲しい。

それもそのはず、本作は華麗にDVDスルー、この度シレっと配信されていたのを洗濯物を畳む昼下がりに見つけたのであった。
「そりゃあオマエのアンテナが低いだけだよ!」と言われたら「すまん!」としかいいようのない話だ。
「どちらかといえば割と映画は観てる方だろう…」と調子に乗っていた自らの不明を恥じるしかない。

毎年一回は必ず公開されている気がする麻薬コネクションモノ。このジャンルにニコラス・ケイジだけならまだしも、ローレンス・フィッシュバーンまで殴り込み!
更に本作は、まさかの『美味しんぼ』要素をトッピング!ジャケットだと痛快丸かじり!な展開を予想するかもしれんが、いざ蓋を開けたら淡々とした裏街道スリラーなのだった。
「組織のブツに混ぜもんをしたのは誰だ!?」とドラッグの流通ルートへ自らの足で赴き、行く先々で品質管理を徹底する仕事人をニコラス・ケイジが演じている。

いわば『ドラッグ専門の山岡士郎』といわんばかりのバイタリティを披露!
奇しくも本作ではカタギの姿はコックさん、裏では組織の売人なわけだが、もう美味しんぼとの違いはドラッグか料理か位しかない。
かつて美味しんぼの山岡さんは「ワインと豆腐に旅をさせてはいけない」と言ったが、同じように「ドラッグも旅をさせてはいけない」と山岡さんと化したニコラス・ケイジが我々に教えてくれる。

もちろんニコラス・ケイジ恒例の鬼気迫る演技も、ここぞ!という時に爆発!それこそ山岡さん(またかよ)は「心のこもってない寿司はただのシャリとネタの塊だ!寿司じゃねえ!おまえの寿司がそれなんだよ!」とおごり高ぶった店主のオヤジが握った寿司をわざわざCTスキャンしてゴン詰めしたが、この寿司の部分をドラッグに変えたような演技をローレンス・フィッシュバーンにブチかます。まあ、同じネタでもマグロとドラッグじゃ意味は全然違うが!

そんな寿司屋のオヤジ…じゃねえや、ドラッグの売人を演じるのがローレンス・フィッシュバーンだ。組織内で地位を得ているニコラス・ケイジとは旧知ながら、うだつの上がらないチンピラっぷりが対比になっていてタマらない。
ここ最近は出演する基準がイマイチ分からない俳優になりつつあるローレンス・フィッシュバーンだが、本作では省エネ知らず!
風俗のネーちゃんと3Pしながらクスリで飛ぶ演技はアカデミー級だ!俺の中で!

マトリックスの最新作には出ていないフィッシュバーンだが、それ以上のサイケな演技をビシバシキメてくれる。
あるいは登場した時は小汚いカッコであったが、出世できると踏んだら速攻ブランド物のスーツを買っちゃうなど実に困った人であるが、この底の浅さはどうだ!?善悪問わず、スクリーンの中で立派な人を見かけるのが多い中、この言い訳出来ないダーティな演技には目を見張ってしまうだろう。
それだけに留まらず、ダメ押しのように全裸になり拷問を受けるサービスっぷり。いわばウシジマくんの登場人物ばりにチョーシくれて破滅していく様は圧巻だ。
ある程度ハリウッドで地位を築いているであろうフィッシュバーン。そんな彼が「キャリアなんて知るか!」と言わんばかりに身体を張った演技で魅せてくれる。それこそ、全力演技に定評のある主演のニコラス・ケイジに負けずとも劣らない。

確かに予算は大作に比べてないかもしれんが、無情の世界を乾いたタッチで描く本作。
人件費やら経費やらが原価に乗りまくり売値がとんでもねえ値段になるくだり、ほぼ手荷物無しの状態で南はコロンビアから北はカナダの山奥へ単身出張しまくる姿、小金が出来たら高いもんを買いがち、我が身可愛さに裏切り友と疎遠になってしまう…

などなど、モチーフは麻薬戦争ではあるが、営業経験あるいは社会人経験のある人には身に詰まされてしまう模写が本作にはある。
扱っているのは麻薬だが、ニコラス・ケイジやフィッシュバーンの役柄を身近に感じられる作品だ。
『ジャケ借りしたら思いのほか面白かった!』という原体験がある人は、是非良い意味で騙された気分になってほしい。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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